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海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

二つの美術展(「坂田一男展」編)

2007-11-11 | 芸術・文化
我が国における抽象絵画の先駆者として評価を得ている坂田一男。
岡山市生まれで、我が町、倉敷市玉島にアトリエを構えていました。

そのことは聞き知っていたのですが、正直、抽象絵画はよく分からず・・・。
岡山県立美術館において「坂田一男展 前衛精神の軌跡」が長期開催されておりましたが、当初行く予定は全くありませんでした。
が、見たいと思った「日本赤字社所蔵美術展」と同じ美術館で開催されていたため、目にする機会に恵まれました。
ご縁があったのでしょうか。

展示スペースに入る前に、ビデオを流している空間がありました。
まずそこで情報収集―。
そこで放映されていたのは地元のケーブルテレビ・玉島テレビ放送制作「たましま百景 抽象絵画の先駆者、坂田一男」でした。

“明治22年生まれ”と知り、「あ、うちの曽祖父の二つ下だ!」と少し身近に感じました。
そして最期の脈をとったという主治医の先生の顔が写り、ますます親近感がアップ。
その方は、小学校時代の校医の先生だったのです。
私が生まれたときにはもうこの世にはいらっしゃらなかった画家・坂田一男ですが、不思議な思いを抱きつつ展示室に足を踏み入れることとなりました。


ぐるりと美術展会場を巡り感じたことは―。
「型があるからこそ型破りができる」というある本で出合った言葉と、展示の仕方の素晴らしさでした。

初期作品やスケッチ、デッサン、画帖、家族や友人に宛てた手紙など・・・。
到達した抽象絵画の世界だけではなく、それまでの軌跡が展示されてありました。
だからこそ、描く絵への強い信念が伝わってきたように思います。

“少しわかる絵を描いて売ったらどうだ”と言われ、凄い形相で怒ったことがあったという坂田一男。
純粋に自分が追求する絵画に取り組んでいたからでしょう。


「型があるからこそ型破りができる」
この言葉から思い浮ぶ画家が、もう一人います。
それは、岡本太郎。

彼の作品は一度見たら忘れないという、とてもインパクトがあるものです。
まさに「藝術は爆発だ!」といった感じ。
それがたまたま見たテレビで、意識が変わりました。

戦時中、眠っている仲間の兵士を描いた一枚のスケッチ。
それは繊細な線で描かれた、ハッとするほど美しいものでした。

“前衛”という言葉を冠せられる人々は、革新的であるがために受け入れられにくい場合があります。
でも前衛でいられるのは、それまでの基礎・型がもの凄くしっかりと出来上がっているから―。


“前衛”“先駆者”。
自分の思う絵の世界を信じ、追求し、切り拓いて行く人。
その<心の強さ>を感じた美術展でした。

職場見学

2007-11-06 | 今日のつぶやき
「今日のつぶやき」というカテゴリーを作ってみました。
つぶやき?ひらめき?思いつき?、そんな感じのささやかなものです。

さて本日は―。
「父親、母親の職場見学があればいいのにな~。」

中学校くらいになると、よく職場体験という体験学習の時間がありますよね。
それよりも。
自分達の生活を支えてくれている保護者の職場に行って、お父さんやお母さんが一生懸命働いている姿を見る機会があってもいいのにな、と思うのです。
最近は親がどんな仕事をしているのかよく分からない子ども達もいるようで…。

現実的には難しいことかもしれません。
皆さんはどう思われます?

二つの美術展(「日本赤十字社所蔵美術展」編)

2007-11-06 | 芸術・文化
先日訪れた二つの美術展。
どちらも心に残るものとなりました。
まずは「日本赤字社所蔵美術展 ―人道と平和への想い― 」の感想です。


この美術展のことを知ったのは、日本赤十字岡山支部で行われた講習会でのことでした。
予定時間を過ぎてしまった講習会の最後に、講師の方が言われました。
「もっと赤十字社のことについてもお話したかったのですが、時間が無いのでこの美術展についてだけご紹介します。」と。

その方が指し示した場所には、東郷青児「ナース像」がプリントされた美術展のポスターが貼られていました。
日本赤十字社岡山県支部創設120周年を記念した美術展だということでした。

ここで少し疑問に思われる方もいらっしゃるはずですよね。
皆さんからの善意の寄付で活動が行われている赤十字社。
何故に美術品があるのだろう?、と。
私も一瞬「えっ?」と思いました。
実はこれらの美術品はすべて、作家さん方からのご協力により“寄贈”された美術品なのだそうです。

現在、日本赤十字社社屋(東京)に展示されているというこれらの美術品。
今回は昭和52年(1977年)の新社屋建設に伴い寄贈された品が公開されるということでした。
まとまった形での地方での展示は今回が初めてで、岡山に縁のある備前焼もお里帰りをしていました。
「ナース像」のモデルも岡山の看護師さんだとか。
この機会に是非とも拝見したいと思い出掛けたのです。


会場には20点の作品が展示されていました。
出品作家は、
東山魁夷、梅原龍三郎、東郷青児、パブロ・ピカソ、藤原啓、藤原雄、山本陶秀…など。

お目当ての「ナース像」(1974年作)ももちろん良かったのですが、それよりも同じ東郷青児が描いた「ソルフェリーノの啓示」(1977年)が心に響きました。

イタリア統一戦争の激戦が繰り広げられた「ソルフェリーノ」の悲惨な状況を目にし、国際的な救護団体をつくろうと考え、赤十字の礎を築いたアンリー・デュナン。
「ソルフェリーノの啓示」は、そのソルフェリーノの惨劇の中に立つアンリー・デュナンと、彼らに手を差し出している天使の姿が三人描かれています。

作者は、この絵を制作するために現地まで取材に出掛けられたそうです。
お亡くなりになられた年は1978年。
この作品が出来上がったのは1977年。
最晩年の作品です。
キャプションに記された年号を目にし、作者のこの絵に対する思いがさらにずっしりと伝わってきたように感じました。
出会えてよかったと思う作品でした。

認定証

2007-11-03 | 日記
日本赤十字社岡山支部から「認定証」が届きました。
10月に受講した「赤十字救急法基礎講習」の修了者認定証です。

受講証は講習を受けた者全員がもらえるものですが、認定証は“検定”に合格しないと頂けないのです。
検定というのは、講習日最後に行われる学科と実技の試験。
真面目に講習を受けていればクリアできるものです。

しかし、その日(その時)まで検定があるとは知らずに受講していたものですから…、緊張しました。
何しろ久々の“試験”。
送付案内に記された「合格」の文字を目にしたときは一安心でした。


「認定証」には「発行から3年間有効」と記載されていました。
何度か受けている「MEDIC FIRST AID」のプログラム「小児メディック・ファーストエイド」も2年ごとに講習の案内が送られてきます。
(「MFD」について以前書いた記事は→こちら
救急法も日進月歩の世界。
AEDもここ数年の間に普及しましたよね。
そしてやっぱり講習をうけていても復習をしていないと忘れてしまう…。
有効期間2~3年。分かる気が致します。

講習では「気道異物除去」の方法も学びました。
年間で、気道に異物を詰まらせて起こる窒息事故で亡くなられる方は、交通事故で亡くなられる方よりも多いのだそうです。

受講してみて最も大切だなと感じたことは「判断して行動すること」でした。
以前新聞の記事で、あるアンケートを目にしたことがあります。
それはAEDが目の前にあって使用できるかどうかというものでした。
その結果、講習を受けていても躊躇する方が結構いらっしゃいました。

その場に居合わせたとき、的確な対処が出来ればとても素晴らしいことです。
でも、なかなかそうはいかないのも現実です…。
そんなとき、周りの方々が一緒になって手助けをして下さったら。
きっと助かる方も増えるし、救助しようと思った方も心強いと思うのです。
一人ではなく二人、二人よりは三人で―。

認定証を手にし、改めて心を新たにしました。