日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

『「幸せの列車」に乗せられた少年/原題 Il treno dei bambini(ヴィオラ・アルドーネ作 関口英子訳/河出書房新社)』を読みました

2023年03月25日 | イタリアの本・絵本・雑誌

『「幸せの列車」に乗せられた少年/原題 Il treno dei bambini(ヴィオラ・アルドーネ作 関口英子訳/河出書房新社)』を読みました

 

昨年12月の「世界の書棚から イタリア ブックトーク」でご紹介いただいた本を早速読みました📖 

イタリア文化会館の図書室に行き このブックトークの講師を務められた稲田様から直々にこの本をお借りしました💕 

これは 南部の子供たちが戦後 北部に養子に行った実話をもとに書かれた小説とのことで 今まで知りませんでした 

イタリアでもこの作者が 実際に子供の頃にその列車に乗ったナポリの老人から話を聞くまで 国内では知られていなかったとのこと... 

若い頃に私も チェルノブイリの子どもたちの保養里親運動にも関わってきましたが これは健康面の回復がメインの4週間くらいのもので 全く違いますね

    *      *      *

アメリーゴという ナポリの貧しい長屋(パッソ)に母親と住んでいた少年は いつも小さな合わない靴を履いていました 靴屋職人に見習いに行かされていましたが 父親もおらず 実に厳しい家庭環境でした 

そしてある日 北部のモデナの家に 他の子どもたちと一緒に 列車で連れてゆかれます 当時 南部のそうした子供たちを 共産党の力の強かったエミリア・ロマーニャ州などで半年か1年程引き取り ある者はそこにとどまり養子となり ある者はやがて故郷に帰るという "Treni della fellicità"という列車があったのです 

戦後の数年間 約7万人(ナポリだけで1万人)もの南部の子供たちを  北部に送り届けていたそうです そしてこの本に登場する人物にも その多くがモデルとなる実在の人物がいたとのこと 

特に 「真っ二つに引き裂かれた」(生まれた実家と 引き取ってくれた家との間で)という言葉そのものである彼らの子供時代を経て 数十年も遠ざかっていた 違う人生を歩んできた彼らが その生まれ故郷を再び訪れる最後のシーンは まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」の 有名になったトトが生まれ故郷を再び訪ねるあのシーンを思い起こさせてくれます

そして このようなことが戦後あったことは 初めて知ることができました 

そして 前半と後半で文体が変わるのです 後半はモノローグとなっていて 大人になってからのアメリゴが 故郷の人々と様々な形で再会します ほんとに映画を観ているようで 一気に読んでしまいました

『「幸せの列車」に乗せられた少年/原題 Il treno dei bambini』の本は こちら

 


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