ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

フィルム・ガレージ(#9)その2

2020-07-13 14:44:00 | メディア
WOWOWの映画キュレーター甲斐よしひろが語る「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
続いては…「タランティーノ作品でタイムカプセルに入れたいシーン」について…

「僕、あのー、何でも映画観る時に…あのー、
『あっ!このシーンはタイムカプセルに入れて
あのー、50年後の人達に取っときたいな』っていうシーンがあると思うんですけど
僕、そういう風に映画観るんですよ
だから、やっぱりね、タイムカプセルに入れときたいシーンってね
タランティーノって圧倒的に多くて…

『パルプ・フィクション』の、まあ、冒頭で
あの…サミュエル・L・ジャクソンとジョン・トラボルタが
こう…車を運転しながら、あの…ヨーロッパの話をしてるのね
その中で、あのー、フランスのハンバーガーの話してて…まっ、フランスのマクドナルドの話…

で…『チーズバーガーはナンて言うと思う?』って言ったら
これが、その…『チーズロワイヤルって言うんだ』と…
『じゃ、ビッグマックは?』って言ったら
『ル・ビッグマックって言うんだ』…っていう話を、まっ、してる訳ですよ

それで、映画がずっと進むに連れて、あのー、ユマ・サーマンと、それからジョン・トラボルタが
高級なレストランでハンバーガーを食べるっていうシーンがあるんですけど
で、まあそこで、あのー、ダンスコンテストが始まって
で、まあ、あのー、そこでダンスシーン…あのー、ツイストシーンですね

ジョン・トラボルタも当然のように…
あのー『サタデーナイト・フィーバー』でムチャクチャ上手い
ユマ・サーマンもすごいカッコいい…当時まだ24くらいなんで…」
…と、これまでも、ずっと身振り手振り付きで(笑)語られていたんですが
ここに来て、ついに「ツイスト」風に、曲げた両腕を横にフリフリ(笑)
まあ、このダンスシーンは、以前にラジオでも力説なさっていたくらい
お気に入りのシーンみたいでしたし…?(笑)

画面下には…「サタデーナイト・フィーバー…製作:1977年 監督:ジョン・バダム
冴えない日常を送る青年が、土曜の夜だけはディスコの帝王としてスポットを浴びる
ディスコブームを巻き起こした青春音楽映画の大ヒット作」…というクレジットが出て

「そのツイストシーンが素晴らしい!ホントに素晴らしいシーンなんですけど
その時に後ろでかかるのが、チャック・ベリーの曲で
そのチャック・ベリーの曲は、チャック・ベリーには珍しく
あのー、フランス語満載の歌詞なんですよ、歌詞が…

そのチャック・ベリーの曲が、そこの背景にかかるっていうところを
ちゃんと、まあ、冒頭のそのマクドナルドの…
パリのマクドナルドのシーンが、ちゃんと繋がって行くという
そのお見事な手捌きっていうか、ね?えー、スゴイな!タランティーノ!

他にもいっぱいあって、あの…『レザボア・ドッグス』の時の…
あのー、マイケル・マドセンが踊る『耳削ぎダンス』ね?
あの『耳削ぎダンス』を観たいがために
僕は、10回くらい観てるんですけど、ハッキリ言って…(笑)

あのマイケル・マドセンが、こう…曲を聴いて
その耳を削ぐ、椅子に縛られてる奴の周りを、ゆっくりナイフを持って踊りながら
まっ、耳削ぐという…まっ、有名なシーンですけど
あれは、スティーラーズ・ホイールっていうバンドで
『スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー』ね
その曲に乗せて、あの…ホンっとにジョークのような耳削ぎダンスという…」

…と、やはり「この数行の歌詞が歌いたいがために、レコーディングをやる」方ですから(笑)
お気に入りのシークエンスを繰り返しご覧になっていても不思議はないですね?(笑)

確か、この「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も映画館でご覧になった後
「やっぱり、ナンか…やっぱりイイなー!」とNetflixでもご覧になった
ご家族の口座から引き落としという契約にされていたため
「ナンで、5日以内に2回観た?」と叱られたとおっしゃっていたような…?(笑)

それはさておき…「タランティーノ作品の映像の魅力とは」のコーナーに移り…
「タランティーノのスゴイのは、その…ああいう、こう…残虐でブラックな中に
すごいやっぱりユーモアが、えー、盛り込まれてると…
まっ、早い話が『そんな奴いないよ!』っていうヤツね
『そんな奴いないよ!』『そんなのある訳ないじゃん!』っていうのが、彼のユーモアなんで…

タランティーノの映画って、例えば、その…ストーンズならストーンズの
ベストアルバムってあるじゃないですか
で、ベストアルバムを聴いてるような感じなんですよ
要するに、名シーン、名シーン…すごく素晴らしいシークエンスを、こう…全部繋げて行って
そいで、それを…時間を前後させたりとか…っていう風にして
とにかく、クライマックスに持って行くと…

えー…っていうような手法だと思うんで
ああ、この人はもう、たぶん…あのー、オリジナルアルバムを聴いたあとは
絶対、ベストアルバムばっかり聴くようなタイプなんだろうなと
えー、タランティーノの手法、見てね、思うんですが…実は僕も一緒なんで…

えー、オリジナルはオリジナルの凄さ…
だけど、ナンか、ベストアルバムの方がイイに決まってんじゃん!
ヒット曲ばっかりだしさ、みたいな…
そういう、あの…こざっぱりした考え方っていう…あのー、感じですよね」
…って、だから甲斐バンドのベストアルバムが多い訳じゃないですよね?(笑)

「『レザボア・ドッグス』の時に、その…ギャングがまあ5~6人集まって
マドンナのことについて延々語るという『マドンナスピーチ』というのが
ホントに世界的に有名になったんだけど
えー、ナンか、そういうすごく斬新なアプローチ…」

…この「マドンナスピーチ」については、前回の「フィルム・ガレージ」でも
「あの『マドンナスピーチ』っていうのは、もう最高の脚本だって…
その後みんな…『レザボア・ドッグス』の後にみんな勉強したのね
『こういうことでいいんだ』っていうね
ああいう教科書になるようなものをやっぱり見せて行く…」とおっしゃっていたし
ホントにお気に召しておられるんだなあと…(笑)

「まっ、要するに映画って、みんながお金出す訳だから
あと、金を何回払って観に来るか?っていうようなスタートから始まらないと
『そんなものは映画じゃない』っていう考え方だと思うんですよね

だから、そのー、ビートルズが
『バスルームから、いきなりアイツが入って来た』っていう…まあ、歌があるんですけど
『映画なんて、いきなり冒頭はバスルームから人が入って来るようなところから始めないと
誰も、まっ、観る気もしない』と…これ、ヒッチコックも言ってるんだけど
えー、まっ、そういうことをすごくよく判ってる監督だなあと思いますね」

…と話されてましたが「MEETS AGAIN」についてのインタビューで
甲斐さんが押尾コータローさんのことは「映画監督を考えれば一番わかりやすい
例えば、ヒッチコックは脚本も書くし、カメラワークも編集も素晴らしいけど
大事なのは、こういう映画を撮るんだっていう着眼点であり、物事に対する視点だ

ビリー・ワイルダーが言った『正面玄関のドアを普通にノックして人が入って来る
そんなオープニングの映画を誰がお金を払って観るんだ!?』って話で
『バスルームの窓をいきなり開けて人が入って来る、そういうものに人は金を払うんだ』って…
音楽も大事なのは、そういう切り口なんですよ
それを生かすためにテクニックがあるし、技術を磨くんだってことなんですよね」と説明なさっていたり

前回取り上げられた「グリーンブック」についても…
「あれ、何が良いかっていうと、1962年のニューヨークで
当時の流行歌手ボビー・ライデルが、コパカバーナで歌うシーンから始まるじゃないですか
あの導入部から素晴らしいんだけど、しかも、その…判りやすく…
そこの用心棒でいる通称トニー・リップ…えー、ヴィゴ・モーテンセンが
いきなり、その導入部、暴力…用心棒のシーン(から)入るっていう…

ナンかこう…ナンか60年代の前半に、その天才的と言われてる
スタイリッシュな…まっ、実在のピアニストですからね、ドン・シャーリーって…
で、しかも、カーネギーホールの上に住んでる…
そのコパカバーナが休館することになって、仕事探してた、えー、トニー・リップと…
結局、その運転手…ナンで運転手が必要になるか?腕っぷしの強い…

それは、当時60年代前半の(アメリカ)南部っていうと、ホントに危険なツアーになる
だから、まあ腕っぷしの強い彼を雇うってことで…
しかも、黒人がちゃんと安全で泊まれるガイドブックがあるんですよ
それが『グリーンブック』だと…っていう…

ほとんどこれ、10分以内にこれがもう見えるっていう
あんな良く出来てる本はね、素晴らしい脚本だと思うんですけど…」と力説なさっていたりと
「歌詞を書く時は、まずキャッチーなタイトルを決めてから書く」とおっしゃる方だけあって
映画も「ツカミ」に重点を置いておられるのかなあ?(笑)

余談ですが…
「金を払うべき行為に値するイキのいい監督がどれだけいるのか?
タランティーノ、『セブン』のデビッド・フィンチャー
『ブギーナイツ』のポール・T・アンダーソンなど数人だ
しかも、次回作は『ハズレ』かも知れない
それでも、映画館に行き、闇に身を潜めるのは
『ひたすら強烈な映画という体験をしたい』という願いでしかない」と甲斐さん
今のところ、タラちゃんには「ハズレ」なしみたいですね?(笑)
コメント
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