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俺祭りで行こう

やりたいことしかやらない俺祭り104(おれまつりとし)のへなちょこブログ。

渡辺淳一「遠き落日」

2010-09-10 | 読書・作家ワ行
 偉人、野口英世伝。 

 働きもせず朝から飲んだくれる親父さん、勤勉でわが子を慈しむおっ母さん、会津の極貧の家庭環境、で、極めつけは「てんぼう」の金看板を背負ってしまいには「黄熱病の研究」でアフリカで客死する本人、と義務教育でも習いましたが、梶原一騎も真っ青なシチュエーションを地で行ってしまっては泣く子も黙るというもの。借金踏倒し回数日本記録保持者として没後お札にまで登りつめたわけだから、やりますよね(?)

 小学校のころ、教室の壁にあったエジソン等の肖像がなつかしい。これらの偉人さんのコメントにはなにがしかの発明や発見の一言が書かれてありましたが、野口英世だけは「黄熱病の研究」で、なにか違和感を感じたものでした。だって研究するだけなら誰でもできますからね。研究の分野においては、おそらくがんばったかどうかはあまり問題じゃない。でもそういったことも含めて、人間野口がビジュアルに迫ってきて読後の余韻が残るいい小説だと思いました。