超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Syrup16g全曲レビューその65「Honolulu★Rock」

2015-09-28 13:45:51 | Syrup16g全曲レビュー








6周年の雑記を書いたばかりですが、約1年ぶりにこの企画を更新します。
この企画はここで始まったものなのであくまでここで完遂したい・・・という気持ちからです。
と言う訳で久々のSyrup16g全曲レビュー、です。














Honolulu★Rock            ミニアルバム「Free Throw」収録















この曲を初めて聴いたのは中学生の時かな?
先に「COPY」を聴いていた為「すごく明るくてポップな曲だなあ。」って当時は単純に感じていて
そんなライトな感覚もこれはこれで悪くない、良い曲だね。なんて思ってたりしてました

実際アレンジはとっても軽快で疾走感もあって、サクサク聴ける小気味良いロックンロールになっています
ちょっと音質は懐かしさを感じますけど、それはそれで良い意味でフレッシュさを感じられて素敵であります
口ずさみやすいメロディや跳ねるようなリズム感も手伝って、
シロップの中でも随一にポップなナンバーに仕上がっているとは今でも感じます
要するに際立って聴きやすい一曲・・・という事ですね。


ただ、当時は未だ経験が浅く、
この曲が持つ「本当の意味」までは感じられてなかった、とは今聴くとしみじみ思いますね。



冷たい人だねって君は背中向けた
僕はむしろ君の太陽になろうとしてたのに


赤の他人が如何に相手を想いやるか
その戦いにおいても僕は敗者だった



・・・当時はライト感覚で聴いてた曲が、今ではちょっと泣きそうになりながら聴いている、
っていうのもよくよく考えれば面白いですよね その、年齢や経験で感じ方も変わって来る~というのが
表現に於いて最も楽しくて愉快な部分なのかも、なんて思える好例ですね(自分の中で)

正直な話、どんなに強く想っても届かない、遠くに感じる事も多々あります
いや、振り返ればそんな経験ばっか大人になってからして来た気すらしています
だけど、世の中をふと見渡すと絶対にそんな人ばかりではなくて
そこで初めて

「ああ、俺は敗者だったんだな」

と、強く感じて、ふと泣きそうな気持ちになってしまう
この曲はそういう感情をスッと誘発させるような効果を持っていて
でもそれも楽曲自体が軽快なアレンジでかつ口ずさみやすいメロディラインだからこそ、
自然に聴き手の中に入って来るんだと思うし、
そういう意味では実は内省的な表現と相性の良い曲調でもあるのかもしれない・・・と
ここ数年は新たに感じたりもしてましたね

本当は太陽になりたかった、
でも気が付けば距離感を間違えて“熱さ”だけを感じさせてしまい
結果的に照らす事も温める事も出来ずに残したのは冷たい、薄情という印象のみ
一聴すればポップで軽快なシロップにしてはライト感覚のロックンロール、だと思う方もいるかもですが
歌詞の方は結構に沁みる出来栄えで、かつ歌に関しても水面下の感情が密かに伝わって来るような、
実は相当カタルシス満点の「空しさ」に満ちている楽曲だとも個人的には感じる一曲です。


多分心が通じ合うなんて
一生ないから


これが感覚的に、肌で分かってしまうと結構辛いですよね・・・。
「なんだか遠いな」「届かないな」って一度でも感じた事があるなら是非聴いてみて下さい。
そういう曲だとも思います。













余談ですが、武道館ライブの時にこの曲会場で流れててね、
あのでっかい会場でこの曲が掛ってるのはちょっと違和感がありつつも
でもなんかその違和感がすっごく良かったなあ・・・って思い出があります。
その時も明るさの中に漂っている空しさを感じていたのかもしません。
密かな名曲。