日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

「食糧危機」を吹き飛ばすエンタメ・ロードムービー「0円キッチン」を見てきました(2017.10.16)@2015年オーストリア映画

2017年10月24日 | スローフード・食育
「食糧危機」を吹き飛ばすエンタメ・ロードムービー「0円キッチン」を見てきました(2017.10.16)@2015年オーストリア映画


NHKテレビでドイツ語講座で この0円キッチンのダーヴィド・グロス(David Gross)監督インタビューを見た記憶があって こんなのもあるんだぁ...と思っていたら 先日たまたまこの映画のポスターが貼ってあったのを見たので 早速行ってきました「0円キッチン」自主上映会!! あちこちでやっているようです♪

オーストリア監督作品ですが お隣のドイツ人のGeiz und Geil(ケチはすごい)精神というかブームはあちこちで聞いています ドイツ人は昔から節約精神にあふれていて 美食よりも満腹が優先されるという面があると聞きました (じゃがいもで飢饉を乗り切った歴史があります)

世界で生産される食料の3分の1は食べられることなく廃棄されていて その重さは世界で毎年13億トンにもなります
捨てられてしまう食材を救い出し おいしい料理に変身させよう!」と考えた食材救出人のダーヴィドは 植物油で走れるように自ら改造した車に ゴミ箱(コンテナ)でつくった特製キッチンを取り付けて ヨーロッパ5カ国の旅に出ます

各地で食材の無駄をなくすべく ユニークでおいしく楽しい取り組みをしている人々に出会いながら 食の現在と未来を照らし出していくエンターテインメント・ロードムービーです
深刻なテーマを明るく描いていて見ていて だんだんと希望が湧いてきます

Schade(残念だ)
を 「もったいない」と訳していました "Mottainai"はまだ国際語にはなっていないみたい... 「これ(スーパーの売れ残り)はまだ食べられるのに 残念だ」と訳さないといけないんですよね 

最初はウィーンで シュニッツェルを揚げる廃油を無料でもらって 車に満タンに入れてからいざ出発!
スーパーでは まだ食べられる(essbar)食材の3割を 売れ残りとして廃棄していて この映画の出演者の女性が ゴミのコンテナにダイビングをして(その入り方がエレガントで...入り慣れているというか....) 食材を「救出」します

それらを使って様々なレシピでイベントを催し 食材廃棄の問題を明るく解決する監督とスタッフ...
廃棄食品の料理は ドイツ語ではResteküche 英語ではWastecoockingと言っていました

大学のごみ研究者は sachgerechtig(冷静)に ゴミの観察をしてゆきます
昔私も隣接区のごみ減量プロジェクトに関わり 広報誌にイラストを描いていたので 家庭ごみと事業ごみがどちらか多いとか ごみ減量の様々な取り組み等を漫画で描いたりしていたので よくわかりました

一部は悪くなっているりんごでも 大きな袋ごと捨てられていて(wegschmeißen) それらを使ってリンゴのコンポートを作って食べたり 家庭でも買いすぎで 監督が突撃して家庭の冷蔵庫の中をチェックしたり...(あっ私のうちの冷蔵庫を見ても ほとんど賞味期限切れのものはないですからねっ!)

この時の主婦のリアクションが笑っちゃう( *´艸`) 賞味期限が2002年とか!! 冷蔵庫には使わないもらい物とか 使いきれなかった食材もあるし 次は違うものを食べるから食べかけは捨てちゃうとか...いろんな家庭がありますね~ (うちは献立主義というよりは 普段は材料主義にしていて 家にあるもので工夫して作り 使い切るようにしています)

グルメシェフ曰く 「料理をすれば食材の無駄を防げる」とのこと オーストリアだけでも年間16万トンの食材が捨てられているとのこと 

賞味期限は日付よりも自分の感覚を信じること これについては「賞味期限のウソ」(井出智美著)がパンフレットに紹介されていました 
(また 10/17朝のニュースでも 大手スーパーで賞味期限を日付から月の表示に変更して 食品廃棄を減らすシステム改革を始めるというのを見ました♡)


次にはシュトゥットガルト  外来種の植物(ツリフネソウ)の花を摘んでゼリーにすると 除草剤を使わずに外来種の野草を駆除できて 市の予算も浮くという... 1時間で1キロの花を摘んでゼリーを作り300€の資金調達に♪

そしていよいよベルリン! 地図アプリを使って市民が どこにどんな果物の木があるかを地図で示す試みがなされていて スーパーに行かなくとも近くの果樹で 輸送費もかからず新鮮な果実が手に入るというわけ♪ (まぁ時間がないと無理だけどね~)

そして農家 1/3の収穫物が市場に出されずに 土にすき込んだり廃棄されているというのです 割れたブロッコリーも昔は貰い手があったものですが...
例えばズッキーニも 小さいものは市場に出ますが 1キロ近くまで育ったものは たとえ小さいものより味がよくても売れないのです 実際に監督が食べ比べて大きいものの方が美味しかったのに これは利益追求のあおりを受けていると 農家は怒っていました

チッピングパーティー」 これは活動家のシェフが廃棄された食材で料理イベントを開催し 若者たちをつなぐというもの 彼自身がサラエボで飢餓を経験していたのです (自分は生まれてから一時も飢餓を経験していないので その分動機は弱いですね)

遠い国から輸送費をかけて届いたバナナの半分を捨てるということ...  


さてアムステルダム 監督はベジタリアンになりかけていたけど(笑) ここで 残り肉で作ったFrikadel(フリカデル/ドイツ語ではFrikadelle)という棒状ハンバーグのファーストフードの自動販売機で ようやく肉に遭遇! ←自販機の向こうには人がいてびっくり(笑) でも違和感を感じたという監督...

9割がベジタリアン料理というレストランでは 残り野菜のくずを豚に与えて その肉を調理している そこのグルメシェフは 丹精込めて育てた豚だからこそ さばく時はつらいし だからこそどの部位も無駄にせずに料理していて 豚の頭を数時間煮込んでパテを作る等工夫を重ねて調理している その言葉に感じ入りました...
(昔 牛のすべての部位を使うことである生協が賞を取ったことを 私は今も忘れていません)


さて次はオランダ 割れたニンジンは なんとワームの餌になります そう 「昆虫食」です! ← スイスの生協でも試験販売されたそうです♪
バッタ コオロギ 芋虫などが 飼育され冷凍されて 肉団子やクッキーなどに使われ おもに途上国でのたんぱく源となっています 
とある小学校に出向いて 生きているワームに触れたり 調理したり試食したりする様子を描いていました!! サクサクしてておいしいって!
アジアやアフリカでは20億が昆虫を常食しているのですよね~ 将来の食糧危機を救う昆虫食!!


ベルギーのブリュッセルでは 監督たちが欧州議会の職員食堂に入り 余った食材を使って (ラディッシュの葉でソースを作ったり等) 即興で作ったメニューを議員たちにふるまうというゲリラ的なアクションに いつもの料理よりもおいしいと言われてシェフも複雑な表情( ;∀;)
EUでは年間9千万トン 一人当たり180キロの食品が廃棄されているのです... レセプションのビュッフェでも 参加人数が予想よりも少なければ余るわけだし...(経験あります)

ベルギーの工業都市 エルスタールでは 今 貴重な試みが始まっています
それは 「スーパーの売れ残り等を廃棄してはならない」という画期的な政策で 市長自らが映画の中で「人口4万人のこの街では助け合いが大切であり 貧困家庭に届ける規則を作った」というメッセージ! しかしスーパーでは罰則がないため廃棄するところもあり それを監督たちが見つけて通報するシーンもありました 

そしてパリ 美食のフランスに乗り込んでどうするんだ!?と思いましたが(笑) ここの魚市場では売れ残りの魚は冷凍して 翌日には売り切ると豪語する人もいましたが ここでは競り(せり)で売れなかった魚を「魚のバスケット」という市民団体が回収して加工し 食糧援助の受益者たちに届けるという活動をしているそうです 地元の魚をもっと食べてほしいとのメッセージ

それでも余りは油や魚粉にして魚の餌にするという話を聞いた監督は それらを使って料理したいとの情熱的な言葉 しかしイワシには魅力は少なく課題は多いと反論されます

そして監督は漁船に乗り込み 目当ての魚以外に網にかかる雑魚(ざこ) 死んでしまい海に捨てるしかない雑魚を使って ブイヤーベースを作りふるまいます 涙ぐましい... 小魚は売れないという法律が決まり 捨てるしかないそうです 網にかかった魚の半分もですよ... 

自分のこの活動がいつか必要がなくなる日が来ることを夢見て 旅は続きます..

映画「0円キッチン」は こちら

(上映時間1時間21分/カラー/オーストリア/2015年製作)← 今あちこちで自主上映会を開催中です(監督の来日に合わせて) お近くにあるかどうかチェックしてみてね!(^^)!

   *     *     *

ちなみに 以前調理師コースの保護者向け昼食会で とある高級割烹のお店に行った時に すべての材料を使い切って作ったコース料理の説明をいただきました 日本料理は他のジャンルに比べて廃棄率が高いのです お店の裏ではそんな工夫がなされているのだと 驚いた記憶があります 

事業ごみと家庭ごみ
の割合は 家庭ごみが多いと感じています (スーパーでもだんだん 1本とか少量サイズとか出てきて助かります♪)

また収穫体験に行った時にも 規格外(形が悪い 小さすぎるなど)のものは出荷せずに 豚の餌にまわしていると聞きました サラダの材料などにすれば形も関係ないし...と思いました 不揃いの野菜もどんどん出してほしいですね 生協にも余剰野菜や果物を安く供給するのがあり いつも利用しています(^O^)/
 
世界食品デー(10月17日)の朝のNHKニュースでも 大手スーパーが2025年まで廃棄食品を半減とのニュースをやっていましたね!賞味期限を日付から月に変える等の取り組みがなされるそうです


イタリア料理でもリボリータなど 残り物を工夫して使うレシピもありますよね!
どんどん行動してゆこうと感じた映画でした! 生ゴミコンテナにダイビングまではできないですが(笑) 



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