・・・最近読んでいる古代史の本は「日本史の誕生」という題名の本です。
「表紙の絵は聖徳太子像という説も最近、疑問とされています」
この本の著者は満州、朝鮮、モンゴルーなどの東洋史の研究学者です。
著者のこの本での主旨は、日本の歴史は720年の「日本書紀」から始まったというもので、「古事記」は十世紀の平安時代の偽作であると云う説である。
日本の倭王として明確なのは仁徳天皇からは歴史上の確かな存在と書かれています。
私は、読んでいて、最初は、この著者、ちょっと変と思いました。
しかし、読みすすめていくうちに、この著者の学者としての立場がはっきりわかってきて、この本に書いてあることは、学者らしいきちんとした理論的な説だと本の内容に納得がいきました。
この著者の立場を書いている文章の中で、気に入ったところは、最後の付録のような章でした。
第十三章「歴史の見方について」
以下のような、歴史の定義を書いています。
「歴史とは人間の住む世界の、時間軸と空間軸の両方に沿った、しかも一個人の直接、経験できる範囲を超えた、言葉による説明」。
この定義の後に「文字の使用があって始めて歴史が可能になる」と書いている。
彼によると、日本の歴史以前の国土の状態については、以下のように考えています。
倭人の存在が世界史に登場するのは西暦前108年の漢の武帝のころである。
それから八百年経って日本の統一王国ができた。
その間はきた旧雌雄沿岸を中心に、日本の国土は中国の植民地であったという考え方である。
著者のように、世界史の中で日本を考えると、日本のみで古代史を考えるのと、全く違った考えた方があり、同じように、現代の日本も、同じように、日本だけで考えるのでなく、アジアの中の日本を考えるとまた、違った判断ができるように感じた。