俺祭りで行こう

やりたいことしかやらない俺祭り104(おれまつりとし)のへなちょこブログ。

小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」

2024-10-18 | 人類史

 この本は講談社現代新書で生物学の解説書であるが、著者の個人的な感想の類がおもしろい。たとえば「何も対策を取らなければ、残念ですが日本などの先進国の人口減少が引き金となり、人類は今から100年ももたないと思っています。」とか。

 100年というのは衝撃的な短さだし、対策が政治的な対策であるところなど本質的ではないと感じるんだが、生物学のDNAやRNAのしくみなどこの本以外でもよく出てくる何度読んでも頭に入ってこない科学の話のウラで、このような科学と直接関係ない話が出てくるところがおもしろい。もっとも、そういう話に期待して自分はこの手の本を読むクチなんだが。

 いい悪いではなく、生と死が繰り返されて進化し続ける以上死ぬことは必然であるとした上で、死ぬ恐怖についての発言や今後のAIに関する考察なども非常におもしろく、人とは何かを考える上で参考になる。

 結局自分が人類史に興味を持つ点は、今時点の感じで究極を言えば「心の平安を得るため」(笑)である。が、話が迷宮入りしそうなんで一旦この辺でヤメとくか。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長谷川眞理子「自然人類学者の目で見ると」「進化的人間考」「ヒトの原点を考えるー進化生物学者の現代社会論100話ー」「進化生物学への道」

2024-09-29 | 人類史

 来たかチョーさん、待ってたドン、よ。

 このようなホンが人類というものに関して自分の知りたかったストライクゾーン。知りたいことはなんでも学者から教えてもらおうという丸投げは氏が言うとおりきっとよくないんだろうが、丸投げしたいお年頃なんだよね。もちろん読んだ上で考える部分はあるが。

 たとえば現代人が塩分や甘いものや脂肪を取りすぎてしまうのはなぜか?

 それはもともと、そういうものは希少価値で取れないものだったからという情報がそのまんまで今に至るまで変わらずに情報として組み込まれているから取りすぎへの制御が利かない、など。

 また、科学というものはどんどん専門化、細分化していきがちだが、かなり俯瞰した立場からの考察だと思うような記述も多いし、場合によっては宗教も持ち出す。ただしそれも、反則な感じがしない記載内容だったりするところがよい、感じがする。

 20万年前のホモサピエンスの出現から狩猟・採集生活を営み続けていた頃の、牧畜・農耕が始まる1万年前までの間にはリーダーは存在しなかったという推測なども、イマイチ根拠はわからないが一つの意見としてはアリかなとも思ったり。

 ただ、興味の方向性はやはりあるのかな、と。

 大学のあり方やジェンダーに関する考察が多いのは、大学の学長経験者であることや女性であることと無関係ではあるまいし、人類が7万年前にアフリカから出てから移動し続けたことは書いても、なぜ長距離を走ることが得意なのかについての考察が全く出てこないのは、そこんとこには全然興味がないからだろうな、と^^

 いずれにしても自分のツボを刺激する記載が多くて、これからも勉強させてもらいたいと思っている次第である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安田喜憲「1万年前」

2019-06-22 | 人類史

 「年縞」による地質調査などの話だが、「〇〇を最初に発見(とか、命名)したのは私だが」とかハナにつく発言が多く、あとがきには弟子(?)2人まで登場させる念の入りようで、これでは内容に疑問符がついてもおかしくない。あくまで個人的な感想だが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネッサ・キャリー「エピジェネティクス革命 -世代を超える遺伝子の記憶」

2019-05-04 | 人類史

 いろいろと感心するんだが、どうしても腑に落ちない点があるとすれば、科学がどんなに進歩してもいつまで経っても限界があるというところだな。と言って、精神論とクロスさせればおかしなことになるし、過程を楽しむ遊び心のようなものがないと、このような研究の類はやってらんないだろうな、と。まあ、筋違いな感想だが^^

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イアン・タッターソル「ヒトの起源を探して 言語能力と認知能力が現生人類を誕生させた」

2019-03-31 | 人類史

 原著は2012年発行なのに和訳が2016年に出された時点ですでに最新の注記が必要なくらいで、とにかくこの手の本は新しいものを読まないとダメだが、そこは著者もわかっていて、「50年後には滑稽に思える本になっているだろう」と自虐ネタも披露しているが、50年どころか数年で劣化してしまう。

 それはさておき、現在わかっているのは現生人類はだいたい20万年前くらいに登場して、その前の世代は不明だということ。自分としてはそれだけわかれば十分だ。こっからは20万年前から1万年前の農耕・牧畜革命までとその後の期にわけて焦点を当ててみることにする。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パット・シップマン「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」

2018-12-16 | 人類史

 カテゴリは「読書:ランニング関連」にしているが、人類史、分子生物学関連はそっちのカテゴリを新設するかな。タイトルの真意はともかく、肉を食っていた歴史が長いことはわかる。はじめ人間ギャートルズとなんとなく被るところがおもしろい^^

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

太田博樹「遺伝人類学入門」

2018-10-22 | 人類史

 2018年出版の鮮度のいい本。このところ人類の歴史について調べていていちばん思ったのはこの分野は研究が日進月歩で進んでいるため新しいヤツを読まないとダメということ。まあ、切りがないと言えばそれまでだが。

 で、とうとうネアンデルタール人が現生人類の一部(交配していたことから)というところまできてしまった。著者はそこまで「強く」言いきってはいないが、ゲノムの分析結果から見て同じものが一部見つかるとのこと。

 最先端の話はあえて書いていないとのことだが、そうは言っても今では間違いとわかっていることも書いてはいないだろう。ダーウィンの「自然選択」(有利なものが生き残る)から「中立選択」(生き残るのは偶然に支配される)への流れ、さらには人類特有の「社会選択」(婚姻制度などのいろんな文化に由来する選択)の見解など入門書らしくわかりやすく書かれていた。

 ここまで何冊か読んできて、自分が知りたかったことのまとめ。

 ・なぜ2足歩行を始めたか。これについてはいろいろ説はあるが今のところ明確な答えはなさそうである。有力なのは「手」が自由に使えるというものだが、だったらなんで人類だけなのか説明に困るわな。

 ・もともと何を食べていたか。果実中心食から始まっているようだ。火を使わないで生でそのままおいしいものというのは今の我々が考えても果実とトマトしかない(?)から十分理解できる。火を使うようになったのは現生人類以前の猿人でもやっていたらしいので、そのころ(数百万年前)から圧倒的にいろんなものを食うようになった。炭水化物を多く摂るようになったのは1万年前の農業革命から。炭水化物が「悪」かどうかは実際のところ不明。

 ・なぜ人間だけは長時間走れるのか。これも明確には不明。だが、出アフリカから最長でアメリカ大陸まで移動してきたわけだから長距離耐久力はもともとあるということだろう。また氷河期を含めていろんな気象条件に対応できたのも耐久リキ抜群である。

 ・ストレスとは何か。これはよくわからんが、現代人のストレスというと「悪」だが、どうも文脈からすると耐久性を高める試練(≒善)のような感じもする。

 ・酒やタバコやコーヒーやマリファナについて。これは人類学、分子生物学のフィールドでは扱っていないようである。お門違いか。

 まあ、もう少し調べてみます^^

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スティーヴン・オッペンハイマー「人類の足跡10万年史」

2018-09-29 | 人類史

 和訳がなぜ「10万年史」なのかわからないが、現生人類の出現から約20万年、出アフリカから7-8万年ということなので、出アフリカに焦点を当てたんかな、ということで。

 ここ数冊人類史を読んで感じるのはいろいろわかってきたのが80年代以降で、それ以前の人類史はほぼ全否定ということ。しかも近年ますます研究が加速しているとのことで、この本が2007年出版だから、おそらく現時点ではもっといろいろわかっているんだろうな、と。三ケ日原人はこの本でも出てこなかったが、ネットでちょっと調べてみたらどうやら縄文人らしく、原人ではないらしい。つうか、学校で習った「原人」というのがそもそも間違ってるわけだから、どうしようもない。

 けっきょくのところ、数万年前から600万年前のもので見つかるのは石器と骨(他の動物類も含む)だけだからそこから推測するしかないわけで、「分かる範囲で分かる」という健康診断の結果みたいなもんである。人類史に関して思うのは、わかったつもりになるのがコワい、ということで、本来知りたかったことは遠くへ行ってしまった感じ。

 とはいえ、もう少し調べたい^^

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河合信和「ヒトの進化七00万年史」

2018-09-15 | 人類史

 自分が小学校か中学校で習った猿人(アウストラロピテクスなど)→原人(ピテカントロプスなど)→旧人(ネアンデルタール人など)→新人(クロマニヨン人など)という進化の流れは今では全否定で、全部の今の我々はアフリカからやってきた、などなんとなく知っていることを含めて勉強になった。というか、学校でいかにも「事実です」と習ったことがとんでもない間違いだったというのが虚しい。三ケ日原人の話はどうなったんかい。無視かよ。なんでも80年代後半以降に急速にわかってきたことがたくさんあるらしいが、だからなんなの、という気持ちがなくもない。

 走ることはなんなのか、二足歩行とはどういうことか、ナイキは間違っているのか、人はなにを食べていたのか、ストレスとは何か、などを知るために人間のルーツまでさかのぼっているわけだが、さかのぼり過ぎかもしれん。この調子だと「単細胞生物がすべての根源」とか「植物もみな兄弟」とか宗教・オカルト・ゲバ棒・ノンポリ・飛び出せ青春のサイケな夏を横須賀で(?)になってしまう。それはそれでよしだが。

 とはいえ、もう少し調べてみるか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローワン・フーバー「ヒトは今も進化している 最新生物学でたどる「人間の一生」」

2018-08-24 | 人類史

 雑談コラム集で、いまいちピンとこず。ヒトは今も進化している、というのは言うまでもないことだと思うが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダニエル・E・リーバーマン「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病」

2018-08-05 | 人類史

 ヒトの歴史について体系的にまとめた本をずっと読みたいと思っていたが、やっとぶちあたった。この本によると、

600万年前~:猿人類から分岐して直立二足歩行を開始。果実中心食。

400万年前~100万年前:アウストラロピテクス出現。果実+葉、茎、草、塊茎、種子食。

260万年前~20万年前:ホモ属出現。狩猟採集。

20万年前~:ホモ・サピエンス(現生人類)の出現。

4.5万年前:最初の靴。

1万年前:農業革命。最初のサンダル。

5500年前:現存する最古の靴(モカシン)。

250年前~:産業革命。

 狩猟民族と農耕民族という切り分けがあるけど、歴史的な流れでは狩猟採集→農耕文化(牧畜を含む)の流れで、しかも農耕を始めたのは時間軸から言うと約1万年前ということで、「ごく最近」ということを改めて理解した。20万年前とか600万年前とか言われてもその違いに関しての実感はわかないが、とにかくものすごい長い時間をかけて今の人体の仕組みができ上ったことがわかる。

 ところで、著者のリーバーマン博士は「BORN TO RUN」にも言及している。この本の中(訳者あとがきを含む)でも触れられているが、「BORN TO RUN」が出たのが2009年で、1年後に「ネイチャー」誌にベアフットランニングについての論文を発表した、とある。

 この本の端的なスタンスは下記の引用でわかるだろう。

 「いまこれを読んでいるあなたは、おそらくどこかに座りながら、人工照明を使って文字を見ているだろう。そして足には靴を履いていて、部屋の空気はエアコンで冷やされたり暖められてしているかもしれない。そしてときどき炭酸飲料をすすっている。この状況は、あなたのお祖母さんが見ても普通だと思うかもしれないが、じつはこれらのどれ一つとしてー座っていることや、本を読んでいることでさえー人間にとっては正常でない。」(下巻p211)

 とはいっても、押しつけがましくなにかを強制しているわけではなく、どう折り合いをつけていくのか考える必要があるというスタンスだ。肥満や近視や糖尿病や心臓病や虫歯や水虫やある種の癌など、過去にはなかったか極めて珍しかったとされる病気の予防を考えるヒントにはなるかもしれない。別に強制的に裸足で走る必要はないです^^

合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トル・ゴタス「なぜ人は走るのか-ランニングの人類史」

2013-02-28 | 人類史

 古代ギリシャ時代の伝令から現在の耐久系までのタイトルどおりのランニングの人類史。走る理由や目的は古今東西まったく異なるが、突き詰めると「よりよく生きるため」ということに集約されるような気もする。

 中村清監督と瀬古選手の関係が「禅の精神」に則っていたなどの記述はいかにも西洋人の書きそうなことだったりするが、全体的には納得のいく記述ではあった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする