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被害意識が「人間失格」に 太宰入院巡る井伏書簡発見

2023年09月26日 20時24分40秒 | 

被害意識が「人間失格」に 太宰入院巡る井伏書簡発見

 2023年9月26日 (火)配信共同通信社
 
 作家の井伏鱒二(いぶせ・ますじ)が、「パビナール(鎮痛剤)中毒」で精神科病院に入院していた弟子の太宰治(だざい・おさむ)に強い被害者意識がある様子を、井伏の師だった佐藤春夫(さとう・はるお)に伝える書簡が26日までに見つかった。太宰は「だまされて入院させられた」などと訴えていたとし、専門家は「この時味わった屈辱感や被害者意識が不信感にさいなまれる主人公として文学的に表現され、代表作『人間失格』につながった」とみている。

 新たに見つかった書簡は井伏から佐藤に宛てた7点。実践女子大が進める佐藤の遺品整理中に見つかり、東京大の河野龍也(こうの・たつや)准教授が確認した。

 太宰は1935年4月の虫垂炎などの手術後、パビナールを多用して依存症になり、井伏が本人を説得し翌年10月に入院させた。同月23日に井伏が書いた手紙では、病院長に会った当時の太宰の妻、初代からの伝聞を基に「まだ苦痛がとれないで妄想的なことを口走っている」「私たちが太宰をだまして入院さしたと憤慨している」などとつづっている。

 当時、太宰は芥川賞受賞を3回逃した直後。入院前には、選考委員だった佐藤が芥川賞授賞を確約したような内容を小説で暴露し、佐藤を激怒させていた。河野准教授は「井伏が佐藤に病状を細かく報告していることから、2人が連携して太宰を回復させ作家として再起できるよう気遣っていた様子も分かる」と話している。

 今回見つかった書簡は30日に神奈川近代文学館(横浜市)で始まる「没後30年 井伏鱒二展」で公開される。

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