Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

夢売るふたり

2012年09月30日 | 2010年代 邦

夢売るふたり

2012年 日本
監督・脚本:西川美和
出演:松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵、江原由夏、木村多江


貫也と妻の里子は小料理屋を営んでいたが、天ぷら油から火が燃えうつり、店が全焼してしまう。
すべてを失い、酒びたりの日々を送る貴也が、酔った勢いでした浮気がきっかけで、
妻・里子は、寂しい女たちの心のスキをついて金を騙し取る結婚詐欺を思いついた。
夫婦は、店の再開資金を得るため、女たちを次々にだましていく。

里子は、それを「夢を売る」と呼ぶ。
都会の喧噪の中で、自らの光を失った星たちを照らす些細な夢。
こんな、どうしようもない私でも誰かの役にたてるんだ、と。
自ら進んで貴也に金を渡す女たち。

じゃあ、その中で「夢を買った」と思える女性はどれだけいるんだろうか。
里子は、強く、賢く、どこか破綻している。
貴也は、この策謀は、里子の「腹いせ」に過ぎないという。

誰かしらの、心の闇をずっと見続けなければならない映画だ。
ずうっと胸が痛い。

監督/脚本の西川美和さんが現代版「夫婦善哉」を描こうと企画された作品らしいが
善哉のように甘くはない。
独自のスパイスが塩どころでは、ないからだ。