日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

「日本で最も美しい村連合フォーラム2018」に行って星空の話を聞いてきました(2018.11.13)

2018年11月18日 | イタリア関連の催し

「日本で最も美しい村連合フォーラム2018」に行って星空の話を聞いてきました(2018.11.13)

めくるめくイタリア留学フェア2018の翌々日 またまた行ってきました~イタリア文化会館で開催された「日本で最も美しい村連合フォーラム2018」!! 

この日はうって変わって日本各地からの「美しい村連合」の方々や 旅行関係の方などがぎっしり詰めかけていらっしゃいました 昨年とは少し違うプログラム構成で 質疑応答等は終了後の懇親会にまとめ 基調講演に時間を配分したようです 
そのため普段聞くことのできない 星空についての大変貴重なお話を聞くことができました:

今年のテーマは星空

基調講演 「イタリアにおける美しい村の取り組み」
講師:イタリアで最も美しい村協会会長 フィオレッロ・プリミ 氏

イタリア人ですら知らない村(borgo)を広く知らせるために作られた「イタリアの最も美しい村協会」よりいらっしゃいました 
ちなみにvillaggioは村、村落で borgoは(大きな)村、(小さな)町で 少し違います

2001年に ANCI (イタリア自治体協会/Associazione Nazionale dei Comuni Italiani)(7300の自治体が加盟)のイニシアティブで始められ 現在292の町村(comuni,borghi)が この「イタリアの最も美しい村/I Borghi piu’ belli d’Italia」協会に加盟しています

カルタ・ディ・クオリタ (carta di qualità/クオリティーの憲章)
によって 最も美しい村クラブのブランドの下に集まった村々の 素晴らしい観光ルートが作り上げられています

大都市のツーリズムとは一線を画した 小さなコムーネ(comune)同士のネットワークは重要であり 一つの村だけではできないことができる それは地元の特産品を知らしめ 雇用を増やし 経済発展につなげることであり 伝統は小さな村にこそ伝わっていること

文化や伝統を失ってしまったら それは取り戻せないのだという 人類の遺産への責任を担っているという自覚を持ちながら...
 
美しい村連合への加盟は 自治体が申請し 村全体が賛成しているか 自治体の住民が15,000人以下か 村(borgo)の人口が2千人以下か などの要件をクリアし 現地に行って確認したうえで72項目(美しさ サービス 生活の質等)のチェックをした上で判断するそうです
現在は292の村が加盟しており 中部イタリア(トスカーナ マルケ アブルッツォ等)に集中しています また今は60の村が申請中とのこと

広告塔としては 1. ガイドブック(600ページ以上)が13版を重ね 80万部を売っています

2. サイト 1,300万のビジター 250万のフォロワーがいますが まだ立ち上げ1年半とのことです 

2018年のイベントでは 6月にチェファルーのレガッタ 7月のウンブリアのフィルムフェスティバル 7月にスルモーナの騎士馬上競技(Giostra Cavalleresca) 10月にボローニャのFICOフェスティバルなど 

6月23日には La notte Romantica(優雅な夕べ)というカップル向けのイベントが各地で開催され イタリア全土で100万人が参加したそうです💛

他にもエッチェイタリアEcce Italiaという 特産品と手工芸品のプロモーションの組合(consorzio)が また Borghi Italia Tour Networkというツアーオペレーターの会社 そしてBorghi Servici e Ambiente というインフラ整備の会社もできました 

ISTAT(イタリア政府統計局)のデータによれば イタリアのツーリズムに占める割合は3% 300万人が訪れ 外国人はうち45%とのことで 当初は予想もしていなかった結果だそうです 一人当たり4日間滞在します

昨年のイタリアからの報告は「アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo difuso)」(村ごとホテルにする試み)でしたが 今年はそれを発展させた なかなかにパワーのある結果報告でした 

 ← ホワイエには美しい村の写真が!

   *    *    *

続く第2部の基調講演は 理論物理学者 佐治晴夫氏による 「星空に学ぶ人生の歩き方~美しい人生の暦をつくるために~」です

まずは 宇宙の「音」を会場に流してくださいました 宇宙戦艦ヤマトのオープニングの時の音(宇宙の音、雑音のようなもの)に近いですが こちらは本物です!!

現在は美瑛町の天文台台長を務められ そこで写した素晴らしい天体写真も見せていただきました 

星空を観るということは 宇宙の歴史を観るということです 
7千年前の太陽の光を 今我々は見ているのですね... この地球もやがては太陽の中に飲み込まれて なくなってしまうのですね 

また 星空ほどあらゆる人に 公平に姿を見せてくれるものはないのですね 

水は水素と酸素からできている では人間は何からできているか?との問いかけ 最後は燃えて黒くなるもの つまり炭素ですね

広い大地を外科医が見たら ポリープのように見えるところにちょうど街ができている...これってつまり大都市はポリープのようなもの??

そして1977年にNASAの宇宙探査機ボイジャーに搭載した ETが発見した時のためのカーター大統領のメッセージを聞かせてくださいました 本当に貴重な声のメッセージです 
45億年以内に見つけたら 地球に人類がいたことがわかるだろうというものです
さらには各国語での挨拶の言葉が続きます あまりの壮大さに涙が出そうになりました なんとかファーストじゃないんだよって... 

海王星の写真 針の先ほどの小さな地球の姿に 何かあっても助けに来てくれない孤独な地球の姿を見ました 

一日に100トンもの流れ星が地球に落ちてきます 2013年のチェリャビンスク州の隕石落下では 実際に爆風や光で大きな被害が出たのですが覚えてますか? 昨年(2017)にもその危機があったのですね...

昼間の星を見る美瑛の天文台 見えないけれどあるのですよ 星って...

宇宙の映像を見ながら ピアノも弾いてくださいました 
これはバッハの音楽で 1977年にNASAの宇宙探査機ボイジャーに 地球文明のタイムカプセルとして 搭載を提案したものなのですって

宇宙の普遍的な言葉 それは数学です
音楽の裏には数学があり つまりは音楽は国境を越えた共通のものなのですね

ETがタイムカプセルを見つけた時には 地球はもうないのですね...

     *    *    *

続いて 「日本で最も美しい村」連合加盟村代表によるトークセッションです


福島県・飯舘村村長


人口6千人 原発事故で全村避難となるも昨年の避難解除を受けて900人が村に戻る
40年前から星の美しさを体験する飯舘山学校を開いており 「光が飛んでこない暗い村」だからこそ 木星の電波を観測する(オーロラ観測)施設が作られたとのことで 「星空は宝物 あるものを生かそう」とのモットー そしてまた 発見された小惑星に「飯舘村」と名付けたそうです 

鳥取県・智頭町町長 

人口7千人 2010年に加盟 山林が93%  
森林資源で裕福な村だったが 今は山に入る人も減り そのため山に光が入らず下草が枯れて 熊や鹿が餌を求めて人里に現れるようになったと 「循環」を話してくださいました
 

沖縄県・多良間村村長


人口1100人 2010年に加盟 石垣島と宮古島の間の小さな島です
サトウキビ(日本一の黒糖を作る)等や畜産も盛んで 人間よりも牛が多くサルデーニャみたいですね
3日間踊るという「8月踊り(豊年祭)」は重要無形文化財で 400年続いています
星の島として世界一素晴らしい星空を誇るこの村ではなんと 南十字星が見えるのだそうです!!(12月半ば~6月半ば) その写真も見せていただきました 
昔から 金星が見えるうちは畑仕事をする等 星と関わる生活をしてきたそうです

← 沖縄県 多良間村の発表

 
最後は 総評・まとめとして 連合の清水愼一理事(大正大学地域構想研究所教授)がお話くださいました

「旅」とは 他人の囲炉裏にあたりそこの主人の話を聞く 他人の日であり 「観光」は光を観る その地域の人の暮らしぶりを見ることですね

バブル期と同じような 今のインバウンドのバスツーリズムに警笛を鳴らし (カジノのIR計画などの) 本来の意味に戻る必要があること そして 生き生きと輝く地元の暮らしを尊重しながら交流するための大きな手段が旅であり 持続可能な暮らしにつなげることが この「美しい村」の大きなミッションであること 
また DMO(Destination Management Organization)は 稼ぐというのではなく 地元の誇りや その地域にしかないものの価値の発信をしてゆくものであることを力説してくださいました 

宇宙の音を聞けるとは思いもよりませんでした 貴重なフォーラムを開催してくださいました「日本の美しい村連合」様に 心よりお礼申し上げます

セミナーは こちら

昨年のリポートは こちら ちなみに昨年のテーマは「アルベルゴ・ディフーゾ」でした!!


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