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電力会社頼り、対応後手に 自前発電設備で被害軽減も 千葉台風被害1カ月

2019年10月10日 23時48分50秒 | 行政
電力会社頼り、対応後手に 自前発電設備で被害軽減も 千葉台風被害1カ月
2019年10月9日 (水)配信共同通信社

 台風15号による千葉県内の大規模停電では、大手電力会社頼みの供給態勢のもろさが露呈した。東京電力が復旧見通しを何度も延期したことで自治体の対応は後手に回り、電源車配備が遅れた施設では高齢者が死亡したケースも。自前の発電設備があった自治体では被害を減らしており、専門家は「電力会社に依存しない仕組み作りが重要だ」と指摘する。
 ▽犠牲
 「これはまずい」。台風上陸翌日の9月10日、千葉県君津市の占部和裕(うらべ・かずひろ)危機管理課長は青ざめた。市内の特別養護老人ホーム(特養)や病院の非常用電源に使う燃料が刻々と減る中、東電が復旧見通しを「11日以降」と先延ばししたからだ。すぐに追加の電源車を東電に要請したが、配備されたのは13日だった。
 同市の特養「夢の郷」では12日、入所者の女性(82)が熱中症の疑いで死亡した。この施設にあった発電機20台は酸素吸入器などの医療機器が優先。冷房が使えず、室内の気温は最高35度に達した。運営法人の天笠寛(あまがさ・ひろし)理事長は「電源車がもう少し早ければ、という思いは残る」と話した。
 ▽要請ありき
 東電や国は台風上陸前後から被害情報収集の担当者を複数の市町村に派遣し、その情報を基に電源車を振り分けた。ただ、要請が殺到したのは発生直後ではなく、東電が復旧遅れを表明した11日以降。11日時点で33台だった稼働台数は翌12日に94台になり、19日にピークの191台に達した。
 東電の担当者は「通信網のダウンなどで要請の把握自体が困難だった」と釈明。千葉県災害対策本部の担当者は「東電や国、民間の電源車をどこにどう配備するか、優先順位をリスト化しておくべきだった」と悔やむ。
 県も、市町村からの要請を待たない「プッシュ型支援」をしていなかった。県内11カ所の防災倉庫に非常用発電機468台を備蓄していたものの、自治体への貸与は要請があった2町の計6台のみ。県警には信号機用に約190台を貸し出したが、半数以上は倉庫に眠ったままだった。
 ▽自力確保
 一方、独自の取り組みで被害を軽減した自治体もある。人口約7千人の睦沢町では、周辺で採れる天然ガスを利用した電気供給システムが9月1日から稼働し、早速効果を発揮。防災拠点となる道の駅に設置しており、その一帯が停電しても、周辺には影響がほぼなかった。道の駅では、ガス発電機の排熱を利用した温水シャワーを住民に無償提供した。
 国の補助金を受けた事業で電線も全て地中化していたため、倒木による被害を免れた。防災強化で定住者を増やす狙いもあり、町の担当者は「これからは地域の強みを生かした分散型エネルギーの活用が大切だ」と語る。
 東日本大震災で液状化被害が出た浦安市も、3年前の新庁舎建設に伴い、都市ガスで発電できる「ガスコージェネレーションシステム」を導入。指定避難所ではエアコンやシャワーが使える。
 防災システム研究所の山村武彦(やまむら・たけひこ)所長は「電気や水を行政や電力会社に依存するライフラインという考え方を変え、災害時は途絶えることを前提に、ライフスポットという分散型の発想で町づくりを急ぐべきだ」と訴えた。
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