フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月14日(月) 晴れ

2014-04-15 14:37:06 | Weblog

     8時、起床。

     9時になるのを待って「オフィスまるごとサポート」(NTT東日本)に電話をして、土曜日に発生したパソコンのプリンターのジョブの不具合を解消してもらった。すぐにつながるところがありがたいし、電話口の対応もていねいである。月3600円は何もトラブルや相談事がないときは無駄になるが、一種の保険のようなものであるから、もうしばらく契約は持続しよう。ゼミ3期生のIさんや、4期生のN君が働いている会社でもあることだしね。

     朝食はとらずに大学へ。

     キャンパスは桜(ソメイヨシノや大島桜)のシーズンが終わって、サツキや八重桜のシーズンに入った。事務所の裏の小さな公園のようなスペースは春爛漫である。

     美しいのは名のある花ばかりではない。陽光を浴びる葉っぱも、日影の草花も美しい。 

     11時に卒業生のMさんが研究室を訪ねてくる。先日、2000年卒の卒業生たちが私の還暦を祝う会を開いてくれたが、そのときのメンバーの一人である。あのときは人数が多かったこともあり、わいわい楽しかったが、一人一人とはそれほど話ができなかった。もう少し話がしたかったという思いは、彼らの側にも私の側にもあり、次回は数人で、あるいは個人で会いましょう、「いつかまた」「いつかそのうち」ではなく、「近いうちに」と言って別れた。 さっそく今日、Mさんが休みをとってやってきてくれた。「思い立ったが吉日」大作戦。ただし、上のお子さんが2時半に小学校から帰ってくるので、2時過ぎには出なくてはならない。パートの仕事は休めるが、母親業は休めないのだ。

     宙太さん、のんちゃん夫婦にMさんを紹介する。

     のんちゃんから絵葉書をいただく。彼女の書いた絵を使った絵葉書。、これから店内で販売するそうで、今日、印刷屋さんから届いたばかりとのこと。

     日替わり定食と食後にアイスチャイ、追加でプリンを注文。Mさんは私のブログを見て、今日は定食とアイスチャイを注文しようと決めていたそうだ。

 

      Mさんとは研究室+「SKIPA」で3時間ほどおしゃべりをした。当然、話題は社交用の明るく軽いものばかりではなく、人生の陰影に富んだ話題にも及んだ。思うようにいかないことは多々ある、でも、それが人生ですよねと自分を納得させようとする気持ちと、そんな風に納得してしまってよいものかという気持ちが相半ばしているように見えた。人は変わっていく。それをすべて成長として受けとめられれば気楽な話だが、実際には、自分らしさの喪失のように思えることもあるだろう。昔の自分はもっと〇〇〇だったと。青年期の終わりと中年期の始まりの過渡期には、こうしたアイデンティティの不連続性に対して誰でも意識的になるものである。

      学生時代のMさんは素直で明るい人だった。素直な人だという印象はいまも同じ。でも、素直であることは、周囲の期待に素直であるということでもあるので、職場や家族や親族や諸々の集団の期待の中でずっと素直にやっていると、万事が控えめというか、他人の目を気にして自己抑制的になりがちである。たとえば、小さな子どもを連れて外出すると、電車の中やカフェで子どもが騒いで、周囲から「子どもを静かにさせろ」というまなざしや、ときには露骨な言葉を浴びることがある。私は思うのだが、いまの日本の社会は小さな子どもを連れた母親にとても不寛容な社会である。たとえ小さなものでも、手に負えないもの、自分の精神の平安を脅かすものに対する苛立ちを露骨に現わす社会である。そういうまなざしを浴び続けると、母親は外出を控えて、自宅に引きこもりがちになる。そうならないためには、ある種の鈍感さやわがわままが必要なのである。素直ないい人を演じるばかりでは駄目なのである。

      別れ際に私はMさんに二つの具体的なアドバイスをした。首を傾げてうつむくかわりに、空を見上げること。溜息をつくかわりに、大きく深呼吸をすること。気分と身体所作は密接に関連しているから、気分が身体所作に現れるだけでなく、身体所作を変えることで気分もある程度はコントロールできますよと。

     研究室に戻って、メールをチェックすると、Mさんからのメールが届いていた。

        「空を見ながら帰りました! 交差点の向こうに娘がいたので、おっきな声でおかえりーと、思いっきり手を振りました! 私だな、と思いました。」

     八木重吉の詩みたいなメールである(笑)。やっぱりMさんは素直な人である。そして明るい人である。

     「梅花亭」に柏餅が出始めていた。みたらし団子も購入して、研究室のお八つとする。

     夜7時から、日本橋の「Y-WINE」というレストランで、ゼミ一期生の集まりがあるので、顔を出す。

     7名が参加。卒業から丸3年、会うのは卒業式以来という人も2人いる。

     結婚することになりました、赤ちゃんができました、生まれましたというおめでたい報告を何人かから聞く。誕生日が近い人もいて(私もそうだが)、みさなん、それぞれにおめでとう。ここには陰影に富んだ人生の物語はない(笑)。

     食べて、飲んで、楽しくおしゃべり。

     最後のデザートのとき、私の還暦を(も)祝ってもらう。

     広島カープの応援グッズである赤い帽子を被せられる。サカナ君になったような気分。人生にはジッと耐えなくてはならいときがある。

     記念品としてウォーターマンのボールペン(名前入り)とペンケースをいただく。どうもありがとう。大切にします。

     私からみんなに拙著『日常生活の探究』をさしあげる。誰か一人くらい、「先生、その本ならもう買って読みましたよ」と言うかと思ったら、誰もいなかった。

     今日はまだ月曜日。みんな、明日からのお仕事、頑張ってください。