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9割減のレーシック、今後どうなる?

2016年06月21日 22時40分34秒 | 医療情報
9割減のレーシック、今後どうなる?
安易な矯正勧める施設を見破るコツは
日本眼科医会2016年6月21日 (火)配信 一般内科疾患一般外科疾患眼科疾患

 屈折矯正手術の主要術式であるLASIK(レーシック)の施行件数が落ち込んでいる。有効性と安全性が世界的に認められているにも関わらず、2008年の45万件から2014年には5万件という9割減に至った理由は何か。今後のニーズはどうなっていくのか。日本眼科医会が6月14日に開いた記者懇談会では、慶應義塾大学眼科学教室准教授の根岸一乃氏と筑波大学眼科学教授の大鹿哲郎氏がそれぞれの立場から見解を述べた。

 根岸氏によると、レーシックの有効性については、4474本の論文を用いたメタ解析で患者の99.5%が裸眼視力0.5以上、90.8%が1.0以上を達成したという結果が得られている。患者満足度についても3000本近い論文のシステマティックレビューで95.4%という高い数字が得られた。現在では米国国防省の軍パイロットやNASAの宇宙飛行士の適合検査でも認められるなど、確立した視力矯正法になっている。

 認知度が高まるにつれ日本でも施行件数は年々増加し、2008年には45万件に達したが、自由診療であることから経済情勢を反映し、リーマンショックを機に減少に転じた。さらに2013年12月、消費者庁からレーシックによる重大危害についての注意喚起が発出され、2014年には5万件前後にまで落ち込んだ。重大危害として挙げられたのは、過矯正による遠視、それに伴う頭痛・吐き気等の体調不良、乱視、光をまぶしく感じる、ドライアイ、目の痛みなどの症状だった。

 実際はどうなのか。日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)が2013年に日本で初めて施行したレーシックについての大規模調査によると、レーシックの術後合併症で多かったのはドライアイ 862眼(1.2%)、フラップの皺792眼(1.1%)、び漫性層間角膜炎404眼(0.6%)など。術後3カ月までの追加手術は487眼(0.7%)。感染症の発症は1例もなかった。

 ドライアイはレーシックで角膜を切開することに伴うほぼ必発の合併症だが、現在はその切開部分を小さくすることで症状を軽減する方法も生まれている。根岸氏は、「全体として、レーシックは有効性・安全性・患者満足度ともに高い手術と言える。『やらなければならない』手術ではないので、現在は様子見をしている人も多いと思うが、眼鏡が使えない人や、アレルギー症状のためコンタクトレンズが使えないといった人にはやはり有効な方法だ」と話した。

 一方の大鹿氏は、レーシックには(1)大きな矯正量、(2)過矯正、(3)ドライアイ――という3つの問題点があると指摘。「正常眼に対する手術なのだから、成功率も安全性も高くて当たり前。むしろ5%もの患者が満足していないという事実を見るべきだ」と述べた。

 レーシックは角膜を削ることで視力を調整する手術だ。削り過ぎれば角膜拡張症となって再び近視に戻ったり、角膜の光学特性が悪化してコントラスト感度が悪化したりといった障害を生む。このため、日本眼科学会の「屈折矯正手術のガイドライン」では、矯正量の限度は原則として6D、何らかの事情で基準を超える場合も10Dまでと定めているが、高い裸眼視力を達成させるために、常に10Dを超える矯正手術を行う施設があるという。

 「『裸眼視力2.0達成』などという成果を出すと宣伝効果があるのかもしれないが、実は現代の日本社会で生活するには視力は0.8程度と、少し低い方が便利。このことが一般に理解されていないことも問題かもしれない」と大鹿氏。

 さらにコンタクトレンズの質や性能が近年大きく改善されていることを挙げ、「今後は特殊な事情がある人でない限り、手術で視力を解決させる必要性は減っていくのではないか」との見解を示した。

 レーシックの将来性を高く評価する根岸氏も、過矯正で患者に危害を与える施設がある点を憂慮。問題のある施設の見分け方として、「受診したその日に『手術しよう』というような施設、患者の質問にレセプショニストが応じ、医師による説明はほとんどないといった施設は避けた方が良いかもしれない。レーシックはやはり良く考えてから受けるべきだ」と強調した

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