国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

米国の金融バブル崩壊で必要となる救済額は1500~2500兆円

2008年10月20日 | 経済
ブログ「貞子ちゃんの連れ連れ日記」では、今回の金融危機で1500兆円規模の救済額が必要になると推定している。根拠は、全世界にばらまかれた金融派生債券の総額が六京円、1998年に破綻したLTCMの場合「運用金額の2.5%相当の救済額」が必要だったことである。三井住友銀行の宇野大介氏は、米証券化商品をはじめとする不良資産からの損失額は米国国内総生産の2倍弱に相当する25兆ドル=2500兆円規模になると推定している。日本のバブル崩壊に伴う損失が国内総生産の2-3割だったのと比較すると、米国のバブル崩壊はスケールがかなり大きいと言うことができるだろう。金融派生債券は米国だけではなく、欧州の金融機関も大量に購入している。その割合は不明だが、仮に米国と欧州で半々とすると、米国政府が支出すべき救済額は750兆円~1250兆円程度ということになるだろう。現在の米国国債の発行残高は約500兆円であるが、米国政府はそれを2.5~3.5倍に増加させる必要が出てくることになる。その他に、経済恐慌突入を回避するためのニューディール的政策の資金としての国債発行も必要になるだろう。近未来の欧米諸国はこの天文学的な国債発行を支えるという困難な事態に立ち向かうことになると思われる。中でも最も困難なのは、双子の赤字を伴っており借金を返済する能力が乏しい米国である。米国国民は消費を縮小して貯蓄を大幅に増やさねばならないが、それは米国の内需を大幅に縮小させ、恐慌を更に深刻なものにしてしまうはずだ。それにしても、1500兆円~2500兆円の金はどこに消えてしまったのだろうか?私は、これは2001年から2008年まで(丁度ブッシュ政権の時期に相当する)の期間、資本主義経済システムを維持する為のコストだったのではないかと想像する。1997~2000年のITバブルが破裂した後、何も手を打たなければ米国経済はドル安・株安・債券安のトリプル安となって大恐慌に突入し、資本主義経済システムは崩壊する筈であった。1930年代の大恐慌と同様に米国の国内総生産は40~50%程度縮小していたかもしれない。その恐慌突入を先延ばしにするために、一年あたり200~300兆円程度の金が金融派生債券を通してウォール街で生み出され、資本主義システムに投入され続けてきたのではないか、と言うのが私の想像である。 . . . 本文を読む
コメント (3)