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>(社説)酒とたばこ 年齢下げる必要はない

2015年09月09日 10時09分46秒 | 行政
(社説)酒とたばこ 年齢下げる必要はない

その他 2015年9月8日(火)配信朝日新聞

 酒やたばこを自分の意思で自由にたしなむ。その年齢の境界線をどこに引くか。

 自民党の「成年年齢に関する特命委員会」が20歳から18歳への引き下げを検討したが、党内で反対意見が続出し、政府への提言を先送りした。

 異論が多いのは当然だ。国民の健康に直結する問題である。飲酒と喫煙を若年化させるメリットはない。特命委は方針を改めるべきだ。

 きっかけは、国民投票法や公職選挙法で投票年齢を18歳に下げたことにある。20歳を節目とする法令は300を超える。

 先送りされた提言案は、民法が「成人」を18歳に下げるのに伴い、酒たばこについても同調を提唱。「権利、自由も与えることで大人としての自覚を呼びかけられる」としている。

 だが、大人としての自覚は、社会の中での自己認識の問題なのであり、酒たばこに結びつけるのは短絡的だ。

 酒たばこは始める時期が早いほど依存が高まるといわれる。がん予防のため、分煙化を進め、たばこ消費を抑えようという社会の流れとも逆行する。

 教育の現場でも、酒たばこがよい生徒とダメな生徒が学校に混在すれば、非行防止などへの影響も無視できない。

 2012年の内閣府の世論調査では、20歳にとどめるべきとの回答が76%超で最多だった。

 自民党委の提言案は、投票年齢に合わせて、「国法上の統一性が必要だ」としている。

 しかし法には、それぞれ違った目的や背景がある。物差しを一つにそろえる必要はない。

 公選法や民法での引き下げでは、政治参加の窓口が広がったり、親の承諾がなくても結婚や契約ができたりする。それらは時代に応じた社会の変化にルールを適応させる意義がある。

 一方で、酒たばこなどは別の問題だ。今でも酒たばこは20歳だが、パチンコ店などへの入店は「18歳未満おことわり」だ。米国では州にもよるが、16~17歳で運転免許、18歳で投票やたばこ、21歳で酒が認められることが多い。階段を一つずつ上って大人に近づくイメージだ。

 出発点が憲法改正をにらむ自民党のいわば「上からの流れ」だったこともあり、大人をめぐる議論は盛り上がっていない。提言案は、民法改正を先行させ、その間に国民から広く意見を聞きたいとしている。

 来年の参院選からは18歳が一票をもつ。大人になるとは、何なのか。国政への「予習」として、10代の若者らも巻き込んだ議論になるよう期待したい。

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