2018年出版の鮮度のいい本。このところ人類の歴史について調べていていちばん思ったのはこの分野は研究が日進月歩で進んでいるため新しいヤツを読まないとダメということ。まあ、切りがないと言えばそれまでだが。
で、とうとうネアンデルタール人が現生人類の一部(交配していたことから)というところまできてしまった。著者はそこまで「強く」言いきってはいないが、ゲノムの分析結果から見て同じものが一部見つかるとのこと。
最先端の話はあえて書いていないとのことだが、そうは言っても今では間違いとわかっていることも書いてはいないだろう。ダーウィンの「自然選択」(有利なものが生き残る)から「中立選択」(生き残るのは偶然に支配される)への流れ、さらには人類特有の「社会選択」(婚姻制度などのいろんな文化に由来する選択)の見解など入門書らしくわかりやすく書かれていた。
ここまで何冊か読んできて、自分が知りたかったことのまとめ。
・なぜ2足歩行を始めたか。これについてはいろいろ説はあるが今のところ明確な答えはなさそうである。有力なのは「手」が自由に使えるというものだが、だったらなんで人類だけなのか説明に困るわな。
・もともと何を食べていたか。果実中心食から始まっているようだ。火を使わないで生でそのままおいしいものというのは今の我々が考えても果実とトマトしかない(?)から十分理解できる。火を使うようになったのは現生人類以前の猿人でもやっていたらしいので、そのころ(数百万年前)から圧倒的にいろんなものを食うようになった。炭水化物を多く摂るようになったのは1万年前の農業革命から。炭水化物が「悪」かどうかは実際のところ不明。
・なぜ人間だけは長時間走れるのか。これも明確には不明。だが、出アフリカから最長でアメリカ大陸まで移動してきたわけだから長距離耐久力はもともとあるということだろう。また氷河期を含めていろんな気象条件に対応できたのも耐久リキ抜群である。
・ストレスとは何か。これはよくわからんが、現代人のストレスというと「悪」だが、どうも文脈からすると耐久性を高める試練(≒善)のような感じもする。
・酒やタバコやコーヒーやマリファナについて。これは人類学、分子生物学のフィールドでは扱っていないようである。お門違いか。
まあ、もう少し調べてみます^^