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翻弄される消費税 財政再建置き去り 「安倍政治の行方」経済政策

2017年10月26日 22時10分20秒 | 行政

翻弄される消費税 財政再建置き去り 「安倍政治の行方」経済政策

行政・政治 2017年10月25日 (水)配信共同通信社
 
 「未来を開くのは人々の耳目を引くパフォーマンスではない。耳触りの良いスローガンでもない。政策だ」。衆院選投開票から一夜明けた23日。記者会見で「スローガン政治」を切って捨ててみせた安倍晋三首相は、自身にも同じ批判が向けられていることに、どこ吹く風の様子だった。

 「三本の矢」「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」。数々の看板に続く目玉政策として首相は「人づくり革命」を訴え、衆院選に勝利した。年末に教育無償化を柱とした2兆円の政策パッケージをまとめる。財源は消費税の使途見直しで大半を賄う方針だ。

 2012年、当時の民主、自民、公明の3党合意で決まった消費税増税は、安倍政権の下で翻弄(ほんろう)され続けてきた。当初15年10月に予定した税率10%への引き上げは景気への懸念から17年4月、さらに19年10月へと2度にわたり延期。今度は少子高齢化が「国難」であるとの理由で、増税で得られる5兆6千億円の使途を見直し、1兆7千億円程度を借金抑制から教育財源へと振り向ける。

 この間、国の財政再建は置き去りにされたままだ。消費税の使途見直しに伴い、基礎的財政収支を20年度に黒字化する目標は断念した。企業の収益拡大で順調に伸びてきた税収も16年度は7年ぶりの減少に転じた。高成長頼みの収支改善はもはや当てにできない。

 「少子高齢化が急速に進み、立ち止まっている余裕などない」。こうした危機感が首相を教育無償化へと駆り立てる。19年度から段階的に、3~5歳児の幼稚園・保育所を全面無償化し、0~2歳児も低所得世帯を対象に無償化する。大学生向けの奨学金や授業料減免も拡充する方針だ。

 だが、3~5歳児がいる家庭では高所得でも無償化対象となることに「教育格差の是正につながらず、単なるばらまきだ」(政府関係者)との批判がくすぶる。保育所が不足し待機児童が解消されない中で無償化を進めても、成長底上げなどの政策効果を十分に得られないとの指摘も強い。

 全世代型の社会保障制度を構築するには「高齢者の手厚い給付にメスを入れるなど痛みを伴う改革も欠かせない」(民間エコノミスト)との見方もあるが、与党大勝の余韻の中でこうした警鐘はかき消されがちだ。


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