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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

銀行預金は誰の物・・・預金封鎖

2011-09-24 22:52:00 | 時事/金融危機
  

■ 金暴落? ■

世界では株安、商品安、金の暴落、新興国通貨の暴落が起きています。

9月はアメリカの決算期です。

株価が下落する中で、米企業は投資を引き上げざるを得ない状況です。
商品市場や新興国市場から、もの凄い勢いで資金が引き揚げられています。

損失を補填する為に金が売られている様です。
「金の暴落」を見て、過剰そ相場の調整と思ったら間違いでしょう。
確かにあまりの下落に恐れを為して、金を手放した人達も多いでしょう。
しかし金は3000ドル/1オンスまで上昇すると私は思います。
金の力を知る者達は、今が時期とばかりに買いを入れているでしょう。

そもそも「金」の暴落と言っても「現物金」が売りに出ているのか、
ニセモノ金の「金ETF」の売りが暴落を誘発しているのか良く分かりません。

一説には、通貨防衛の資金源として中央銀行が金備蓄を売却しているというウワサも。

■ リーマンショックを見ている様 ■

現在の世界経済はリーマンショック後に酷似しています。
商品相場、原油相場、株式相場、金相場が下落し、
ドルと米国債が選好されています。

ただリーマンショックと大きく異なるのは、
リーマンショック時は銀行の借金を政府が肩代わりしました。
しかし、政府の借金はもはや肩代わりする事は出来ません。

深刻さの度合いから言えば、
今発生している「ソブリンショック」はリーマンショックなど比で無い程深刻です。

■ 銀行預金は誰の物? ■

賢い人はそろそろ銀行預金を現金化しているでしょう。

私達は銀行に預けたお金は「自分の物」と思っています。
引き出そうと思えば、いつでも簡単に引き出せると思っています。

では、もしあなたが5億円お預金があるとして、
それを銀行に下ろしに行ったら、すんなりと引き出せるでしょうか?
支点の規模にもよりますが、小さな支店では、即座に引き出す事は不可能でしょう。
銀行の金庫に5億円以上入っていなければ、
即刻引き出す事は不可能なのです。
一般的な支店では1億円も入っていないでしょう。

私達の預金は銀行に預けた時点で銀行の資産となります。
銀行はそれを運用して利息を稼がなければならないので、
預金は日本国債やアメリカ国債や、怪しいデリバティブ商品に投資されます。
この時点で私達の預金は、銀行には既に存在しません。
あるのは通帳上の数字だけです。

さて、大きな危機が起きて銀行の運用先で資金が喪失します。
多くの人が銀行の経営に不安を感じて預金を引き出しにきたとします。
一人1000千万ずつ10人の人が預金を引き出したら1億円になります。

さて銀行は10人に預金を返せるのでしょうか?
100人の列が出来ていたら、残りの90人はどのなるのでしょう?

そう考えると、私達の預金は銀行に預けた時点で、
私達の物では無くなっているのかも知れません。

■ 日本の金曜の夜にアメリカでバンカメが破綻したら・・ ■

もし仮に、日本の金曜の夜にアメリカでバンカメが破綻したとします。
日本中がパニックの土日を経て、
月曜日には銀行のオープン時間の前に長蛇の列が出来ているかも知れません。

しかし、開店時刻になっても、銀行のシャッターは開きません。
何故なら銀行を列に並んだ人全てに預金を返す事が出来ないからです。
ですから、暴動を恐れてシャッターを開けられません。

日本中の銀行で、メガバンクまでもが取り付け騒ぎを起こしたら、
即刻で預金封鎖が実施されるでしょう。

何故なら、銀行が預金を返すためには資産の売却が必要だからです。
しかし怪しいデリバティブ商品は紙屑同然なので現金化出来ません。
そこで、銀行は現金の次に流動性を有する国債を現金化しようとします。
そうして国債市場は売り一色になり、日本国債が暴落します。

これは日本の財政破綻を意味します。
国債市場で国債が暴落すれば、国債金利は一気に上昇し、
金利の利払いが出来ずに日本国債はデフォルトします。

その時点でのデフォルト回避の唯一の手段は
日銀による既発、新発国債の全量買い取りです。
1000兆円規模の現金が一気に市場に放出されたら
ハイパーインフレになります。
それを防ぐ為の預金封鎖でもありますが、
インフレの進行速度を遅くする程度の役にしか立ちません。
そうして、個人資産は結果的に国家に接収されるのです。

GDP比200%の巨大財政赤字は、メガトン級の爆弾です。
「日本国債は日本人が所有している」という幻想が一気に崩れ落ちる瞬間です。



ようやく皆さん気付き出した不景気の理由

2011-09-24 08:02:00 | 時事/金融危機
  


■ リフレ派 VS 反リフレ派 ■

日本の経済論争は「リフレ派」と「反リフレ派」に二分されています。

リフレ派はこう主張します。
「通貨を大量に発行すれば景気は上向く」

反リフレ派の主張、
「グローバル化した通貨体制の下では、有効需要が不足した状態で
 通貨を増刷しても、金利を求めて通貨は流出し、
 国内経済を刺激出来ない。
 これはバブル後の日銀の金融緩和で証明されている。」



どちらが正しいかは、図らずもリフレ派の旗手
FRBのバーナンキ議長が証明する事となりました。

実体経済の回復(有効需要の増加)無くして景気回復は不可能なです。
そしてグローバル化した世界においては、
低金利で提供される資金は、より投資効率の高い新興国で巨大な需要を生み出します。


ちょっと考えれば高校生でも分かる事を
日本では20年も議論していましたが、
いよいよこの議論にも決着が付きそうです。

■ 「財政赤字は国民の資産」という大嘘 ■

リフレ派の言説で最も許したたいのは下記の様な言説です。

「財政赤字は国家という視点で考えた場合は国民の資産である。
 貸し方、借り方を国家と民間とした場合、
 国家の借金は、国民にっとは資産となる」


いろいろなテクニックでこの説を正当化しようと試みますが、
結局、極大化モデルを想定すれば、
こんな説が小学生でも騙せない事は容易に説明出来ます。

財政赤字が国民の財産ならば、いっそGDPの1000%にしてみれば良い。
さて、日本は世界一豊かな国になるだろうか?
答えは国家破産か通貨暴落です。

彼らの主張によれば、財政を拡大して通貨を市場に供給すれば、
国内経済が活性化して、景気が回復する。
当然税収も増えるから、財政赤字は将来的には減少する。
インフレターゲットの様に目標を明確化すれば、
制御できないインフレは防ぐ事が出来る。

しかし、バブル崩壊以降日本は財政出動により、
世界で最も醜いレベルのGDP比200%という財政赤字を作りました。

ちびちびと小出しにするから景気刺激効果が弱いのだとも言われますが、
大盤振る舞いした所で、マネーはより高い金利を求めて海外に流出します。
一過性の景気刺激は可能でしょうが、金利の内外格差を是正するのは容易ではありません。

■ 赤字財政の罠にようやく気付いたリフレ派 ■

「株式日記」は面白いネタを取り上げるので、
よく拝見させていただくブログですが、
ブログ主様は、リフレ論者的な主張をされていました。

ところが一転、本日のブログは、
リフレ論の限界について取り上げています。

http://blog.goo.ne.jp/2005tora/

「実際には巨大な財政赤字を抱える国家は、
金利上昇によって財政が破綻するので、
金利上昇を防ぐ為に景気をあえて悪化させる政策しか取れない」


という内容だと解釈して良いでしょう。

これは私が以前より指摘している内容です。

1) 日銀は金利上昇を防ぐ為、マネタリーベースをあえて低く抑え、
   景気浮揚を抑制している。

2) 日銀と金融機関は結託して、国債を買い支えている

3) 国民の預金資産が財政赤字の額を超えない限りこのゴマカシは続く

アメリカやヨーロッパをはじめ多くの国が、日本と同じ状況に突入しています。

■ 成長の限界と破壊 ■ 

では何故世界はこの様な状況に至ったのでしょうか?

それは「成長には限界がある」という概念抜きには説明出来ません。

日本とアメリカが端的な例です。、

1)第二次世界大戦後、アメリカの産業界は隆盛を極め多くの利益を上げる
2)アメリカの生み出す富は、巨大な消費を生み出す
3)アメリカの消費を満たすため、労働力の安い日本から多くの輸出が行われる
4)日本の国内は輸出による利益で内需が拡大する

5)アメリカから製造業が流出する
6)アメリカは富の生産に陰りが生じる
7)アメリカは輸入超過で貿易赤字が膨らむ
8)アメリカ国内の消費を維持する為に財政赤字が膨らむ

9)アメリカは輸入に歯止めを掛ける為と財政赤字縮小の為(国債の実質的切り下げ)
  ドルを切り下げる(プラザ合意)
10)日本に内需拡大を迫り、金融を緩和させバブルを発生させる
11)日銀の金利引き上げによりバブルが崩壊する
12)アメリカは日本への投資を一気に引き揚げ、高くなった円で利益を確定する。
13)アメリカは暴落した日本株を買い漁り、日本企業を支配する
14)日本は引き揚げられた投資の穴埋めを、財政で行う。

15)アメリカは借金で借金をする「影の銀行システム」をスタートする。
16)アメリカは「影の銀行システム」をフル稼働して金融で荒稼ぎする
17)アメリカは借金によって消費を拡大する
18)日本の輸出企業は円安とアメリカ輸出の拡大で利益を上げるが、
   利益の多くは株の配当として海外に流出。
   残りの利益も、銀行が融資を渋るので、内部保留という名目で海外に投資。
19)日本の輸出企業の高収益にもかかわらず、国内の景気は回復せず財政赤字が膨らむ

20)アメリカはリーマンショックにより景気が著しく後退
21)アメリカは強大財政出動と、FRBの超金融緩和でドルを大量に供給
22)アメリカで発行されたドルは、金利を求めて振興国に流入
23)新興国でインフレが発生。

24)アメリカの財政赤字が限界に達する
25)アメリカは金利抑制の為、株価下落を演出し米国債を防衛する。
26)アメリカは日本同様、国債防衛の為に具体的な景気浮揚が出来なくなる

結局、実体経済の成長を無視した経済成長は幻であり、
生産を伴わない資本の増大もあり得ないのです。



日本の景気低迷が長期化する背景には、
日本の生みだした富が、金利差によってアメリカに流出する構造が
バブル後に定着した事が分かりと思います。

1) 金利差を利用して投資として個人資産が流出
2) 老人達の預金の運用先として流出
3) 企業の内部保留の運用先として流出

4) 為替介入の不胎化で、米国債購入として流出
5) 外貨準備のドルを米国債で運用して流出

6) 外国人投資家の所有する株の配当として流出
7) 外国人投資家の投資の売却益として流出

この流出した資金の分だけ、日本国内では投資資金が不足し、
結果として、日本の景気が長期低迷する結果となりました。

一方で、不足する資金を財政で補った為、
GDP比200%という巨大な財政赤字を抱える事となり、
金利上昇による財政破たんを防ぐ為、
日銀はマネタリーベースを絞った為、
金利は限りなくゼロに近く、益々内外の金利差を拡大しました。

これは卵が先か、ニワトリが先かという論争ではなく、
金融マフィアに仕掛けられて二重のトラップでは無いでしょうか。

「ジレンマ」「トリレンマ」を背景とする罠からは決して抜け出せません。

この様にして、日本は成長の限界に達したアメリカの経済を、
20年もの長きに渡って、後ろから支える役を担ってきました。



結果論だと言えばそれまでかも知れませんが、
結果的にそうなっているのだから、
誰かが筋書きを描いたのだろうと考えるのが、
陰謀論者の考え方です。・・・その方が合理的ですから。

■ いよいよ精算を迎える世界 ■

成長の限界を迎えずに世界経済を回し続ける為には、
借金を肩代わりしてくれる存在が必要です。

「デカップリング」とは、新興国の生産と消費によって、
積みあがった先進国の借金を吸収させる計画の別称です。

しかし新興国の好景気は外需に支えられている為、
デカップリングが不可能な事がリーマンショック以降判明しました。

さらには、新興国は先進国の「借金」によって作られた
「幻の資金」の投資によってバブルを膨らめて来ました。
「幻の資金」の消失に際して、資金回収の流れは加速しています。


ウォンが、レアルが、他の新興国通貨がドルに対して暴落を始めました。
各国は通貨貿易の為に、必死のドル売りを仕掛けています。
そろそろ、新興国バブルも弾ける頃合です。

今後、「世界的な借金の精算」が一気に起こります。
本来は、金融機関の間で、それぞれの負債を清算しあうはずですが、
サブプライムショックで明らかな様に、
複雑に組成されたデリバティブは、分解が不可能です。

結果、全ての「借金=債権」が価値を失います。
債権の最高位は「米国債」ですから、これも無傷ではいられません。

ドルは「アメリカ中央銀行債権」ですから、
こちらも無傷ではいられません。

結局、世界中の国債と通貨が価値を失う事で、
借金は「痛み分け」の形で精算されます。

■ 利益は確定している ■

結局誰も得をしない様に見えますが、
実体経済を反映した分の利益は確定しているはずです。

「影の銀行システム」とは、誰かの手中にあるリアルマネーを
フェイクマネーをチラつかせて横取りするシステムです。

世界最大のリアルマネーの供給地は日本であり、
リアルマネーである故に、円が大人気なのです。

しかし、それも相対的な状況で、
今後、日本が財政破綻をすれば、円とて価値を失います。
大量の国債を日銀が引き取り、大量の円が一気に市場に放出されるからです。

・・・さて確定された利益は何処にあるのでしょうか。

通貨の形では価値は保存されません。
「金」が最も有力な選択です。

アメリカ連邦政府は、フォートノックスの金庫にある金備蓄を
金融機関に貸し出し、金を大量に売る事でドルを防衛していました。

さて、フォートノックスの金はいったい何処にあるのでしょうか?
スイスの山奥の地下にあるというウワサもあります。

スイスには世界の資産が集まります。
あらゆる通貨が紙屑と化した時、
1012年に発行されるスイスフランの新券は、
もしかすると金兌換通貨になっているかも知れません。


・・・・連休だというのに、とりとめも無い妄想にふけってしまいした。