5.ロックンロール
冒頭からキラキラしたバンドサウンドが気持ち良いキャッチーな一曲ですね
活き活きとしたギターリフに加えてディスコの要素も含まれている問答無用で気持ちが良いナンバー
そんなダンサブルな感触を味わえつつも曽我部さんお得意の「景色が見える歌」は相変わらず貫かれている
その絶妙な塩梅に何度聴いても感性にグッと来るような今作の中でも求心力の広い楽曲です
歌詞も付いてない所から何も考えずに感じる事を推奨している気がする
過去の曲で言えば「トーキョー・ストーリー」に通じるものがあるなあ、と個人的には思ってます。
あの曲もまた歌詞なしでグルーヴと雰囲気重視で、何よりもキャッチーな楽曲でしたからね。
そういった意味でも今作は現在だけでなく過去も引き連れてるアルバムだなあ、って
聴いててそう感じられる楽曲の内の一つでもあります
おまけに、過去よりも幾分か磨き上げられている感触があるのもまたファンとして好きな部分。
「歌うの/歌わない/気持ちは回るぜ」
何も考えずに感じればいいだけ、とは書きつつ
野暮ながらこの曲が表現しようとしたものを自分なりに探ると
凄く霧中にいる感覚というか、抜けきらずにイライラしている心情が歌詞から窺い知れる
それは「キャッチー」っていう要素からは程遠かったりもするんですけど
逆にそういうネガティブな心情をダンサブルなビートに乗せて歌うっていうのが痛快だなあ、と
土台に求心力がある分共鳴もし易くなっているのが非常に個性的で良いです
なんでしょうね、客観的に考えれば自分が間違ってる、愚かではあるのに
どうしてもそれを認めたくない感情や何一つ納得出来てない悔しさだったり
冷静に考えれば当たり前である事にクソって思う気持ちだったり
そういう正論だけでは済まされない複雑な心境が歌や雰囲気に滲み出ている気が個人的にします
それを踏まえてやるか/やらないかの簡単な選択の中でグルグル回ってる感情
モヤモヤの中で足掻いてる感触が正にタイトル通り転がり続ける人生を表しているなあって。
多分この曲がキャッチーなだけの曲でもある程度好きにはなったでしょうが
そういう葛藤だったり汗や涙の匂いが伝わって来る曲だからこそ更に好きになれたって思いはあります
頭の中でモヤモヤが渦巻き意識が霧中を抜けられない時に背中を押してくれるような、
或いは一緒に悩んでくれるような、そういう曲ですね。
私にとっては。
それと、サビメロの突き抜けるような爽快感が最高です
「yeah」って言葉にすら哀愁とそれでも前に進みたい気持ちが込められているように感じる
そういう奥深さが宿っている楽曲 ライブで聴くと更に興奮増しで尚最高ですね。
途中でブレイクのコーナーもあったり相当弾けてました。