超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

クロス・マネジ 3巻/KAITO

2013-07-04 17:53:08 | 漫画(新作)











 




KAITO「クロス・マネジ」3巻読了。
















この3巻を読んで改めて思ったのはなっちん(斎賀)の話が素晴らしいという事ですね(笑
この話は・・・凄く沁みると思うんですよ
今までガムシャラに頑張って来た人間が他者から実直に認められるというお話
別に目新しいエピソードという訳でもないのにすっごく感動してしまったのは何故だろう?と考えるんですが
それはやっぱり3話あたりのエピソードを先に読んでるのでキャラの言ってる事がよく理解出来る
確かに櫻井は不遇ではあるけど器用さは抜群で
逆になっちんはとことんまで不器用なんですよね
結局深空の為に頑張ってても櫻井よりも貢献は出来てない訳ですから
ある意味コンプレックスを感じるのも道理っちゃあ道理なんですよね
というか、自分より卒なくこなせる人間にお世辞を言われても素直に喜べないのがリアルな話で。

だけど、自己評価がいくら低くてもコンプレックスがあったとしても
ぶっちゃけ他人にとってはそんなもの関係ないに等しいんですよね
その人が自分をダメだとか不器用だとか思ってても
周りから見れば実は助けられていたり、凄いって思う部分があったり、尊敬するポイントがあったり
そこを櫻井は本当に純真な気持ちで表現してくれたわけでそれが嬉しくないはずはない、という
ここまで美しく人一人が報われるお話を読むこともあんまりないなあ、というか
それは単行本で読んでも変わらない感動がありました
また、櫻井のセリフがお世辞とかじゃなく
読者から見ても「その通りだなあ」って思えるのも大きいんですよ
確かに一番足掻いて部のムードに貢献してくれてたのは彼女だって気がしますし
その点でもそれまでの積み重ねが目に見える形で結実したみたいで凄く嬉しい気分になった
重ね重ね本当に心に残るお話だなー、と
改めて思ったわけです。


この巻はそういう他人に関しての感謝だったり、ねぎらう感情がよく表現されている巻で
予選リーグを勝ち抜いたからこそのご褒美的な内容にもなっている巻ですね
そのリーグ自体もどの試合にもしっかりと「勝てた理由」が付随してるのが素晴らしいと思います
1回戦はワンマンチームだったからみんなのコンビネーションで勝てた
2回戦は櫻井の配置と策が上手くハマって勝利
3回戦は小松さんの特訓が効いて勝利・・・と何気に勝利に対して説得力があるので
そこまで都合良くも感じないのがミソですね
後もう一つ、予選をポンポンと勝ち抜ける力をハードワークで得たからこそ蝶蘭に挑戦出来る今がある
つまりはこの辺で既に苦戦してるようじゃ蝶蘭と善戦出来るのが嘘臭くなっちゃう訳で
その意味でも個人的にはテンポも良く理由もある良い進行だな、と
ラクロスの面白さも徐々に描かれつつあるので
段々とエンジンが更に掛かって来る前兆のような巻でもありますね
チームワークの勝利、深空のラクロス向きの性質の示唆、そして小松さんの覚醒と
非常に濃厚な内容に仕上がった前半

そして後半はそんな苦節を乗り越えて来たからこその部員同士のやりとりが中心
割と息抜き要素の強い内容になってますけど、深空の櫻井への深い感謝の気持ちが表現されてたり
櫻井もまた深空たちのお陰でここまで連れて来てもらった事に感謝の意を表したり
凄く基本的な行為ではあるんですけど、
だからこそ丁寧で印象に残る構成に仕上がってると思います
他にも試合終わりには他の部員も櫻井に強い感謝の気持ちを伝えたり
強くなって調子に乗る描写もありますが(笑 一方ではみんな謙虚な気持ちも持っていたり
そういうバランスがなんとも素敵だなあ、と思えるとっても人間くさい内容に仕上がってて満足でしたね
小松さんと櫻井のお話も健気に励まし合って頑張る姿が印象的な傑作回でした
要するに今回も鉄板的に面白いです、っていうそういう感想ですね(笑
この後、ラクロス模様もドラマ模様も加速度的に増していくので続巻も是非期待して欲しいです
ポテンシャルを存分に発揮しまくる展開になっていくのでね。4巻が早くも楽しみですね。


最後の方には、蝶蘭のエースである和峯さんとの出会いのお話もあります
これがまた個性的な出会いで改めて読み返すとなんだかクスクス笑えてきますね(笑
きっと和峯さんは自分の実力を知って諦める人よりも
最後まで全力で勝負してくれる人が好き、
そういう気持ちが根底にあるからこそさっと諦めずに頑張って探してくれた櫻井が気になったのでは、と
そう考えると益々合理的に感じられたりするのがまたこの漫画の良い部分ですね(笑)。

その和峯さんは初登場時から只者ではないオーラと宣戦布告の言葉を投げかけてくるので
いかにも壮絶な戦いになりそうでワクワクしていた記憶がこの辺ではあります
まあその言葉どおりに壮絶な戦いになるんですけど(笑
そういう少年誌的なワクワク感を演出出来てるあたりもまた抜け目がなくていいなあって思うのです
チートでなくギリギリから這い上がる戦い方は確かにジャンプ的じゃないので
その意味じゃジャンプ読者的には賛否分かれると思いますけどね。
ただ、そういう風にガムシャラにしがみつく姿もそれはそれで格好良いものです。
例え劣勢でも、絶望的な状況下でも最後まで「勝ち」を目指して諦めない姿にもらえる力は大きいかと
部員達の細かな成長やクスクス出来るコメディ描写も含めて読み応えのある新刊でした
巻末にはNEXTの番外編も収録されてるので未読の方は是非。
鳥海のキャラはある意味立ちまくっています(笑











ジャンプコミックスに必ず挟まっているチラシで何と初めてクロス・マネジがピックアップされてます
1巻と2巻は無反応だっただけに嬉しかったんですがこれでこの後終わったら意味ないので
是非是非存続させて欲しいですなあ。
本誌でカラーがない分折り返しと裏表紙で和峯さん、なっちん、小松さんのカラー初お披露目です
まあ和峯さんは本誌のライバル表紙で一回小さくカラーで描かれましたがね(笑
おまけも本編を補完するような内容になってて楽しかったです
早見先輩も関も良いキャラですね(笑)。

そして、今にも騒ぎ声や水の音が聴こえてきそうな表紙イラストもまた素晴らしい。
内容以外の部分でも往々にして満足出来た3巻目でした。引き続き、本誌でも応援します。