前回読んだ「キュア」では名前の印象もあり疑いもなく作者は男だと思っていたが、この本の帯には「現代の巫女田口ランディ云々」とある。えっ、と思ったが、巫女かどうかは知らないが、これは作風が違って女性のものだろう、と。
氏の小説は初読。生命誕生の歴史や末期がんが消えたカリスマサバイバーや、トレイルランナーならおなじみの千日回峰行の阿闍梨なども登場して個人的に興味のある素材が満載な感じ。とは言え、特殊な能力を持つ主人公の医師や看護師は、「話半分」な感じ。世界あるいは宇宙を「ふるえ」と表現したところは、技ありか。
マネーロンダリングを題材にした小説だが、結局名前と生年月日を変える、そのために自分と似たような性別・年齢の人物になりすまして免許証やパスポートを偽造する、という小説ではよくある話の展開でなんかイマイチ。金融商品を使った小細工については小むずかしくてよくわからなかったが、そのあたりも残念。
たぶん大作の方は読んだことないはずだが、ロシアの長い名前や、本名と全然違う愛称が出てきて、登場人物をなかなか覚えられないところは高校の頃読んだうろ覚えの文豪ちっくな感じはした^^
小説としてはおもしろい。これを機に大作の方を読むのもいいかもしれないが、長くておそらく退屈なんだよな。。
どこか異国の星(?)に行かされて、そこで10個の願いまでかなえられるというお話。ファンタジーだが、いつもの鬼太郎ワールドとはいかず何か中途半端な感じ。
時代考証がまったくなってないというか、不必要だったという文句はあるが、独特な世界観はやっぱりいい。文体からいっても「今」でやってもらえると違和感なくいけると思うんだが、どうか。
虐待が虐待を生む、というありがちな話ではあるが、幼稚っぽいが暖かい文体にいい雰囲気がある。乙一が帯を書いているが、そうか、似てるかも。
ルポ。ダウン症児の施設、障害者の劇団、子供ホスピス、自由学校、ラブドール愛好者、著者の古里尾道などのお話。感想などはよしとくが、たまたま読後にホテルの宴会場でリーマンの「懇親会」に参加していた自分がえろう虚しく感じた、とだけ言っとくか、ぶつぶつ。
岩波新書の貧困大国アメリカシリーズ、読む順序は2番目と3番目が逆になったが3部作読了。オバマ大統領にチェンジしてもさらに貧困化が進むワケは、新自由主義や社会主義を超えた新しい枠組みである政治と企業の癒着主義(コーポラティズム)だという。
カネがなくてはどうにもならないというのが現実で、どうにも悪循環しちょるな。