最近おじゃまさせていただいている
「ブラームスに愛をこめて」というブログに、とても素敵な記事がありましたので、許可を得て一部ご紹介いたします。
Authorのrinさんは、イギリス在住の2児(4歳&6歳)のママさんで、ご主人に伴い渡英、この10月までの2年間滞在されています。
2008年10月に10年ぶりにピアノを再開され、お子さんと共にロシア人ピアニストからレッスンを受けていらっしゃるそうで、ヨーロッパでのコンクール入賞(1位、2位、など)、ニューヨークカーネギーホールでのコンサートとすばらしいご活躍でいらしゃいます。
この夏サマースクールに参加された日記から~
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<マンチェスターのサマースクールはヨーロッパ最大と言われていて2週間で400名を超える受講生が参加します。ピアノのコースには専門的にピアノを学んでいる人向けのコースの他に、アマチュアの大人向けコースがあります。
*****(中略)*****
今回、マスタークラスを聴講に行ったら、最初の受講生は1人のおばあちゃんでした。60代半ばくらいかな?髪は真っ白、痩せていて、背中は丸まっていて、もうピンと伸ばしては座れないという感じ。
このおばあちゃんが弾いたのはラフマニノフのプレリュードop.32-10。背中の丸まったおばあちゃんとは思えない程しっかりした音で弾き終わり、みんな拍手。「ソフトペダルを使ってみたら?」という先生からのアドバイスに「使ったことがないから怖くて踏めないんです。」と。「何も怖くないわよ~。足をソフトペダルに乗せておいて、私がココと言ったら踏んで。」と先生がいい、ソフトペダル初体験。嬉しそうでした。このおばあちゃん、ご近所の方にピアノを教えているそうです。でも音大を出ていないので、今は地元の大学の生涯学習のようなコースで音楽の勉強をしていると言っていました。偶然ですが、私は去年、このおばあちゃんのコンサートも見ていて、去年はハイドンのソナタを楽譜を見ながら一生懸命に弾いていて、その姿が印象的でした。なので、今回、一目見た瞬間、「あ、去年のハイドンのおばあちゃんだ!」とすぐにわかりました。60半ばで大学で音楽の勉強をして、ご近所の方にピアノを教えて、毎年夏にこのコースに来て刺激をもらって帰って行く、なんだかそういう老後の過ごし方って素敵だなーと思いました>
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実に理想的な老後、ピアノとのかかわりで、自分もぜひかくありたいと思います。
そういえば、昨日は区民文化センターのピアノ開きで、午後の2時間ほど聴きに行ってまいりました。
子どもから大人まで、「始めたばかり・再開したばかり」という方から、先生とおぼしき方々まで、さまざまな方が弾いておられました。
思いがけず私の知人がプログラムにのっていて、きけば、ピアノを始めて1年(子どものころは電子オルガンを習っていたそうです)、ピアノ初ステージとのことでした。
子どもさんがある程度大きくなられて昨年から始めたとのことでしたが、にこやかに堂々としたステージマナー、あふれるリズム(バルトークを弾かれました)で、とても素敵でした。
「今ここでこうしてピアノが弾けてうれしい~」というオーラ全開。なかなかこのような演奏は聴けないものです。
素人でも年数がたっていくと、巧くはなるのですけど、一方でなんとなくコーティングされた感じになり、それは悪いことではなくむしろ良いことなのですが、鮮度が落ち気味になります。
(自分の演奏もそれに属するはずなのですが)聴く立場としてはそういう演奏にはちょっと食傷気味だったりもします。まして「世間・生徒の手前、ヘタなことはできない。ごまかしも間違いもしない」という演奏になると、「勉強になった」とは思えても、「いい音楽に接した」という感動はもひとつ・・・・。
超のつく一流の演奏を聴きに行く一方で、こういう催しにもしげしげと私が足を運ぶのは、もちろん知り合いが出演するということが最大の理由ですけど、そうでなくてもだいたい掘り出しもの(?!)というか、新鮮な出会いや意味深い演奏に接することがあるから。
よく「良い演奏会にいきましょう」ということがいわれますけど、そういうものはチケットの値段でわかるものではなくて、自分でマメに足を運んで出会いを求めるしかないのじゃないかな、と思います。
私、ある一時期毎週末ビデオを4本ずつ借りていたことがあり(それはなにかというと、名作・新作・ホラー・ア〇ルト・その他だったりしたわけですが・・・・汗)、多くはハズレというか、毎週末ムダ金をビデオに注ぎ込んでいました。
その後ふりかえるに、ハズレのハズレ「あれはくだらなすぎた~」というものがミョーに心に残っていたりすることもあって、なにがハズレなのかなにがアタリなのかは今となってはよくわからなかったりもします。何回見ても記憶に残らない名作もあれば、カルトムービーと呼ばれるジャンルのもので、変に記憶に残ってるものもありますし・・・。
演奏会をそれと同列にはできないのですけど、地方でも、無料有料、古楽・邦楽・現代、器楽・声楽、プロ・アマいろいろ聴いてると、それなりになにか面白いことがあるように思います。(最近は娘もなんとかガマンできるようになってきたので、時々は連れて行けるようになりました。)
そういう中で、初心の喜びに満ちた演奏に接すると、自分の原点に帰ることができるような気がします。そして自分の足元・目指す方向・周囲の景色をもう一度確認し、アマチュアとして楽しく末永く弾いていくためにどうしたらいいか・・・気持ちを新たにいたします。
9月スタートにあたり、いろいろと意義深い週末でした。