人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

米国債の危機回避のカラクリ・・・SPもお仲間

2011-09-20 07:47:00 | 時事/金融危機
  

■ 8月の米国格下げ騒動を総括する ■

あくまでも勝手な解釈ですが、
7月、8月の米国債を巡る動きを総括してみます。


1) 議会が「米国債の発行額の上限引き上げ」の採決で紛糾する

2) 米国債のデフォルト(部分的)が注目される

3) 債権価格が下落する

4) 議会が米国債の上限引き上げ了承する

5) S&Pが米国を格下げする

6) ヘッジファンドを中心に株式を売却する

7) 世界同時株安を演出する

8) 株から米国債へと、安全資産へのシフトが発生する

9) 米国債の価格が上昇(利率の低下)が発生する

10) S&Pの責任を追及する


まあ、全てデキレースではないでしょうか。

米国債の不安を煽っておいて、
実際にS&Pに格下げを断行させます。

しかし一方でヘッジファンドを利用して
株価下落を演出し、資金の米国債シフトを起こさせます。

結果人々の記憶には、
「なーんだ、米国債危機というけれど、
 米国債がやはり一番安全ではないか」
という記憶が刷り込まれます


これで米国債の「安全神話」が補強された訳です。

次の危機で、どれだけの金融機関が逃げ切れるのか・・・。

■ 儲けた人達 ■

ここで儲けを上げるのはいつもの人達。

ジョージ・ソロスは株式下落の前にファンドを解消して、
高値で売り抜けています。
彼の行動は、その後の市場下落を予測させ、
結果的には株価下落を後押ししたでしょう。

ウォーレン・バフェットは米国債の安全性は
揺るぎ無いと言っていました。

彼は当然、米国債の値上がりを読んでいたでしょう。


彼ら「裏事情」に通じた者達の動きはやはり要注意です。
バフェットがバンカメに50億ドル出資して
救済に乗り出している事が気になります。

単なる善意などでは当然ありませんので、
「バンカメは潰れない」という強いメッセージですが、
これを信じて良いのか、
あるいは裏の意味を読むべきなのか???

いずれにしてもソロスがファンドを解消している事からも
今後の市場には様々な爆弾が仕掛けられているのでしょう。

■ ユーロ危機と言うけれど・・・ ■

「ユーロ崩壊の危機」と騒がれ、
ヨーロッパからアメリカへの資金移転は加速しています。
ユーロがドルに対して値を下げ、
米国国債の価格が上昇(利率の低下)が起きています。

まさにリーマンショック直後の状況を見ている様です。

市場ではギリシャがデフォルトして、
ドイツがユーロを脱退したらジエンドと見ています。

ところで、ヨーロッパの資本関係は大変入り組んでいます。
お互いが資金を複雑に貸し借りしています。
この現状を考えると、ドイツが単純にユーロを脱退したからと言って、
ドイツの銀行が安泰で居られる訳ではありあません。

ですからドイツはユーロを防衛するしか無く、
結果的にギリシャは救済されるのでは無いかと思います。

現在のユーロ危機は、ただアメリカに歩調を合わせているだけであり、
「機軸通貨の崩壊」を単に食い止めているに過ぎないでしょう。

「未だドルの終焉には早すぎる」というだけの事だと思います。

■ アメリカは内部崩壊に注意 ■

様々なトリッキーな手法でドルの防衛が試みられていますが、
アメリカの危機は内部にあります。

NY市長が演説で、「これ以上の雇用の悪化は暴動を発生させる」
的な発言をしています。

5世帯に1世帯がフードスタンプを受給しているという、
広義の失業率が20%に迫るアメリカでは、
これ以上の経済の悪化は、暴動を発生させる恐れがありあます。

暴動の様なヒステリックの行動は、
予測がなかなか困難です。
警官の黒人に対する暴力から大暴動が発生した「ロス暴動事件」や、
先日のイギリスの暴動など、きっかけは些細な事です。

様はどれだけ社会的ストレスが高まっているかが、
暴動の発生の要因になります。
それを考えると、今のアメリカは非常に危険な状態と言えます。

職を求める「怒れる群集」が、
警官隊と銃撃戦などという映像が世界に配信された時、
世界の人々は、どう行動するのでしょうか?


「まだまだ大丈夫」と思われたシステムが崩壊するのは
意外と早いものです。
先の読み難い世の中ですが、リスク管理に注意が必要です。

■ 貧乏人も他人事では無い ■

読みきれた者は大金を手に入れ、
読み違えた者は大きな損失を被ります。

尤も私など貧乏人ですから、あまり影響は・・・・
おい、おい、自営業は明日のご飯すら食えなくなるよ・・・。

私達の預金や年金の積み立て金や生命保険は
いったい何で運用されているのでしょうか。
ちょっと心配な今日この頃です。



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4 コメント

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Unknown (GOOG)
2011-09-20 10:07:17
たしかにドイツが単独でユーロ脱退というのはちょっと考えられない気がします。通貨ユーロの恩恵を最も受けているのがドイツ(の輸出産業)ともいえ、仮に脱退した場合は猛烈なマルク高に見舞われるはずです。
さらに統一欧州から抜け出したという傷も背負うことになります。その場合、全員で脱退(解体)というのが一番ベターな気がしますが今更時計の針を戻すことは難しいでしょう。

ところで欧州の混乱が作られたものという考え方は田中宇あたりからの着想でしょうか?
その可能性は充分ありそうですが・・・うーん。
それを言い出すと全ての出来事が「それ」で解決できてしまうわけだが。。。
返信する
Unknown (鍛冶屋)
2011-09-21 00:06:46
>■ アメリカは内部崩壊に注意 ■
実際、アメリカの"温度"ってどんな感じなんでしょ?。
アメリカ在住の方のブログ(趣味系)を幾つかワッチしてますが、
そんなに冷えた感じがしないんですよね・・・。
まぁ、そう言う方々は異国に渡り一旗上げれるようなお方ばかり
ですから、皆さんそれなりの才覚をお持ちなのでしょうが。
一般の普通の米国人の"危機感"の度合いが知りたいですね。

翻って日本も、確かに景気が悪い悪いと言われ続けて久しい
ですが、それにしたって日々の暮らしにも困っている路頭に
迷う人で街中イッパイで社会が混乱する・・・って程ではない
ですよね(これから先は分かりませんが・・・)。
それとも、まだまだ本当の危機の序盤にすら掛かってないって
事なのでしょうか。
返信する
Unknown (人力)
2011-09-21 05:02:19
GOOGさん

確かに田中氏の記事も読んでいます。
ただ、ギリシャに関しては、欧州全体に対して債務の額はさほど大きい訳では無く、危機が深刻化する前に十分に救えたものを、あえて問題を大きくしています。

ギリシャ危機がクローズアップされる時期が、必ずアメリカの経済の先行きが怪しくなって、米国債の信任が揺らぎそうになる時というのも、この問題が米国と欧州で結託して動いているという懸念を持たせる根拠になっています。

欧州は戦後60年以上の歳月を掛けて、少しずつ統一欧州を目指して来ました。今回のユーロの問題は、財政統一を後回しにした通貨統合の弊害として、ドイツではユーロ発足当時から指摘されていた事が、顕在化しただけとも言えます。

当然予想される結果が起きただけなので、統一欧州を目指す人達は、想定内の事態とも言えます。

ヨーロッパを一つにと言っても、各国国民の利害は大きく異なります。日本でも東京と沖縄では利害が対立しますが、東京の税金が沖縄に投入されても、最早誰も文句を言いません。しかし幕藩体制の江戸時代には、藩が一つの国であり、それぞれ財政も独立し、藩が通貨を発行していました。幕府の発行する貨幣は、現在でいう所のドルの様な役割だったのでしょう。

その様な日本が、明治維新によって中央集権の近代国民国家の生まれ変わるまでには、大きな犠牲を払いますが、国家の変革は政治家達によって成され、庶民は結局時代の大きな流れに流されるだけでした。

ヨーロッパも同様で、結局ユーロが崩壊する様な危機に際しては、政治は結束を強め、一つのヨーロッパ実現の為に危機は積極的に使われるでしょう。そうしなければ、統一ヨーロッパなど何百年掛けても実現しません。

陰謀論を否定しない私としては、ユーロ危機は何とも胡散臭く思えます。特にサルコジが動けば動く程、その確信は高まります。
返信する
Unknown (人力)
2011-09-21 05:30:45
鍛冶屋さん

リーマンショック直後、スパムハムと銃弾がアメリカでは沢山売れたと言います。自分の身は自分で守るアメリカの一部の人達は、地下室に備蓄食料のスパムハムを貯蔵し、銃弾を備蓄して、社会が混乱した時の為に家族の安全を守る準備をしたのです。

アメリカの庶民は、貧富の差が激しく、銃社会のアメリカで恐慌状態が発生した時に、どんな事態に至るのか、十分理解しているのでしょう。

アメリカ在住の日本人に危機意識が薄いのは、彼らが安全な場所に固まって居住し生活しているからです。アメリカはブロック毎に生活レベルが全く異なり、道一つ隔てるだけで町並みや民族がガラっと変わってしまいます。

たった20メートル程度の道一本ですが、双方の住民の交流は皆無だったりします。LAでは身を守る為には移動は基本的に車です。近郊の都市では街の中心部でなければ、歩行者などめったに見かけません。

マイノリティーの多くは、リーマンショック以前から継続して貧困の中におり、何をいまさら危機なんだ・・そんな感想を抱いているでしょう。

現在アメリカで起きているのは、中流層の転落です。これは先進国(日本も含む)全体で同時進行している事で、グローバリゼーションでは中流層の仕事こそが途上国に流出します。

ですから最初は政治意識の高いかつての中流層を中心にデモなどの政治行動が目立つ様になり、社会的緊張が高まって来ますが、これらのデモは極めて組織的で理性的に行われます。

アメリカのマイノリティー達はデモなどする気力も起きない状況に長年置かれていますが、ロス暴動の時の様に、些細な事をきっかけに彼らのストレスは一気の暴力の形で噴出します。

ですからアメリカで中流以上の生活をする日本人に危機感は希薄で、彼らの見ているアメリカは、平和的デモが散発する程度の、いつものアメリカのはずです。

NY市長が警戒するのは、平和的デモでは無く、マイノリティー達の暴動です。きっかけさせあれば、彼らはいつでも暴発する状況に現在のアメリカは置かれています。

財政の縮小の為にフードスタンプを減額したりしたら、暴動になりますし、中東有事が発生してアメリカ国内でインフレが進行しても、暴動が発生します。また、警官が黒人を誤って射殺しても、暴動が発生します。
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