超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

となりの柏木さん 5巻/霜月絹鯊

2012-09-12 21:01:19 | 漫画(新作)






霜月絹鯊「となりの柏木さん」5巻読了。







今回は桜庭くんと柏木さんではなく、福田さんと草野くんの恋愛が中心だった訳で
私の大好きな柏木さんの出番が少ないじゃないかあ!・・・・ってそんな気分だったんですけど
読み終えると案外満足度はめちゃめちゃ高かった、
どころか超面白いッス!という
正直読む前の期待値はいつもより低かったんですけど
蓋を開けたらいつもと変わらぬぐらい面白く感じられたという(個人的にね)
それが最初は不思議ではあったんですが
よくよく考えてみると、結構納得だなあとも思えて。

メインの二人が、超奥手なんですよね。
桜庭くんは好きな気持ちはたっぷりあるし伝わるけど若干頼りないし(笑
柏木さんも・・・まあ自分から行くタイプじゃないから
必然的に亀ペースにならざるを得ないんですが
それがサブの二人だと、
案外福田さんは恋愛体質な事が分かったし
草野くんはどんどん矢継ぎ早に攻めていくしで
正直メインの二人がビックリするほどのハイペースで進んで行く訳なんですよね。恋愛模様が。
それが、これまでの読者的には面白いと言うか
ストレス解消というか(笑
メインがまだまだ時間が掛かるから、サブを取り合えず成就って狙いがあるのかもしれないけど
それにしたってここまで気持ち良く少女漫画ちっくな恋愛が味わえるとは思わなかったから
余計に新鮮だったし、スラスラ読めたし、これから先も期待したくなったし
何よりも今までは「恐い」「堅物」ってイメージだった
そんな福田さんが解きほぐされていく様子は
本当にニヤニヤ出来ました(笑
それは結構前から複線を張ってたから素直にニヤニヤ出来たっていうのもあるけど
同時に、これを機に福田さんが色々な意味で味方になってくれそうで
その意味でも便利で合理的な展開だな、と。

でも個人的には柏木さんのヒロイン力が凄まじい作品なので
福田さんメインじゃ盛り上がらないのでは、という懸念があったのも事実です
しかし、そんな圧倒的柏木さん派の自分から見ても
素直に面白く、ニヤニヤ出来たと言うのは
正に福田さんもまた天使だったんだなあという事実を確認出来て
これから先の読む楽しみも二倍に増えそうな(笑
案外、頑張れば分かってくれる
柏木さんとは違って恋愛オンチって感じでもないので
そういう点から考えても、意外と動かしやすいキャラクターだったんだなあ、と。


柏木さんと桜庭くんの関係って言うのは、何と言うか
桜庭くんは大好きで求愛しまくってるけど
柏木さんがまだまだ恋愛と言うもの、感情をよく分かってないという
その上桜庭くん自体の積極性も優れている訳ではない、って
結構などつぼな訳ですけど(笑
だからこそ、一歩一歩進んで行く様が微笑ましくて、面白くて、応援も見守りもしたくなるんですが
ただずっとじれったいのが続くと読者的にはストレスが溜まるので
敢えて成功例を先に持ってきた・・・と
そういう感じがしますね。
勿論引きからして確実に成功するって訳でもなさそうですが
脈は十分にあるとは思うから
恋愛ベタな二人にとっては指し示される部分や学ぶ部分は往々にしてあるでしょう
それらを踏まえた上で、メインの二人の関係が進んでいく・・・と考えるとやっぱ凄く合理的で
きっちり価値のある良展開だったなあ、と思います。グループ交際ものっていう個性も立ちますし。

そんな亀ルート真っ最中の二人にも若干進展があったようで
バレンタインのほっこりとした小話を挟みつつ、
最後の方には遂に
桜庭くんが柏木さんを「女として」意識・・・!これは結構大きい気がします
今までは若干子供じみた雰囲気の関係性って節もあったんですけど
手を繋いだ例のシーンから一転、
一気に生々しくなって
ここから先は何気に桜庭くんの頑張りが見られそうで楽しみ
彼もずっと草野くんを頼ってばかりなようで、その実彼の意識を焚き付けたりと時には男らしいから
その意味でもラブコメ的な意味でもここからの展開がすっごく楽しみです
女の子を大切にする気持ちだったり、
好きな人の為に頑張って尽くす健気さだったり
そんな繊細な感情がめいっぱい楽しめる極上の恋愛ストーリー
先が気になって一気にツルッと読めてしまった辺り、
絵柄やキャラでなく話し運びや展開で魅せられた感がアリアリで、それが何より良かったです。
世界観の広がりも大いに感じられた5巻目、今回もまた個人的には大満足でした。






それにしても草野くんは色々と恥ずかしい奴ですねー(笑
見てるだけでこっ恥ずかしい、けれどあのカテナチオを破るにはそれくらいの度量が必要なのかも
逆に言えば柏木さんみたいな繊細すぎる女の子には桜庭くんのようなタイプのが合うのかな?
何にせよ、対比的にもすっごく面白かった新刊
まだまだ楽しませてもらえそうです。

個人的には168ページの色気のある柏木さんの描写が最高でした(笑)。
へタレって言われるけど桜庭くんもいじらしくて好きです。ほおっておけない感じが・・・。




ランクヘッド「青に染まる白」全曲レビューその8「無限光」

2012-09-12 02:51:42 | 音楽(全曲レビュー)






8曲目、残すはあと3曲です。






8.無限光






「次から次へと浮かんで消える 意味のない問いと意味のない答え」

朝起きて、気分はとても良いとは言えなくて
煮え切らない気持ちのまま家を出て
些細な苛立ちや
拭いきれないネガティブな感情は問答無用に心の中に襲ってくる
一難去ってまた一難、その一難を消化したらまた新たな一難の繰り返しで
結局絶対的な不安から逃れられる事はなく
幸せは一瞬だけ、
他人との軋轢はなくならないし
壁は壊せない
仮面はそのままに、不必要な問いと、その場しのぎの納得に何度も何度も溺れて
元々居た場所から何歩か進んでいるようで、実は同じ地点をずっと回っていただけで
何の確証も確信も得られぬままに、また次から次へと浮かんでは消える疑問
なぜ生きるのか、
なぜ死ぬのか
そこに絶対的な答えなんてないのに
考える事自体が無意味で滑稽で時間の浪費に過ぎない
それでも尽きない嘆きへの興味・・・。


この曲は、そんな色々な意味で幻滅するような現状を、現実を
歌っているようで
その実本質的には逆ギレなんですよね。
そんなもん知らねえ、そんなん分からねえ、ただそこにあることを認めるだけ
今ここにある事実を認めるだけ。同時に、そんなクソみたいな目の前の現実に対して
「知らねえよ!」と唾を吐きかけるような、
恐ろしい勢いのアゲインスト・ソング、
アジテーション・ソングになってて。変な考えや下らない悩みは延々と絶え間なく続くけど
結局考えても自分が本当に納得の出来る答えが一切出ないのなら
そんなもんほっといて
現実を認めて生きろ、と。
実際にそういう方向性なのかは定かではないですが
個人的にはこの曲を聴いていると、そんな目の前の苛々が少しだけ霞む気がして
その意味ではある種勇気をもらえるナンバーにもなってるんじゃないか、と
一回千葉LOOKで聴きましたけど
ライブでもめっちゃ盛り上がってて最高でした、
真面目に考え過ぎるのも仕方ない節はあれど、時には潔く放棄して認めて前に進むことも重要だから。
そんな燻ってる気分の時に聴くのが多分一番効果的なのでは、と感じる曲です。
小高さんのボーカルもいつも以上にキレッキレで興奮しますね。





いちからやり直す曲ではなく
ゼロからまた立ちあがるような、
そんなキッパリした男らしさが感じられる激情ナンバー
混沌とした感情をぶっ潰してくれるような痛快さが何よりも最高ですね。