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Dr.北村が語る現代思春期:アスリートに低用量ピル メリット多く、欧米選手も活用

2018年03月08日 21時57分21秒 | 運動スポーツ
Dr.北村が語る現代思春期:アスリートに低用量ピル メリット多く、欧米選手も活用
2018年2月26日 (月)配信毎日新聞社

 17日間に及んだ平昌冬季五輪が閉幕しました。オリンピックの陰で、いつも話題になるのがドーピング問題です。日本でもカヌーの選手が他の選手の飲み物に禁止薬物を混入させたことや競泳選手のドーピング違反が確定したことが報道されています。スポーツとは縁がない僕など、違反してまでなぜ、禁止薬物を使用するか理解できませんが、4年に1度の祭典。日の丸を背負った選手たちは、素人には計り知れない重圧の渦中にいるということでしょうね。
 「エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」を女性アスリートの3主徴といいます。過度のトレーニングや無理な食事制限で運動による消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ると、相対的にエネルギー不足となり、体重や体脂肪が減少します。その結果、無月経を引き起こし、骨粗しょう症の誘因となることが知られています。
 2011年4月から12年5月までに、国立スポーツ科学センター(JISS)のクリニックでメディカルチェックを受けたオリンピック選手および競技団体強化指定選手683人(47競技)のうち7・8%が無月経で、中でも体操の75・0%が断トツでした。10代の女性トップアスリート239人の中で、正常の月経周期・月経不順のある女性で疲労骨折割合は11%。一方、無月経の人では疲労骨折は38%という結果からも、3主徴が複雑に関与して負のスパイラルに陥っていることがわかります。
 無月経、骨粗しょう症、いずれも女性ホルモン、中でもエストロゲン(卵胞ホルモン)の不足が原因であることが多いため、外来では女性アスリートに対して避妊薬としてのピルだけでなく、治療薬でもある低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の使用を積極的に勧めることになります。女性ホルモン剤を上手に服用することによって、女性ホルモン不足を補う、月経血量を減らす、月経痛の緩和や月経を適宜移動させられるなどのメリットがあるからです。
 それにもかかわらず、JISSの調査では継続的に使用している女性はわずか2%。ロンドンオリンピック出場選手でも7%に過ぎませんでした。欧米のトップアスリートの83%に比べて異常に低いことに驚かされます。わが国では、女性ホルモン剤に対しネガティブなイメージが強いだけでなく、ドーピング違反を恐れて薬全般を控える傾向にあることも影響していると思われます。
 競技でのパフォーマンスを上げるためにも、引退後の健康を守るためにも、女性ホルモン剤の有効利用を促したいものです。(日本家族計画協会クリニック所長、北村邦夫)

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