■ 六号通りの先生の記事から ■
「ホールボディカウンターの測定値を読む [科学検証]」http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2011-09-14#comments
先生は慎重論的なお立場なので、
安全論的な立場から、このデータを眺めてみたいと思います。
(すみません、他人のフンドシで相撲を取る事をお許し下さい)
■ 体内の天然由来の放射性物質のカリウム40は意外に多い ■
注目すべきは天然のβ線核種であるカリウム40の多さだと思います。
カリウム40は土中に普通に含まれるカリウムの放射性同位体で、
牛乳1リトルに50ベクレル含まれます。
ドイツの測定例ではセシウム137や134のそれぞれ5倍程度の量が
既に普通に体内に存在する訳です。
同じβ線核種で科学的に同じ代一族の元素なので、
体内の挙動はカリウムとセシウムはほぼ同じ部位に蓄積します。
除染の方法としてカリウムを土壌散布そ、
その結果セシウムの作物への吸収量を
相対的に低下させる方法と取られている様です。
原子や分子の領域ではカリウム40と
セシウム137や134の発する放射線差異はありません。
β線は電子や陽電子が高速で放出される現象で、
体内ではその移動軌跡周辺の原子の電子軌道に影響を与えてゆきます。
体内で一番多い物質は水なの活性酸素を作る作用が発生します。
■ カリウム40の測定誤差の範囲に収まる放射線は恐怖か? ■
今後、セシウムの体内量がどの様に変化してゆくかは、
生物濃縮と汚染された食品の摂取量に依存しますが、
その量が現状よりも減少してゆくならば、
天然由来のカリウム40に対してその影響は小さくなってゆくはずで、
カリウム40の体内含有量の個人差に近づいてゆくと予想されます。
物理学的には、カリウム40の誤差にその影響がカバーされてしまい、
その影響が観測できない状態になります。
そもそもカリウム40の発癌性が問題視されないのに、
その何分の一しか存在しない、
同じβ核種のセシウムを問題視しても仕方が無いのです。
天然由来だからカリウムは問題無い、原発由来だからセシウムは問題だ・・・
これは科学では無く、単に感情論に過ぎません。
■ 存在しない物を怖がる心理・・・現在の幽霊 ■
現在の放射線医学では100(mSv/年)以下の
発癌率の増加を立証する事は不可能です。
免疫によるキャンセル(当然カリウム40にも働いている)を考慮すれば、
発癌率は計測できないのでは無く、存在すらしないのかも知れません。
ところが、幽霊を怖がる様に、「計測出来ないから怖い」という
ムチャクチャな論理の上に現在の放射線防護政策は成り立っています。
その政治的背景を推測しだしたら切りがありませんが、
人体などはミクロの目で見れば単なる分子や原子の集まりで、
放射線は光子や電子やヘリウム2原子核の放出でしかありません。
核物理学や分子生物学などを専門とされる方が、
冷静に考察すれば放射線防護の矛盾は明確なのです。
実際にそれを発言されている方も沢山いらっしゃいます。
私は光工学を専攻したので、光(光量子)が物質に与える影響は、
原子の軌道遷移による化学的活性である事を知っていますから(光化学)、
γ線は紫外線よりエネルギーの高い光量子以外の何物でも無く、
その量において圧倒的に多い紫外線では日焼けして細胞死が発生するのに、
量が圧倒的に少ないγ線では具体的な障害が発生しない事も容易に理解出来ます。
(γ線の透過性が高い事に起因する差異は無視したとして)
■ 過剰安全性は社会的損失 ■
医学の分野では、「存在するかもしれない危険」を「安全」とは言えません。
しかし「放射線防護」は本来、経済コストと効果を計に掛けるべき学問です。
ICRPは明らかにこのバランスを欠いています。
現在の基準を用いて福島の除染を行うと、
80兆円掛かるという試算が朝日新聞に載っていた様です。
おいおい、国家予算92兆円と同等だよ・・・・。
実際にこの規模の除染が行われるなら、
全国の土建業者は福島に大集結します。
もう空前絶後の巨大公共事業が出現します。
その実態が「穴を掘って埋めるだけ」なのですから、
これは究極のケインズ経済学的な公共事業です。
フランツ・カフカが現存していたら、
「穴」という名作が生まれたかも知れません。