フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月29日(火) 晴れ

2016-03-31 12:40:46 | Weblog

7時半、起床。

トースト、サラダ、紅茶の朝食。

9時に家を出て、一泊二日の松本旅行に出かける。

去年、松本には春、夏、秋の三度出かけている。いずれも茅野の友人Kの別荘を尋ねるのとセットであったが(友人宅で一泊、松本で一泊)、今回は松本単独である。卒業式を終え、春学期の始まる前のこの時期、気分転換というか、孤独の時間を満喫するための小旅行である。

自動販売機で特急の座席を予約したとき、「窓際」の席を指定して「A」となったのだが、往きのあずさ号では[A」は陽射しの差し込む側だった。たんに「窓際」ではなく、反対側の窓際の「D」を指定すべきだった。次回は気を付けようと思うのだが、いつも忘れてしまう。しかし、幸いだったのは、隣りが空席だったので、そこに座ることができたことである。

新宿から松本までは2時間半。松本到着は12時半である。妻はもっと早い列車にすればいいのにというが、そのためにはいつもより早起きをしなければならず、そうすると寝不足気味の一日となって、旅の時間を十分に味わうことができなくなる。普段と同じような時間に起きて出かけるのがいいのだ。往きの列車の座席で寝ればいいという人もいるだろうが、列車の中の時間もすでに旅の時間の一部である(私はこの時間が好きだ)。普段と同じような時間に起きて出かけるのがいいのだ。

窓外の風景が街の風景から山野の風景へと変わっていくにつれて、旅行気分が高まって行く。

松本到着。

改札を出ると、左側のコンコースからアルプスの山々が見える。

ホテルに荷物を預けて、昼食を食べに出る。

途中で見つけた松本郵便局で葉書を購入。

松本に到着する前に電話で予約をしておいた「ル・コトリ」。このところ松本での昼食はここでと決めている。

シェフのおまかせコース(3800円)を注文。

オードブル。焼いた帆立の貝柱にかかった柚子味噌クリームソースが美味しくて、パンにつけて全部食べた。

魚料理は初めて名前を聞く魚のソテーだった。カリッとしてさっぱりした味わい。青のりを使ったソースが美味しくてやはりパンにつけて全部食べた。

信州牛のステーキ。適度な歯ごたえがあるのがいい。付け合わせの野菜も美味しい。ソースはもちろんパンにつけて全部食べた。

デザートは6種類の中から1つを選ぶ。リストの一番上に描かれていた(たぶんお勧めなのだろう)クリームブリュレをチョイス。

飲み物は紅茶をチョイス。

お店の人とも顔なじみになり、フロアー担当の女性「ふみちゃん」(とシェフに呼ばれている)が、一人で食事をしている私に気を遣って、「ジャケットの色が春らしいですね。お似合いです」とかいろいろ御愛想を言ってくれるのだが、おしゃべりが過ぎるのか、シェフから「これ早くお出しして」とか「紅茶の量、もっと多めに」とか注意されていた。ふみちゃん、めげずに頑張ってください(笑)。

「ル・コトリ」のそばを流れる女鳥羽川。

川沿いの道にある和菓子の「宝来屋」。

ここの団子は美味しい。クリームブリュレは食べたが、デザート第二弾としてあん団子とみたらし団子を買う。

河原に下りて食べよう。

鴨がいる。水の流れはけっこう早いので、同じ場所に留まるためには一生懸命足を掻かなくてはならない。

鯉の姿も見える。腹を川底にこすり付けるような動きをしていたが、産卵なのだろうか。

ホテルにチャックイン。松本に来るときの定宿である。ホテルだが、大浴場や露天風呂があるところが気に入っている。

風呂のほかにベッドサイズが大きいのも気に入っているところである。

一休みしてから、中町通りに繰り出す。

全部の店をのぞくわけではない。

お目当ての一軒目は、ここ。

アートのセレクトショップ「コトコト」だ。

ご主人とお話をする。

刺繍作家のヤンヤンさんが名古屋の方へ住居を移されるらしい(現在は新宿区在住)。そうなると初夏から晩秋に毎月一度、幡ヶ谷のパン屋さんで開かれていた作品展はなくなってしまうのだろうか。でも、どこへ行っても刺繍作家さんの仕事は続けるのは間違いないので、「コトコト」さんへの納品は続くでしょうとのことでそれは安心した。ヤンヤンさんによろしくお伝えくださいとご主人にお願いする。

二軒目はここ。

木工と陶器の店「グレインノート」。

奥様とお話をする。

前回、来たときに、奥様が村上春樹訳のレイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』を読んでおられて、サスペンス好きと知ったので、村上春樹訳のダーグ・ソールスター『ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン』を勧めておいた。その後、奥様は図書館で『ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン』を借りて読んだ。最初はすぐに物語の世界に入って行けず、どうしようかと思ったそうだが、途中からどんどん引きこまれて行き、大変に面白かったそうだ。それはよかった。今日は小説の話しかしなかった(笑)。

近所に新しいカフェができたという話を奥様から聞いて行ってみることにする。

そのカフェは細い路地の奥にある。

カフェ「Chiiann」。

路地の入口の看板にはこう書かれている。

「cafe chiiannは松本・中町通りに面した「古くて新しい路地」の奥に佇む14席の小さなカフェです。 店名は幼い頃の愛称である「ちー」とくつろぎの「庵」を合わせて「ちーあん」としました。  明治時代の蔵を信州の家具職人が約3ヶ月かけてリノベーションした空間でゆっくりとくつろいでいただければと。 ポットで提供する紅茶とハンド・ドリップのコーヒー、それに合う焼き菓子をご用意してお待ちしております。 (ビール、ワイン、日本酒とちょっとしたフード類もございます。) 当面の営業時間は12:00-20:00です。(定休日:第1・第3水/毎木曜日)」

先客は一人だけと外からは見えたが、それはご主人だった。

静謐な空間。客が他にいないからではなく、外から入ってくる光の加減がそう感じさせるのだろう。

カウンター席の奥に座る。

紅茶とカステラを注文。紅茶はポットに入って出てくる(二杯分はある)。お店のオリジナルブレンドだそうだが、ダージリン系の味わい。カステラにはいちごが添えられていた。

お店のホームページは→こちら。書き手はご主人だろうか、味わいのある文章(news)が綴られている。

明日もこのカフェに来ることになりそうだ。気に入りました。

夕方になって風が冷たくなってきた。昼間は東京並に暖かくても、朝晩の冷え込みははやり信州だ。早めの夕飯をどこかで食べて、宿に入ろう。

川向こうに行ってみる。

大正11年創業(今年で95年目)、松本の老舗(最初?)のパン屋さん「パンセ小松」。ここでパンを買ってホテルの部屋で食べるという手もある。

古書カフェ「想雲堂」でまったりするのも悪くない。

 

「パンセ小松」の向かいの老舗の蕎麦屋「こばやし」。

鍋焼きうどん(冬季限定)の看板にひかれる。冷たい風に体が冷えて来たからだ。

ストーブの置かれた(ありがたい)入口近くのテーブルに座る。

蕎麦茶がポットで出てきた。これはいいアイデアだ。

鍋焼きうどんを注文すると、卓上コンロが運ばれてきた。こういう趣向は始めてだ。たしかに鍋だ。

鍋焼きうどんが運ばれてくる直前にコンロに火が点つかれた。

しっかりした鍋焼きうどんだ。写真ではわかりにくが、具材がおしなべて大きい。とくに麩は食べごたえの餅みたいなのが2つ入っている(餅は餅で入っている)。

ネギは最初は十分に火が通っていない状態で出てきて、すき焼きのときのように、他の具材を食べているうちにしだいに火が通って、味が浸み込んできて、美味しくなる。「鍋焼き」の特性をよく考えている。

ただし、卵は私は半熟のとろりとしたのが好きなので、早く食べないと固まってしまうから要注意だ。

ご主人は英語が流暢な方で、外国人客への対応が淀みなくて感心した。

なぜか卓上には英語・中国語で書かれたメニューしかなった。デザートに蕎麦ぜんざいを注文する。

ボリュームがあってびっくり。デザート用にハーフサイズがあるといい。口直しに杏のシロップ漬けが付いてくる。

店を出ると(7時ごろ)、すっかり夜になっていた。

橋を渡って、ホテルへ。

屋上の露天風呂は風が冷たいせいか、ほかに入っている人がいなかった。でも、入ってしまえば、温かい。顔はひんやり、体はポカポカ。早春の露天風呂、いいですなあ。

部屋のテレビでサッカーのワールドカップのシリア戦を観ながら、持参したノートパソコンで、メールのチェックや、デジカメで撮った写真のチョイス(ブログ用)や、ゼミ6期生(卒業生)に出す写真葉書の用意をしていたら、深夜になった。普段と同じ午前2時、就寝。

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