フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月13日(日) 晴れ

2010-06-14 02:23:55 | Weblog

  9時、起床。豚肉とブロッコリーの炒め、トースト、冷麦茶の朝食。フィールドノートを更新してから、清水幾太郎が『中央公論』1963年12月号に発表した「新しい歴史観への出発」という文章を読む。有名な文章で、読むのはもちろん初めてではないが、必要に応じて何度も読むのである。文章の大筋は頭に入っているが、どういう問題意識で読むかによって、傍線を引く箇所が違ってくるし、余白への書き込み(思いついたことはとりあえず余白にメモする)も違ったものになる。
  昼食は鮭茶漬で簡単にすまし、火曜日の演習「現代社会とセラピー文化」のグループ報告の課題図書である香山リカ・勝間和代『勝間さん、努力で幸せになれますかを』(朝日新聞出版)に目を通す。『しがみつかない生き方』で勝間和代に喧嘩を売った香山リカとその喧嘩を買った勝間の対談本だが、読んでいると、二人の対談というよりも、現代女性の中にある二つの「私」、「頑張る私」と「頑張りたくない私」の間の葛藤が表現されたものに思えてくる。それは対立するものというよりも、「頑張る」ことも「頑張らない」ことも自己コントロールという同じ平面上にある行為であるという意味で、相互補完的なものである。「頑張る」一辺倒では息切れがしてしまうし、「頑張らない」一辺倒では社会生活から離脱していっていまうだろう。普通の人間はその両方を必要としているのであり、要はバランスの問題であるように思えるが、香山はそうは考えていないようで、「勝間さん的な部分を68%取り入れ、スローライフというか脱力系な要素を32%取り入れ、なんてそんなことできるのかなあ。人間は機械じゃないんだから」と言っている。できるんじゃないのかな?
  夕方、散歩に出る。「シャノアール」で原稿の下書きをして、栄松堂書店で雑誌の立ち読みをしてから、「ZOOT」の店先で妻と息子と合流し、夕食にラーメンを食べる(妻の希望である)。妻は味玉つけ麺、息子はチャーシューつけ麺、私は味玉ラーメンを注文する。

  妻は洗濯機のカタログをもらいに電気店を回るというので(梅雨入りを前に乾燥機能付きの洗濯機を購入したいとのこと)、息子と二人で先に帰る。時刻はもうすぐ7時になろうとしていたが、空はまだ明るかった。気がつくと、あと一週間ほどで夏至である。
  夜、黒木メイサ主演の『昴』をDVDで観る。同名のコミックが原作の映画である。たぶん若手の女優陣にバレエの特訓をさせて撮るより、若手のダンサーに演技の特訓をして撮った方が「バレエ」映画としてはよかったのではないだろうか。いきなり黒木メイサが場末のキャバレーで「ボレロ」を踊る。あのシルビー・ギエムが踊った赤い円卓と同じものが使われている。もちろんかっこだけだが、黒木メイサの美貌に免じてよしとしよう。