ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

孤狼の血LEVEL2(ネタバレあり)4

2021-08-25 21:15:00 | 日記
甲斐さんは、映画「照和」をお撮りになった深津監督に
「全部わからせようとしなくていいからね」とアドバイスなさったり
甲斐バンドの日比谷野音の映像のテンポが速くなったことについて
「今、ネットTVとかで見れる海外のドラマって、編集のテンポがものすごく速いじゃないですか

あのテンポ感が今の時代のテンポなんだろうし
映像のテンポが速いというのは、スイッチングの速さじゃないですから
色んなところでメリハリをつけながら
この時代の背景に流れているビートを感じさせるということなんですよね」と話されてましたが

白石監督も、この「LEVEL2」に関するインタビューで…
「最近の映画は、とにかく光を当ててしまう傾向がある
時間がなかったり、予算がなかったりして不安だから
撮り直しがないように、みんなの顔に光を当てる
でも、そうした結果、意図的に影を残すといった技術自体が失われつつある

今回は、あえて画面が暗いことを恐れずにやりたかった
ちょっとでも攻めたものを作りたいと思った
そうやって改めて感じたのは、見えないことの気持ち良さ、説明しないことの気持ち良さ
映画は曖昧で良い。何でもかんでも判るのが良い映画とは思えない
判らないことを残すことが重要だと思いました」…と、おっしゃっていて

前作のラストシーンから3年が経ったという設定で、今作をお始めになるにあたり
「普通は、日岡(松坂桃李さん)が悪い刑事に辿り着くまでの道筋を描きそうなものだけど
そのプロセスが見えると面白くない
だから、彼のキャラが振り切ってしまった段階から始まった方が、物語が飛躍すると考えた」
…と、誰もが、その変貌ぶりに驚いた登場シーンについて説明なさったり

この「LEVEL2」の上林(鈴木亮平さん)をご覧になった、ほぼ全ての方が抱かれたと思われる疑問…
上林が服役していた刑務所の看守(青柳翔さん)も口にしていた
「一体どうすりゃ、あがいな人間が生まれるんか…」…という言葉についても

「僕がやりたくないのは、過去の話をしている時に、映画が止まってしまうこと
日本の映画、小説、漫画の欠陥って、だいたい隠していた過去のトラウマを語る時に
どうしても緊迫感が途切れることだと思うんです
だから、本来なら荒れていた中学時代の上林が、五十子親分に拾われるところを
もっと描いた方が良いのかも知れませんが止めました

ただし、暴力の連鎖であるのは伝えたいので
少年時代の彼のバックグラウンドを、1シーンに凝縮しました
なので、現在軸で起きることがトラブルを起こして行く、シンプルな作りにしています
その方が、スリリングで体感も速く感じると思うんです」とお答えになっています

確かに、上林の過去に関しては、父親から日常的に暴力を振るわれ
母親は、それを見て見ぬふりをしていたとか
食べ物もろくに与えられず、近所の中華屋で残飯を貰っていたといった断片的な説明と
生まれ育った家の映像が映し出されるくらいで、詳細は何も語られてませんでしたが
それが余計に、現在の上林に至るまでの経緯の壮絶さを想像させたんじゃないかと…?(汗)

更に、白石監督は「孤狼の血」シリーズのキャスティングについて…
「このジャンルでは『仁義なき戦い』シリーズが面白いけど
作り手にとっては聖域で、下手に触ると火傷する
原作の『孤狼の血』の大上のイメージ(の役者)は
今の映画界にはいないと思った…菅原文太さんしかいないと…

ただ、今の日本で最高の役者って誰だろうと考えたら、すぐに役所広司さんが浮かんだんです
かつて、役所さんが『ジャブ極道』に出ていたけど
あの『ジャブ極道』の人が、今も生きてたら
どうなっているのかを思い浮かべながら、出演依頼した
役所さんは、そのタイミングで、その役を演じることが出来るのは役所さんしかいない
…という廻り合わせを感じるけど、同じものを(松坂)桃李くんにも感じています

この映画は、大上と日岡の継承の話であると同時に
役所さんを継承するのは、松坂桃李だと思った」…と、おっしゃってますが
松坂さんは、前作の公開初日に、続編制作が決定したことをお知りになり
「あ、そうなんだ?続編やるんだ」…というくらいのリアクションでいらしたのが

…って、やっと完成した作品が、ようやく公開になったばかりなのに
次回作に考えを巡らせることは、ナカナカ難しいんじゃないかなあ?(苦笑)
朝ごはんを食べている時に「夕飯は何が食べたい?」と訊かれるみたいな…(笑)

でも、後々になって「あれ?ガミさんがいなくなったってことは…
えっ?僕が役所さんの立場になるんじゃ…?」とお気づきになり
「膝がガクガク震えました(笑)」と明かされてました(笑)

白石監督が、そもそも最初に松坂さんをキャスティングなさったのは
「ただのイケメン俳優で終わるつもりがない役者だから」だそうですけど
鈴木さんには「上林を日本映画史に残る悪役にして欲しい」とオファーなさったらしく

鈴木さんは「当初、自分には荷が重いんじゃないかと、お引き受けすべきかどうか迷った」ものの
「脚本を読み込み、上林の核は何か?と考えていて行く過程で
僕自身が最も怖いのは『自分が悪いと思っていない悪だ』という結論に至った

上林の行動は極悪非道だけど、彼にとっては全て己の正義に則った行動なんだと腑に落ちると
徐々に上林がヒーローに思えて来た
僕の中で、彼の全てが正当化されて行きました
現場で監督から『上林、悪いなあ』と言われると『悪いのは日岡です』と返してましたから」
…と「ネガとポジ」が反転するように「上林」の気持ちに寄り添われたみたいですが

「悪人を描かせたら日本一!」と言われる白石監督も
「悪は、誰の中にも存在するものだし、でも完全な悪の人って、僕はまだ見たことがなくて…
『凶悪』で、ピエール瀧が演じた須藤って男は
平気で…自分のコミュニティ以外の人間だったら、平気で殺すんだけど
家に帰ると、子供たちに優しくて、きっと良いおじさんだったりするじゃないですか

本当の悪って、そういうもんなんじゃないか?
単なる…やっぱりあの…一面的な悪じゃなくて多面的な人間
悪ければ悪いほど、多面的な人間を見せるようにしてますね」…と、おっしゃっていて

今作も、スクリーンには映っていなくとも
上林が、今の幹部たちの「牙を抜かれた」状態を歯がゆく思ったり
「わしゃ必ずそのデカ見つけ出して、地獄見せちゃるけぇ」と復讐を誓ったりするのは
五十子親分を「実の父親」として慕い、忠義を尽くしていたからじゃないかと…
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