■ 8月の米国格下げ騒動を総括する ■
あくまでも勝手な解釈ですが、
7月、8月の米国債を巡る動きを総括してみます。
1) 議会が「米国債の発行額の上限引き上げ」の採決で紛糾する
2) 米国債のデフォルト(部分的)が注目される
3) 債権価格が下落する
4) 議会が米国債の上限引き上げ了承する
5) S&Pが米国を格下げする
6) ヘッジファンドを中心に株式を売却する
7) 世界同時株安を演出する
8) 株から米国債へと、安全資産へのシフトが発生する
9) 米国債の価格が上昇(利率の低下)が発生する
10) S&Pの責任を追及する
まあ、全てデキレースではないでしょうか。
米国債の不安を煽っておいて、
実際にS&Pに格下げを断行させます。
しかし一方でヘッジファンドを利用して
株価下落を演出し、資金の米国債シフトを起こさせます。
結果人々の記憶には、
「なーんだ、米国債危機というけれど、
米国債がやはり一番安全ではないか」
という記憶が刷り込まれます。
これで米国債の「安全神話」が補強された訳です。
次の危機で、どれだけの金融機関が逃げ切れるのか・・・。
■ 儲けた人達 ■
ここで儲けを上げるのはいつもの人達。
ジョージ・ソロスは株式下落の前にファンドを解消して、
高値で売り抜けています。
彼の行動は、その後の市場下落を予測させ、
結果的には株価下落を後押ししたでしょう。
ウォーレン・バフェットは米国債の安全性は
揺るぎ無いと言っていました。
彼は当然、米国債の値上がりを読んでいたでしょう。
彼ら「裏事情」に通じた者達の動きはやはり要注意です。
バフェットがバンカメに50億ドル出資して
救済に乗り出している事が気になります。
単なる善意などでは当然ありませんので、
「バンカメは潰れない」という強いメッセージですが、
これを信じて良いのか、
あるいは裏の意味を読むべきなのか???
いずれにしてもソロスがファンドを解消している事からも
今後の市場には様々な爆弾が仕掛けられているのでしょう。
■ ユーロ危機と言うけれど・・・ ■
「ユーロ崩壊の危機」と騒がれ、
ヨーロッパからアメリカへの資金移転は加速しています。
ユーロがドルに対して値を下げ、
米国国債の価格が上昇(利率の低下)が起きています。
まさにリーマンショック直後の状況を見ている様です。
市場ではギリシャがデフォルトして、
ドイツがユーロを脱退したらジエンドと見ています。
ところで、ヨーロッパの資本関係は大変入り組んでいます。
お互いが資金を複雑に貸し借りしています。
この現状を考えると、ドイツが単純にユーロを脱退したからと言って、
ドイツの銀行が安泰で居られる訳ではありあません。
ですからドイツはユーロを防衛するしか無く、
結果的にギリシャは救済されるのでは無いかと思います。
現在のユーロ危機は、ただアメリカに歩調を合わせているだけであり、
「機軸通貨の崩壊」を単に食い止めているに過ぎないでしょう。
「未だドルの終焉には早すぎる」というだけの事だと思います。
■ アメリカは内部崩壊に注意 ■
様々なトリッキーな手法でドルの防衛が試みられていますが、
アメリカの危機は内部にあります。
NY市長が演説で、「これ以上の雇用の悪化は暴動を発生させる」
的な発言をしています。
5世帯に1世帯がフードスタンプを受給しているという、
広義の失業率が20%に迫るアメリカでは、
これ以上の経済の悪化は、暴動を発生させる恐れがありあます。
暴動の様なヒステリックの行動は、
予測がなかなか困難です。
警官の黒人に対する暴力から大暴動が発生した「ロス暴動事件」や、
先日のイギリスの暴動など、きっかけは些細な事です。
様はどれだけ社会的ストレスが高まっているかが、
暴動の発生の要因になります。
それを考えると、今のアメリカは非常に危険な状態と言えます。
職を求める「怒れる群集」が、
警官隊と銃撃戦などという映像が世界に配信された時、
世界の人々は、どう行動するのでしょうか?
「まだまだ大丈夫」と思われたシステムが崩壊するのは
意外と早いものです。
先の読み難い世の中ですが、リスク管理に注意が必要です。
■ 貧乏人も他人事では無い ■
読みきれた者は大金を手に入れ、
読み違えた者は大きな損失を被ります。
尤も私など貧乏人ですから、あまり影響は・・・・
おい、おい、自営業は明日のご飯すら食えなくなるよ・・・。
私達の預金や年金の積み立て金や生命保険は
いったい何で運用されているのでしょうか。
ちょっと心配な今日この頃です。