ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

フィルム・ガレージ(#9)その4

2020-07-15 14:19:00 | メディア
甲斐さんが「平和で牧歌的な時代は終わったんだなという記憶が
すごく自分の中であるんですよね、だから、あのー…」とおっしゃったトコで
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの魅力を徹底解剖」というクレジットが出て…

「この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中で
あのー、ヒュー・ヘフナーのプレイボーイ・マンション…
まっ、向こうのマンションって、邸宅のことなんで
プレイボーイ・マンションのパーティに、まあシャロン・テートが…」の辺りで

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド…製作:2019年 監督:クェンティン・タランティーノ
1969年のハリウッドを物語の舞台に、当時の映画やテレビ音楽の断片をふんだんに散りばめた
タランティーノ監督の映画愛あふれるハリウッド賛歌」と、今更ながらの注釈(笑)

ちなみに…当時、ヘフナーはポランスキー監督の次作「マクベス」に出資することになっていて
事件後に監督が撮ったこのシェイクスピアの「マクベス」は
「バケツをひっくり返したような血みどろの映画になった」んだとか…(汗)

ともあれ…「ロマン・ポランスキーと行くシーンがあるんですけど
そこで出迎えるのが、ママス&パパスの、あのママキャス(・エリオット)なんですよ
『わあー!シャロン!』とか言って…
で、そこの…それ、すごい平和的な象徴のシーンとして扱われてて

それがこう…すごく浮かび上がれば上がるほど
そのクライマックスの…あのー、残虐なシーン…
あのー、チャーリー・マンソン一味をやっつける
アレが、ものすごく効果的になるっていうの
やっぱり、そのー、すごい…あのー、監督はね
タランティーノは、すごい計算してますよね」と甲斐さん

「やっつける」って言葉に「ん?えっ!?まさか!?」と焦っていたら
「で、実際に、まっ、結末は違う訳ですよね、この映画…シャロン・テートは惨殺されない
で、結果的に、隣のウチを襲っちゃって…
で、そこに、ブラッド・ピットと、えー、主役がいて
で、結局、ボコボコにヤられちゃう…チャーリー・マンソン一味が…ってことなんですけど」
…と思いっきりのネタバレ(笑)と、レオ様のお名前を失念なさったらしい?甲斐さんに大笑い(笑)

まあ、主演のお二人は以前に、それぞれ別のタランティーノ作品に出演していて
その「ジャンゴ~繋がれざる者」と「イングロリアス・バスターズ」
そして今回の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の3本を
「『タランティーノ歴史○○三部作』と呼んでいいですか?」と訊かれたタラちゃんは

「ああ、呼んでくれよ!でも、映画公開後にしてね
その○○がネタバレだから!(笑)」と答えているし(笑)
前述の2作品をご覧になった方には、このやり取りだけで
ラストの仕掛けが判っちゃったでしょうし(笑)
すでに公開期間は終わり、映像ソフトがリリース・レンタルされているし
もう「ネタバレ解禁」でイイのかなあと…?(笑)

「僕、ナンで、この結末にしたいのか?っていうこと、すごく観ながら考えてて
やっぱり、その…『一番ドラマチックであるべきなんだ、映画は』…っていう考え方だと思うんですよ
僕、この結末が、一番ドラマチックだと思うんで、スゴイな!と…タランティーノはやっぱり…
まっ、そのために『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』っていう
まっ、ちょっとファンタジーがかったタイトルっていうね、あのー…に、したのかなと…」

…と、おっしゃってましたが、ネタバレなしで観賞した1人として
「歴史改変(笑)」あるいは「歴史捏造(笑)」という「ドラマチックな結末」に驚き(笑)
遅ればせながら「ワンス・アポン…」というタイトルに気づいて
「ヤられた!(笑)」と気持ちよくニヤリとしてしまったことは幸いでした(笑)

ここで…「実話とは違う、映画が描いた結末について」
この「フィルム・ガレージ」のインタビュアーでいらっしゃる映画評論家の松崎健夫さんが
「映画の中だけでも正義を貫くっていうフィクションが可能なのが映画だと思ってるから
歴史がそうじゃなくても、そちらの方を選ぶっていうことじゃないかなと僕は思ってるんですけど」

…と話されている間「うん、うん」と頷いていらした甲斐さんは
「昔の映画の考え方とか、昔の映画の言い方で言うと
それは『映画的誇張』『映画的ウソ』っていう風に言われてた訳ですよね
実話を扱ってたとしても、その通りじゃなくていいんだと…

でもね、僕ね、今これだけネット社会で、SNSがこれだけもう…
もう、バーッと広まるような時代だから
あの…事実を知ることって、あっという間に出来るじゃないですか
俺、だから逆に、そこ逆手に取ってると思うんですよ、タランティーノって…

だから『みんな知ってるじゃん、どうせ事実は…
だから、そんな事実通り描いたって面白い?』って…
まっ、事実通りに着地させることが面白い話と
もうこれだけ有名で、しかも、これだけ残虐非道な犯罪
『それをそのままやったって暗いだけじゃん?面白くないだろ!』っていう
僕は、そういう見解だと思うんですよね

チャーリー・マンソンの…まあ、ドキュメンタリーも
まあ、あと、チャーリー・マンソン事件を描いた映画も、ね?ちゃんとあるから
そんな、あっという間にみんなが…世界中のみんなが知ってるような事実を
ナンか、そういう風に描かなくても、こういう風に…まっ、事実をもうちょっと違えて描くと
すぐナンかファンタジーとか寓話とか言うじゃないですか

そういう言い方じゃない映画のクライマックスを、僕、撮りたかったと思うんですよね、彼は…
『寓話?なに?ファンタジーって言うなよ!』って…『違うよ!』って…
『これは映画の事実だ』『これは映画の現実だ』っていうことじゃないですか

で、ホントは…結果はどうあれ、もうクライマックスまで、あっという間に持って行かれたら
僕らが…観てる僕らが、問題ないよね?もう全然…
僕、もう、あの…『お見事!』って感じでしたもん!僕…
『おおっ!ここまで持って来た!』っていう感じがね」と話されているのを拝見して

確かに「8月9日」に向かってカウントダウンをスクリーンに表示することで
当然、予備知識として「事実」を知ってる観客に更なる先入観を植え付けた挙げ句
それを木っ端微塵に吹き飛ばしてやるぞ!(笑)って
わくわくしているタラちゃんの顔が目に浮かびました(笑)
「エンターテイメントの前には史実も道を譲る」って言いますしね?(笑)

ただ…奥さんは、甲斐さんが「ネットでパーッと広まる時代だから」と
ツアーのセットリストと同じ内容のアルバムを、ツアーに先立ってリリースなさるのは
「もうカンベンして欲しい…」と…(苦笑)
もっとも、それはネタバレがイヤなのではなく
実際にライブで演奏されて「ちょっとこれは…」という部分が発生しても
「予告セトリ」を変更できない状況になるのがイヤだからみたいだけど…(苦笑)

それはさておき…「今作でタランティーノが描きたかったことは」というテーマに移り…
「僕、68年から69年にかけてのエネルギッシュな人たち…それは映画人
で、シャロン・テート事件は、絶対みんな見過ごすことが出来ない
これを絶対組み合わせる!っていう…」とホントに両手の指を組み合わせておられましたが(笑)

「ナンか、そこに、その光と闇の…さっきも言った…ウッドストックが、ラブ&ピースだったのに
オルタモントで…とシャロン・テート事件で、あの…『それは幻想だったんだ』って言って
みんなが、世界中が、そこの現実を思い知るっていう、そういう時代だったんですよね
僕、その…やっぱり光と闇っていうのを
こういう形で描きたかったんじゃないかなと…えー、思いましたね」と甲斐さん

以前、この作品について話された時に
「(シャロン・テート役の)マーゴット・ロビーが出て来ると
パーッとした曲がかかる」とおっしゃってたけど
タラちゃんは「シャロンは、この作品の心臓であり
1969年のツァイトガイスト(時代の精神)だ」と位置付けていて

「ミニスカートと白いブーツのまま、あの悲劇のために、あの時代に凍結されてしまった
あの惨劇でしか知られていない彼女を、シャロン自身として
普通にただ、何でもない日常を楽しませてあげたかった」と

本を買いに行ったり、夫妻でパーティに出席したり
生まれて来る赤ちゃんの服を友達に見せたり、ランチを食べたり
自分の出演した作品をかけている映画館に入って行ったり…といった
ほとんどセリフがない、短く切り取られた日常生活のシーンを紡ぎ
幸せそうなシャロンの様子や、交遊関係の華やかさを伝え

封切り前に「シャロン・テートを墓から救い出す!」と宣言した
その言葉通りの意味で(笑)この作品を締めくくることで
シャロン・テート事件を機に、ヒッピーたちのイメージが、一気に血生臭くなり
ハリウッドの黄金時代が終わり、ニューシネマが本格的に台頭して来る…
その前の最後の幸せな時代の象徴として描きたかったようです
コメント
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