海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

二度目の卒業式

2009-03-31 | 思い出す事など


2009年3月31日。
本日をもって、大学時代の恩師が退官されます。

今年の初めにお聞きしたこのお話。
大学にいらっしゃる間に、是非一度研究室をお訪ねしようと思っていました。

 

今月中旬、研究室の片付けをされていると知り、何年ぶりかに大学に行ってきました。
私が通っていた頃と比べると、随分と変わっていたキャンパス。
けれど、先生の研究室の場所は全く変わっておらず、懐かしさが込み上げてきました。

研究室の扉を開くと、懐かしいお姿が―。
もう随分とご無沙汰をしていたにも関わらず、ありがたいことにしっかりと覚えてくださっていました。

 

それにしても、すごい数の本、本、本。
仕事柄、本は必要だし本好きなのも知ってはいましたが・・・。
あの決して広くはない空間によくぞあれだけの本が収まっていたものです。
後日お聞きしたところ、ダンボールにして130箱になったとか。
5000冊はあったでしょう、とのこと。
ご自宅はそれどころじゃないらしく・・・。

私、お手伝いに行ったつもりが単なるお邪魔虫だったような気がします。
「先生、この本はいりますか?」
と、確認しながらの作業だったのですが、先生は本の内容をお話して下さるのです。
ついつい聞き入ってしまうので、はかどらず。
それにしても、すごい記憶力です。
私などは昔読んだ本の場合、主人公の名前さえ忘れていることが多いのに・・・。

 

研究者ですから、図書館に行くことも多い先生。
大学の図書館だけでは足らず、大学がある日は県立図書館にもお寄りになっていたそうです。
(先生は県外からお越しになっていました)

図書館といえば、思い出すことがあります。
最初の講義で、まず図書館に連れて行ってくださいました。
そして、「ここにはこんな本がある」「こんなときにはこういう本」と、案内しながら説明されました。
疑問をもったら自分で調べること。
これが大学で最初に学んだことでした。

大学時代に教わった中で、今でも一番感謝していることです。
勉強するということの基本を教えて下さったのだと思っています。

 

そういえば。
片付けをしている最中、先生の研修室には珍しい本を発見しました。
『世界の魚と友達になる本 図解水槽の中のフィールドガイド』(PHP研究所)

私「先生、この本はどうされたのですか?私の方が似合いそうな題名ですねぇ(笑)」
先生「実は魚が苦手でね・・・。」

よくよくお聞きしてみると、魚を“食べる”のが下手なのだそうです。
反対に、息子さんはとっても上手で、食べ終わった後には大きな骨しか残らないらしく―。

この本、ただ今私の手元にあります。
「欲しい本があったら持って帰ったらいいよ」と言われていましたが、まさか魚の本を頂くことになろうとは。
確かに、今現在の私の専門分野ではありますけどね。


  

そして、10日ほど前のこと。
何人かの卒業生が集まって、先生を囲んでのお食事会が催されました。

 


何期生という垣根を越えての集まりで、いろんなお話を聴くことができました。
それぞれの方の、それぞれの思い出。
懐かしいお話で盛り上がりました。


 

感謝の気持ちを込めて、会の終わりに集まった皆からお花を贈ったのですが。
ちょっと淋しそうな表情で言われましたよね。
「最近はお花ばかり・・・」と。

「先生、お家まで持って帰ってくださいよ~」
と、みんな笑顔で応えましたが、お気持ちは分かるような気も致しました。


 

先生、大丈夫です。
教え子たちは、いろんな土地でしっかりと根をはり、それぞれの花を咲かせていますよ。
先生は、これまでもこれからも、たくさんのお花を胸に抱えているんです。
大学で過ごした4年間を栄養にしたお花たちを、ね。

 

実を言うと―。
何だか私も二度目の卒業式迎えたような気持ちになっています。

   
    仰げば尊し 我が師の恩


先生、これからもみんなが集まってくるような大木で在り続けてくださいね。
そして、闇夜のときには花灯りで優しく照らしてください。



そうそう。
ご心配くださってありがとうございます。
いつご期待に副えるか分からなくて申し訳ないのですが・・・(笑)
それまで元気で長生きしてくださいね。




本当に長い間お疲れさまでした。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。







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4 コメント

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嬉しいお言葉 (mari)
2009-04-03 20:11:14
suzieさま

こちらこそ、素敵なお言葉を賜りありがとうございます。
マイナスイオンを感じて頂けましたか?
花や緑の効果が大、ですね(^^)
私の拙い文章をいつも助けてくれる被写体たちに感謝ですね。

写真と文章が合わさって、少しでも思いが伝わると嬉しいです。
返信する
マイナスイオン感じました (suzie)
2009-04-02 22:29:41
mariさんのつづる文章と、花の写真が心地よくシンクロして・・・・・、まるで花や樹がいっぱいの庭園にでもいるような、ゆったりとしてすがすがしい気持ちになりました。

素敵なお話と写真、ありがとうございます。
返信する
我が師の恩 (mari)
2009-04-01 21:35:36
omotannさま
3月31日はこの日記を書こう、花の写真もたくさん添えよう、と前々から決めていました。
感謝の気持ちを込めて―。
花の写真は随分前に撮ったものもあるんですよ。(それもフィルム用のカメラです)

卒業してからその大切さに気付く「教え」ってありますよね。
本当にありがたいことです。
omotannさんも素晴らしい先生に恵まれたのですね(^^)

「仰げば尊し」、私は大好きな曲なのですが最近あまり歌われていないようです。
いろいろと考え方があるようで、「蛍の光」が歌われることが多いようですね。

私たちの学年は少し変わっていて(笑)
大学が行ってくださる文学部全体の卒業記念パーティー・卒業式以外に、私たちの学科だけでもそれぞれ企画し実行しました。
「仰げば尊し」は、その学科だけの集まり(といっても全体の卒業式のあとの少しの時間)で歌った思い出の曲なんですよ。

年を重ねるごとに実感する“我が師の恩”です。
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時機を得た話題 (omotann)
2009-04-01 09:17:17
この時節にふさわしい素晴らしいお話を有難うございました。
添えられている花々がまぶしいです。

私も小学生の時の恩師が退官された折、記念に備前焼の銘々皿をお届けした時のことを彷彿とさせました。16年も前のことです。
様々なことを教わりましたが、その一つに“日記の原点”があります。前にも拙ブログで触れました。
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