JR四国は2022年度における経常収支を公表した。営業係数が100未満である黒字路線は瀬戸大橋線だけであり、他の路線は赤字を計上している。
新型コロナウイルス感染症の影響はなくなりつつあるが、以前として、JR四国は厳しい経営が続いている。22年度で赤字額が180億円ほどであり、鉄道事業だけでは経営が成り立たないくらいの水準である。鉄道事業以外で売上を稼ぐことなど、経営改善が重要である。
瀬戸大橋線は山陽新幹線の駅を有する岡山と四国の支社や出先機関が集まる高松を結んでいる。通勤圏であることもあり、まとまった需要があることで、黒字の経常につながっている。
四国地方は全国と同様、人口減少が続いている。四国以外への人口流出も少なくないことで、沿線人口も減少傾向である。人口が少ない地方ではマイカーの普及率が高まり、結果として、鉄道を使う人が減少することとなり、利用促進をしにくい環境にある。
また、道路網の発達も鉄道の赤字に影響している。四国の主要都市を結ぶ高速道路網が整備されるにつれ、相次いで都市間高速バスが創設され、鉄道と競合している。高速バスは特急列車よりも運賃が安いこともあり、一定の利用者を獲得している。
遠距離では四国と大阪や東京では航空と競合する。四国には新幹線がないことで、航空利用者が多い。したがって、遠距離の鉄道利用を避ける人が多い。
JR四国は今後も厳しい経営が続く可能性が極めて高く、鉄道事業以外の事業で稼ぎ出すことが求められる。JR四国は駅前などの土地を数多く所有しているので、不動産や流通、宿泊業などで展開することも、選択肢の1つである。
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