短編集。実はけっこう登場人物たち本人にとっては重い話なんだが、うまく描けてるな、と。
座布団いちまい!
怪談の短編7編。表現がうまくて上質な物語だな、と。ちなみに最初と最後が奥多摩の御岳山の話で、あとがきのインタビューによると、氏は御岳山の神主の家系らしい。
伊藤計劃の道具立てに円城塔の世界観か。あまりピンとこなかったが、読者の力量を問われている感じもする。つまり、力量がないかも^^
表題作と「良い夜を持っている」の中編2編。
伊藤計劃の未完の遺作「屍者の帝国」を引き継いで書いた著者の作品を1作くらい事前に読んでおこうと思って読んでみたが。。
タイトルから言葉をテーマにした小説だろうと想像は付いたものの、むちゃくちゃ読みずらい。言ってみればタイトルどおり^^ 両作とも似たような話だが、どうにも付いていけん。といって、2度読みする気も起こらない。じゃあ単純につまんないかと言えばそうでもない気もする。ってんで、やっかいです。
「屍者の帝国」、図書館で半年待ちだったけど、ちゃんと読みきれるか、心配になってきた^^
メガバンクからリストラされてタクシー運転手になった男のお話。設定は安易のようにも感じるが、タクシー業務のディテールがリアルでいいな、と。また、話が深刻にならずユーモラスなところもいいですな。
豚飼い素人のルポルタージュ作家が自分で飼ってつぶして喰うまでのルポ。話が深刻にならないところがいい。豚に名前を付けてしまうところなどかなりシュールである。
改めて思ったのは喰うことにはお国柄が出るなということ。野菜や魚やイセエビや鶏(鶏は日本人でも人によって温度差があるか?)は食い物の対象としか認識しないが、豚や牛をつぶすというのにはいくら理屈をつけてもやはり多少の抵抗は感じるな、と。これが鯨やイルカだとまたなんとも感じないわけだが。
屠畜場に連れて行くためトラックに載せるところとか、屠畜場での待機、実際に〆るところとかはちょっとアレだったな^^ しかし、著者には共感する。まあ自分にできるかというと微妙だがな。つぶさない、ってのも偽善っぽいと思うし。その場に直面しないとわからない、というのが正直なところか。
豚を飼う日常の感じとか、食肉の流通についてとか、いろいろと興味深く読めました。
連作短編集。と言っていいのか。別々な話が展開されるが全体で統一感がある。ちょっと思いつかない独特のオリジナリティがある。と思ったら、あとがきを読んで二度びっくり。こんな小説の作り方があるとは。座布団いちまい!
いい小説だった。なんか重松清の「疾走」のような展開になるんじゃないかとハラハラしながら読んだけど、そうはならず、よかったよかった^^
山形県鶴岡市の工場で派遣切りにあった若者4人が東京までの600Kmをハイキングで帰るお話。非正規労働などのメッセージはいいから、もっと長距離ハイキングのディテールを描いてほしかったな。
冒頭のホームレス生活の描写が秀逸だが、新興宗教を起こす過程と失速ぶりはちょっと期待はずれ。主人公以外の登場人物の深堀がイマイチ足りないところが残念。