『まわり舞台の上で荒木一郎』(文遊社、2016年)
私にとって荒木一郎といえば何と言ってもシンガー・ソングライターのはしりだった『空に星があるように』(下にyoutubeの動画を張ってある)という名曲を歌った歌手であり、少女淫行事件で捕まって(これは無罪放免になった)、母親の荒木道子という、いかにも良妻賢母を絵に描いたような女優さんが言った「本当はいい子なんです」という言葉として残っているばかりだった。
サングラスの風体といい、ただのマザコンというイメージしかもっていなかったのだが、この本を読むと、これがやはりテレビの作り出したイメージだったのだなということがよく分かる。
あまりいいイメージを持っていなかったのにどうしてこんな本を、たまたま新聞の一面下の広告欄でたまたま見たということで、読んでみたのかと言えば、やはり『空に星があるように』という歌の良さに惹かれたというしかない。
初っ端から驚かされた。母親は女優だった、つまり専業主婦ではなかったので、小学生の頃から家にいなかった。しかも小学校は青学の付属に通っていたので、近所の小学校に通っている子どもたちと接点がない、つまり友達が一人もいなかった。ふつうならそこで家で一人遊びをするだろうが、荒木少年は、どうやったら友達ができるかあれこれ考えて、試行錯誤をして友達を作ったという。
しかも女の子たちを引っ張ってくると、それにつられて男の子たちもやって来るということが分かった。女の子は生まれながらにしてストリップが好きだ、つまり自分の身体を見せることに本能的な喜びを持っているなどという、S…あたりが言いそうなことを、小学生にしてすでに学び取っていたというから恐るべし。
他人の心を読む能力が培われ、人を喜ばせる、人の心をつかむにはどうしたらいいか、どんな見せ方をしたらいいかということを学んでいったのがこの頃のようだ。それが役者をやるようになって、ドラマや映画の監督よりも演出が上手く、自分で書割をしたり、台詞を書いたりするようになって、ドラマの監督から、どうやったらできるのか、どこで演出法を学んだのか教えてくれと懇願されたという。
高校生の頃にはジャズにも入れ込んでいた。スウィング・ジャズが趣味ですなんていうのはたんに読書が趣味ですと言っているようなもので、馬鹿みたいだから、モダンジャズが趣味ですと言いたい。でも何曲も聞いてもすきになれない。気分が悪くなるだけだったが、我慢して何曲も聴き込んだ。これが後年歌謡曲のリズムと違うジャズふうのリズムをもった荒木独自の音楽になっていったという。
そして淫行事件のあと芸能界から干されていた頃に桃井かおりの付き人をしていた頃の話は、面白かった。まさにそれまで彼の生き方が桃井かおりという、普通の人には捉えきれない独特のイメージをもった女優を操ることを可能にしたと言っていい。
なんか30才までに、いや25才くらいまでに、普通の人の一生分の仕事をしたような印象を受けた。その意味で、淫行事件で芸能界を干されて、忸怩たる思いで生きていたのかなと思っていが、決してそんなことはなかったということが分かってよかった。別に荒木一郎のファンというわけではないけどね。
アマゾンの評価がほとんど星5つというのも驚いた。レビュアーのほとんどが私のようなジジイばかりのようだけど。
空に星があるように 荒木一郎(’66)
夜明けのマイウェイ PAL【「ちょっとマイウェイ」主題歌】
年代から考えてリアルタイムにこのドラマを見たことは一度もないから、この曲も聞いたことがないはずなのに、この懐かしい感じはなんだろう。荒木一郎の音楽っていいね。
ベンチャーズのパクリかと思うような、ノリの良い曲もある。
いとしのマックス 荒木一郎('67)
私にとって荒木一郎といえば何と言ってもシンガー・ソングライターのはしりだった『空に星があるように』(下にyoutubeの動画を張ってある)という名曲を歌った歌手であり、少女淫行事件で捕まって(これは無罪放免になった)、母親の荒木道子という、いかにも良妻賢母を絵に描いたような女優さんが言った「本当はいい子なんです」という言葉として残っているばかりだった。
サングラスの風体といい、ただのマザコンというイメージしかもっていなかったのだが、この本を読むと、これがやはりテレビの作り出したイメージだったのだなということがよく分かる。
あまりいいイメージを持っていなかったのにどうしてこんな本を、たまたま新聞の一面下の広告欄でたまたま見たということで、読んでみたのかと言えば、やはり『空に星があるように』という歌の良さに惹かれたというしかない。
初っ端から驚かされた。母親は女優だった、つまり専業主婦ではなかったので、小学生の頃から家にいなかった。しかも小学校は青学の付属に通っていたので、近所の小学校に通っている子どもたちと接点がない、つまり友達が一人もいなかった。ふつうならそこで家で一人遊びをするだろうが、荒木少年は、どうやったら友達ができるかあれこれ考えて、試行錯誤をして友達を作ったという。
しかも女の子たちを引っ張ってくると、それにつられて男の子たちもやって来るということが分かった。女の子は生まれながらにしてストリップが好きだ、つまり自分の身体を見せることに本能的な喜びを持っているなどという、S…あたりが言いそうなことを、小学生にしてすでに学び取っていたというから恐るべし。
他人の心を読む能力が培われ、人を喜ばせる、人の心をつかむにはどうしたらいいか、どんな見せ方をしたらいいかということを学んでいったのがこの頃のようだ。それが役者をやるようになって、ドラマや映画の監督よりも演出が上手く、自分で書割をしたり、台詞を書いたりするようになって、ドラマの監督から、どうやったらできるのか、どこで演出法を学んだのか教えてくれと懇願されたという。
高校生の頃にはジャズにも入れ込んでいた。スウィング・ジャズが趣味ですなんていうのはたんに読書が趣味ですと言っているようなもので、馬鹿みたいだから、モダンジャズが趣味ですと言いたい。でも何曲も聞いてもすきになれない。気分が悪くなるだけだったが、我慢して何曲も聴き込んだ。これが後年歌謡曲のリズムと違うジャズふうのリズムをもった荒木独自の音楽になっていったという。
そして淫行事件のあと芸能界から干されていた頃に桃井かおりの付き人をしていた頃の話は、面白かった。まさにそれまで彼の生き方が桃井かおりという、普通の人には捉えきれない独特のイメージをもった女優を操ることを可能にしたと言っていい。
なんか30才までに、いや25才くらいまでに、普通の人の一生分の仕事をしたような印象を受けた。その意味で、淫行事件で芸能界を干されて、忸怩たる思いで生きていたのかなと思っていが、決してそんなことはなかったということが分かってよかった。別に荒木一郎のファンというわけではないけどね。
アマゾンの評価がほとんど星5つというのも驚いた。レビュアーのほとんどが私のようなジジイばかりのようだけど。
空に星があるように 荒木一郎(’66)
夜明けのマイウェイ PAL【「ちょっとマイウェイ」主題歌】
年代から考えてリアルタイムにこのドラマを見たことは一度もないから、この曲も聞いたことがないはずなのに、この懐かしい感じはなんだろう。荒木一郎の音楽っていいね。
ベンチャーズのパクリかと思うような、ノリの良い曲もある。
いとしのマックス 荒木一郎('67)