連作短編集。山が舞台だが女子向け(?)の内容でいまいちストライクゾーンに入らず。まあ、完全に好みの問題だ。
[若干ネタバレ注意。影響のない程度だと思いますが気になる方はスルーしてください]
最終章で「数年後311云々」の記述があるので、時代背景は2005-2010年くらいだとわかるが、この雰囲気は個人的な感じだと80年代以外の何物でもない。LPレコードはA面、B面と裏返して聴くからいい、とか、わかるんだが、いったいいつの話なのかよくわからずに読んでいた。プリウスが出てくるので90年代後半以降ということはわかっていたが、よく読めば他にもあるのかもしれないがヒントはそれくらいで、主人公は携帯も捨ててしまって固定電話のやりとりしかしないし、当然Eメールもインターネットも出てこない。なお、登場人物の免色渉氏はIT関連の経営をやっていた設定だが、具体的には何も描かれていなくて、そのあたりも時代の雰囲気をわからなくしていて、よくない。
そういう時代背景が不明なせいかどうかはわからないが、イデアやメタファーの登場人物たちもどうにもしっくりこない。さらには、過去の「ねじまき鳥」や「世界の終り」や「1Q84」と同様のモチーフも多数ありで、唯一オリジナルでいいと思ったのは主人公が画家で、考える発想のようなものがしっくりくるところ。これは過去の小説にはなかったんじゃないかな。(あったかもしれないが、忘れている)
が、画家であってもさすがはハルキ。スコッチやバラライカやペリエは飲んでも、決してホッピーやウーロンハイは飲まず、カネには困らない。2000年代の小説としては浮世離れしている。70年代や80年代ならよかった。波はあっても少しづつ経済的にはよくなっていくだろうという時代の空気があったから。その当時の雰囲気そのままで能天気に自分探しだかなんだかしらないが勝手にやっててもらっても困るんだよね。騎士団長の言葉を借りるなら「あらない、あらない」である。この「あらない」はよかったが。そういえばタイトルもハルキの小説でなければ読む気にならないタイトルだ。
と、さんざん書いたところで、やっぱりこの人の文章はいいとは思った。ただ内容がもう付いてこないだけ(?)だ。毎度期待してしまうんだよね、ハズれるけど。
合掌。
大人のファンタジーという趣で、家族や知人との関わり方の描写がよかった。
タイトルに惹かれて読んでみたが、ランについては脇役というかあまり重要な位置づけではないと感じた。まあこれは自分がランナーの端くれだからだろうね。人生とフルマラソンを関連付ける発想はランナーでない人にはあるかもしれないが、ランナーにはない。100Kmや100マイル等のエンデュランス系はやったことがないが、それでも同じだろう。話がそれたな。。
「夜の底が白くなった。」で有名な雪国だが、駒子のモデルが亡くなった記事から始まるお話。川端先生はじめ、いろんな引用が多すぎるところが芸がないなと思うが、最後まで読むとそれなりの味わいがあるからまあいいかな、と。
タイトルと内容が全然あってないが、披露されている反対語の漫才から持ってきているならモチーフとしてはあっている。が、そうだとすれば疲れるぞ。まあ、疲れるところが飛び出せ青春。ということでよしとするか。
「化身」、「雷魚」、「幸せというインコ」の短編3編。
この「化身」というやつはすごい。こういう小説は読んだことがない。「宮ノ川顕」、覚えておこう。
「アンダーグラウンド」は地下鉄サリン被害者へのインタビュー集だったが、こちらは元信者へのインタビュー。インパクトあり。この人たちはものすごくものを単純化して考えてるようだな。
短編集。出てくる登場人物たちは肉体的な健康面では問題ないし、カネにも困っていなくていい仕立ての服を着て、ビールかワインかウィスキーかペリエを飲んで、決してホッピーは飲まない。でも精神的にはどこか病んでいて偏執狂っぽい、といういつものハルキワールド。なぜか読ませるんだよね。やれやれ、と。