6月の声を聴くと川上牧丘林道開通の知らせがチラホラ聞こえてきます。
よく通っていたイメージがあったのですが、日記を紐解くと最後にいったのは2010年と書いてあって愕然。
一週間ほど前から大弛峠にいきたがっている諸氏のタイムラインに『自走がいいですよ~』とか無責任に燃料を投下して歩きまわっていると自分が大弛峠に行きたい病に罹患。6月は土曜日すべてに仕事が入ってしまった関係で、入梅前の日曜日、抜け殻になるまで走ってしまおうと陰謀をたくらんだわけです。こんなこと書くとYOMEに爆弾投下されそうだ。そして某所で
『緩募:大弛峠ポタ』と募集をかけましたが、「ポタのわけないやろ」と必要以上に警戒され、手を挙げてくれたのは前回のポタリング(しつこい)参加のKNZさんのみ。おかしいな・・・
『自走もいいけど、車出しますよ?』
『そうですか、ならば大弛峠のぼった後クリスタルライン走りましょうグヒヒ』
『どうやって甲府まで戻ってくるんですか?』
『瑞牆山荘まで行き、そこから信州峠登って野辺山経由で八ヶ岳見ながら帰りますかクケケ』
『そんなことしたら200kmになってポタリングになりません。STRAVAでルート引いたら獲得標高5000オーバーとか、死んじゃいます。』
『では瑞牆山荘からラジウムラインで帰りましょう。たぶん獲得4,000行きませんよ。』
『御意。翌日早いからなるべく朝早く行きましょう。』
とかいう会話があったとかなかったとか・・・
6月4日早朝3時半(!)横浜を出発。さすが6月、3時台なのに東の空が既に明るい。ガラガラの中央高速をすっ飛ばし5時半過ぎには目的地の敷島運動公園へ。メモ:早朝で空いていれば東名厚木を経由せず、16号町田を通過、当麻経由で愛川から圏央道入った方が少し早い。
敷島公園は高台にあって南アルプスの眺望がすnんばらしい。出発前から鋸山、甲斐駒、仙丈、鳳凰三山、北岳、櫛形山の稜線が拝めてテンションがあがります。移住したいくらい。
まずは牧丘へ。スタート地点から平地(登り基調)が30km近くあります。先が長いのでマイペースで・・・といいつつ二人で走るとちょっと速め。牧丘についてデイリーで補給。今日はこの先補給ポイントが本当に少ないのでここで沢山食べておきます。水分食料防寒具その他でジャージのポケットはパンパンパン。
スタート地点。いつも変わらないスーパーデラックス蓑毛ロングバージョンが聳えています。軽トラックが寄せてきて、初老の夫婦に『頑張ってね~♪』と温かい言葉をかけられました。ここはある意味自転車乗りにとっての聖地だからか?思わぬ暖かい言葉にテンションあがる。
30km近い日本版ガリビエ峠のスタート!
先が長いので、コントロールできるペースで・・・
といいつつ最初の鳥居まではAv300Wでした。7年前のタイムでは、体重はほぼ同じで240W 2時間10分という記録があります。
ですので出力を落としながら、後続のKNZさんを待ってまったり、とはいえ楽すぎることはないくらい、生かさず殺さずペースのちょっと下あたり(自分の心拍でいうと150台)で淡々と進めます。
今日はクロモリバイクなのでしならせるダンシングを多用。橋を渡って森林地帯にはいってからダムまでの区間 (8.4km)はAv 262W 157bpmでした。心拍を見ても、ちょっと会話するにはぜーぜーですね。体重78kgなのでタイムは凡庸です。
昔よく大弛参りをしていたころは真夏が多く、下界は直射日光地獄、森に入って天然の冷蔵庫、高度があがるとアブの大群に襲われるというパターンが多かったのですが、6月初旬ですとアブもまだでした。夏のイメージで水をダブルボトルで臨みましたが、ただの重り。暑さはちょうどよく、前をはだけちゃうとお腹を冷やしちゃうかな。結論としては6月初旬は登るには最適の季節です。
KNZさんと終始無言、時々ペースを戻すために会話、そして無言、ゼーゼー、ハーハーを繰り返し、先行する他の自転車乗りを抜きながら走っていると1時間ちょいで乙女湖へ。
ここで一回目の休憩(水分がたりていたので最初の水場休憩は飛ばした)。
ここから再度蓑毛ストレートを登り、10年前はまだダートだった区間の急斜面を登り、右へヘアピンカーブを抜けると大弛名物森の中のFalse Flat区間。アウターで行けなくはないですがここは見栄を捨てインナーで。
途中西側の展望が開けて南アルプスが!7~8年前はなんとなく南アルプス、名前はしらないけど高い山、だった光景ですが、チビ登山により登った山々が稜線シルエットの記憶と共によみがえり、ひとつひとつの峰を名指せるようになったのがこの7年間で変わったところかな。体重、出力、タイムいずれもほぼ一緒。(平坦区間は約5 km、平均勾配2.5%、Av 20km 211W 150bpm)
偽平坦区間が終わり、残り8kmの表示がでると再び勾配がきつくなります。
路傍には高山植物がチラホラ、前方には金峰山の雄大な山腹と、頂上の五丈岩の奇怪な姿が展開してくるようになります。ここからが一番きつい区間。
残りの距離と、タイムと、ワットと心拍、それぞれと相談しながらギリギリの領域を、そして時々思い出したように背中のポッケからカメラを取り出し一応ツーリングらしいことも。
それにしても長い、長すぎる(知ってたけど)。初めての人は心を複雑骨折するこの長さ。
のこり5kmくらいでKNZさんと会話
『ながいっすね~』
『そうっすね~ゼーゼーハーハー』
『今、心拍どれくらい(黒い視線)?』
『160かな~?ゼーゼーハーハー』
『(俺、今152位だな・・・どうしよう・・・160くらいまであげちゃおうか・・・)』
(暗黒面に落ちる音)
しばらくすると後方から気配が消えました。サーセン。逃げろ~
ここからは心拍160~170、260W、7年前の2時間10分を目標にタイムトライアルモード(といっても力は入らないけど)
今日使った呪文は冷たいボトルの水を火照った腿にかけて、筋肉を冷やすおまじない。水をかけて数分たつと脚がよみがえる気がしないでもない。
残り3kmで木のガードレールが出てくるとゴールは間近。全部だしきるつもりで追い込みますが、残り500m切って体力ゲージは残りゼロ、最後ペースアップする脚は残っておりませんでした。
結果:
28.1km 1716m up
2:21:40(手元計測は2:10:50)
261W 159bpm
登頂した後踵を返して戻ると、すぐにKNZさんが登ってきました。数分も差がついていなかったのでは。
この後は峠から15分のところにある展望台、夢の庭園へ。登山道わきにはまだ残雪があったので、クリートをアイゼン代わりに進みます。こんなところで役に立つとはwww
タイムアタックで疲弊した両足にはなかなかきつい10分登山でした。
そして森がひらけ360度のパノラマが・・・
御座石の上でしばし瞑想すると・・・・・
自然界のパウワーを頂きふわりと空中浮揚を行うことができました。
展望台にいると、今まで完全にAUは圏外で、峠でも不通だったにも関わらずじゃんじゃん着信メールが入るようになりました。ここの地形は
視野内に下界盆地の町が見渡せ
左右両翼に山裾が広がり
稜線上である
実は、このような地形は電波伝搬モデルでいうともっとも最適なものなのです、というのを最近仕事で知りました。AUユーザーのハイカーは経験的に知っていると思いますが。
絶景を堪能したあと、お昼ごはんに大弛小屋へ。
8年前以上はボンカレーの記憶しかなかったのですが、出されたカレーを見てびっくり、大ぶりの野菜がゴロゴロ転がっているではないですか。
思わず『うっっめ~~!』とうなる味でした。なんかグレードアップしたようです。
さて、ここまで50kmちょい。今日は140kmの予定ですから、まだまだ距離を残していますね。でも、もう完全に脚を使い切ってしまったのですが・・・
「ま、下りで脚を回していれば少しは回復するでしょ」的に楽観していましたが、そんなことはありませんでした。
頂上の気温は覚えていませんが、指ありグローブとウインドブレーカーがあれば大丈夫。個人的には二―ウォーマーがなかったので少し寒かった。そんななか悪路(とはいっても昔のグレーチング穴地獄から比べると格段の進歩)を縫ってダウンヒル、乙女湖まで降りてくると聞こえてきたのはエゾハルゼミの大合唱!!!結局ここから50km近く、山全体でエゾハルゼミが鳴いているんじゃないかというくらいの蝉しぐれに包まれながらのライドが続きました。
さて、コース的には乙女峠からクリスタルラインへ、焼山峠、乙女高原を少しだけ登ってから黒平の集落までダウンヒル(1700m→1100m)
黒平の集落。山間の宝石
個人的には黒平から先は未踏領域、ろくすっぽ地形の予習をしておらず、この後二つの峠が牙をむくとは思ってもいませんでした。
おなじみのオレンジの看板はクリスタルラインを示します。
登ることはわかっていましたが、どうせ林道の登り、ヤッホーサイクリングで乗り切れると軽く考えていました・・・
さて、味のある山間の集落、黒平から次のポイント木賊峠(トクサと読む。何度教えてもらえても覚えられず「コグレw」「キコリw」「モクゾクw」「キゾクw」と何度もまちがえては二人の間で人事不省に陥った。)
8.8 km、546 m上昇、6.1%
ヤビツ一回分ではないですか!!!聞いてないよ~!
しかもこの山奥ヤビツ、眺望には恵まれていない、コンクリート舗装の悪路、補給ポイントなし、変化をつけるつづら折れなし、同じような真っ直ぐストレートの同じ風景を延々とリピートするなんのハイライトもないつらい峠でした。
しまいには二人の怒りがMAXに達し(察し)『なんだこの峠は!なまえは・・・ううう・・・もうウ○コ峠でいいや!』となってわけです。今回のポタリングで一番きつい区間でした。
やっとの体、完全に脚をなくした状態で「コグレw」「キコリw」「モクゾクw」「キゾクw」木賊峠に到着、富士山ドーンを期待しておりましたが雲に隠れておりました。
個人的には隣の森のエゾハルゼミ大合唱がよかった。
ここからは今日の登り的ゴールの瑞牆山荘まではあと少し。まずは超凸凹悪路のダウンヒルをこなし(増冨側から登ることは推奨しません。悪路杉。)、下り終えると渓谷にでます。
ここがマイナスイオンあふれる癒しの空間。
『明日の今頃はオフィスで仕事か~。ありえない大自然だね~。』と話すほどのスケール。
この自然の中では10年選手の傷だらけボロボロ自転車もピカピカに輝いて見えます。
写真雑誌風のアングルで。
さて、ここから3km 240m登ると(これも結構つらかった)
本日の北限、瑞牆山荘に到着します。
山荘併設のカフェ「モンターニャ」では名物てごねハンバーグを頂けますが、3時も迫ろうかという時間でしたので売り切れでした。
そんなわけで、明日への糧となるローストビーフ丼を頂きます。へとへとなので何を食べてもおいしい。
今日のコースは山岳な上に、途中でコンビニ、売店どころか自動販売機もゼロ地帯でしたので、山小屋と山荘をつないで補給するためこのようなルートになったのです。
さて、これから基本下り基調を鉄砲玉のように降りていくのですが、その前に以前知り合いのコミュさんのブログで見た瑞牆山の山容が押し迫ってくるという瑞牆運動公園に足を延ばします。
これが素晴らしい!死ぬまで一回いっときなさいレベルの絶景スポットでした。
足元には山ツツジのピンク、新緑が織りなす緑の波、山全体を鳴らすエゾハルゼミの大合唱、どこまでも青い「八ヶ岳ブルー」の空、そして中心には巨岩・奇岩が織りなす瘤だらけの瑞牆山・・・
ここにはずっといたかったのですが、後ろ髪ひかれて帰宅の途につきます。今度はチビ登山で行こう。できれば山荘泊がいいな。
この後は気持ちよい弾丸ダウンヒルで一気に甲府へ・・・のはずでしたがまず下り始めてすぐ段差に打ち付けパンク。気を取り直して修理しましたが段差にトラウマができてしまいました。
基本は時折パンチのある登りがあるものの、延々と続く下り基調で気持ち良く下山。長かったけどね。
1555m→455mへのダウンヒル
38km 978mダウン 1時間22分 Av 33.4km 140W 126bpm
茅ヶ岳の近く、明野の町にでてから敷島運動公園につくまでが長く、時折でてくるエンドレスなパンチャー坂に苦しめられました。広域農道を使って移動は快適で速かったが。
この後近くの山宮温泉(600円)できれいさっぱり汗を流し、高井戸まで断続50km渋滞、東名も渋滞と聞いたので道志道経由、16号バイパス経由で帰ってまいりました。KNZさん長距離ドライブお疲れ様でした。
またデラックスポタリングイベントやるDeath!
距離147.2km
高度3,543m
加重平均パワー231W
平均スピード 20.6km/時
心拍数 139bpm
カロリー 5,332