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治療判断はみんなで 家族に負担集中させない 「私たちの最期は」「認知症に寄り添って」

2016年09月11日 00時53分27秒 | 
治療判断はみんなで 家族に負担集中させない 「私たちの最期は」「認知症に寄り添って」
2016年9月9日 (金)配信共同通信社

 認知症が進む前に、どんな最期を迎えたいか聞いておけばよかった―。そんな後悔の念に襲われる家族は少なくない。

 今年96歳で亡くなった後藤美枝子(ごとう・みえこ)(仮名)に異変の兆候が表れ始めた約10年前、生前に希望する終末期医療の内容を示す「リビングウイル」を確認し、家族や医師らと共有する取り組みはあまり知られていなかった。

 息子の武史(たけふみ)(64)=仮名=は母から何も聞かされぬまま、食事や入浴など日常の細かい事柄から命に関わる治療まで、あらゆる判断を強いられる状況に追い込まれた。

 介護付き有料老人ホーム「松戸ニッセイエデンの園」(千葉県松戸市)で美枝子をみとった老人看護専門看護師、松本佐知子(まつもと・さちこ)(45)は「武史さん1人に判断の責任を集中させてしまった」との心残りが消えない。

 医師や看護師、介護福祉士といった専門職が、より良いと思える選択肢を示し合い、家族と一緒に「みんなで決める」。そうすれば家族の精神的負担を軽くすることができるのでは、と松本は思うようになった。

 京都府立医大教授で精神科医の成本迅(なるもと・じん)(45)の元には、武史のような体験をした遺族が相談に訪れることがある。

 「自分が肉親を殺してしまったのではないか」と悩む遺族を目の当たりにした成本は、認知症予備軍の患者や家族の意思決定を支援できないかと考え、「認知症の人と家族のための医療の受け方ガイド」を作成した。

 ガイドでは、認知症が進んで会話ができなくなったとしても、それまでの人生観などから推し量れる情報があると記している。武史は、食べることが好きだった美枝子が口から食べられなくなることを避けるため、胃ろうを拒んだ。「お母さんの生き方を推量した結果でしょう」と成本は武史の判断を評価する。

 厚生労働省によると、認知症高齢者は2012年に462万人。25年には675万~730万人に増加する。それに伴い、家族が終末期の決断を迫られる局面も増える。

 エデンの園では、入居者が自分の希望を説明できるうちに、家族や主治医らを交えて話し合う場をつくるようにした。今年からはリビングウイルのセミナーも始め、定員約70人の会場があっという間に埋まるという。(敬称略)

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