日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

第23回いたばし国際絵本翻訳大賞受賞作品「こどもってね...」本の紹介セミナーに行ってきました(2018.4.13)@イタリアブックフェア2018

2018年04月26日 | イタリアの本・絵本・雑誌
第23回いたばし国際絵本翻訳大賞受賞作品「こどもってね...」本の紹介セミナーに行ってきました(2018.4.13)@イタリアブックフェア2018


このセミナーを聞いてから この絵本のタイトル「こどもってね...」は もしかしたら 大人がこどもに ではなく こどもが大人に「こどもってね...」とささやきかけているのではないか とふと思いました

この絵本の翻訳者である宮川絵理子先生は 外国語大学卒業後シエナに6年間留学され その留学期間中に初めてこの絵本翻訳大賞にチャレンジされ 絵本の翻訳はまったく初めてにもかかわらず 見事翻訳大賞を受賞されたという まさにシンデレラ・ガールです

この絵本"Che cos'è un bambino?"は10か国語に翻訳されたそうで 内容はイタリアらしいというよりも より普遍的な こどもって?という問いかけです

まずは 表紙が可愛い 手に取ってみたくなるような絵であること その一方で中のイラストは力強い個性的なタッチの絵で ポエムと画集をドッキングさせたようなものだというのが第一印象とのこと

大人がこどもについて知るような本だと思ったが これをこども自身が読んだ時にどう思うかが不安だったとのことですが その不安も 出版後の反響で消えたとのこと それはきじとら出版のある広島の8つの幼稚園・保育園を卒園する多くのこどもたちに この絵本が卒園記念として贈られ その音読発表会が行われた様子を知ったことでした 

こどもの時は 大人は別の存在のように見えて 自分がいつか大人になるなんていう実感はわかなかったし 大人たちにも昔はこどもだった時があったなんて こどもには思いもよらなかったものです...  

この絵本はすべて三人称で訳してあります 原文も淡々としたシンプルな言葉でした すんなり入ってくる感じでこの絵本とは相性がよかったとのこと

そしてお好きなページを日本語とイタリア語で音読してくださいました 大人って泣かないんだよ もし泣いていたのを見ても 見なかったふりをしてあげる というシーンと ちいさなこどもは実は大きな世界で生きている というシーンです

これは実は 大人になってみて 広い世界のどこにでも行けるようになったけれど 実は世界は狭かったんだと感じることでもあり こどもの頃は行動範囲はとても狭い反面 世界はとっても大きくて 小さな校庭であっても とっても広く感じていたこと それは自分の存在が大きくなったからではなくて 子ども時代にしかできない向き合い方だということです  
これは実は ご自身がシエナでベビーシッターをされた経験で偶然実感したことなのだと 子どもと一緒に小さな公園で遊んでいた時に ふと この小さな公園がとっても大きく見えたと そう つまり子どもの目にシンクロして世界を見る体験をされたのだそうです 

それは家で辞書とパソコンに向き合ってばかりいるだけでは決して見えてこない 実体験から得たヒントであり どんな経験も生かせるのが翻訳という作業だとのことで 逆に自分の言葉でないものは使えないのですね そしてもし将来子どもを持ったら また別な訳し方もできるのではないかなとのことでした 


質疑に入り このタイトル「こどもってね...」はどうやってつけたかについては 最初は原文通り また英語・仏語版でも原文通りであったこともあり 「こどもってなあに?」としたのですが 出版にあたりアドバイスを受けたとのこと たしかに語りかける感じでいいですよね♡ 

絵本のタイトルって 毎年の大賞作品を見ているのですが 原文をアレンジしていろんなバラエティに富んでいて どうやってつけるのか知りたかったのです (大阪弁のタイトルがつけられていた時はたまげました!)

そして 原文をどこまでぼかしてよいのかについては 「イタリア語の文章から受けた全体的な印象を そのまま伝えるような日本語にした」とのこと 一語一語こだわるよりは 雰囲気を変えないように言葉を選んでいったそうです 

そして イタリア語と同じスピード 同じ長さで読めるように 1ページごとにタイムを計って イタリア語でも音読してみたそうです
あぁこれは映画の字幕でもそうですよね...長すぎてはフレームに入りませんから大変なんですよね~

また 子どもが読むことを意識したかについては 子どもっぽい言葉(語尾など)で話しかけすぎないように気を配り 実際に読み聞かせもしたとのこと (やはり絵本ですので読み聞かせできるかどうか確かめるのは大切ですね)

苦しんだ箇所は?については 自分なら違うように思うだろうと感じたシーンが咀嚼不良になったとのことで イタリア語文の理解力はやはりさすがですね(*´▽`*)

他の年に受賞された若い方のインタビューでも 実はある個所の訳し方に苦しんでいたが 甥っ子の卒園式に出て受けた印象がヒントとなってうまく訳すことができて それが翻訳大賞受賞のポイントとなったというエピソードを伺ったことがありました

なので 家で辞書とパソコンとにらめっこばかりしていないで こどもと接してゆく中で こどもの目とシンクロできる体験が こどもの気持ちを伝える絵本の翻訳にはとっても重要なのではないかなと思ったのでした...

← きじとら出版のチラシ

とてもいいお話を聞かせていだたきました これで通算4回 イタリアブックフェアに通いつめ スタッフの方たちにもとうとう顔を覚えていただきました(笑) 

またこの日は 私が長年絵本の翻訳ボランティアを勤めている 地元のいたばしボローニャ子ども絵本館の方にもお会いできて 私の好きな場所がひとつにつながって幸せでした♡ 

さらに2階の語学コーナーでは イタリア人の先生ともばったりお会いできて ここに来ると知り合いに会わないことはまずなく 10年通いつめて 一度は留学フェアのブース担当という大変貴重な体験もさせていただき ここに来られなくなる日がやがてもし来たら どんなにか寂しいだろうなぁ...とふと感じてしまいました 

絵本は こちら

本の紹介セミナーは こちら


イタリアブックフェア2018
は こちら


ちなみにこの春から 昨年夏のいたばしボローニャ絵本原画展「フュージョン絵本の制作過程」という講演会を開かれた ガブリエーレ・レバレリアーティ講師による「イタリアの絵本を楽しみましょう!」(中級)というコースが新設されています ここのパンフレットをめくると 新しいコースが色々出ていて注目です!!

* 翻訳大賞のスケジュール(8月に課題絵本発表)や 翻訳講座のお知らせ等は いたばしボローニャ子ども絵本館のHPをご覧ください また タイムリーなお知らせをご希望の方は Facebookをやってらっしゃる方は 絵本館のFacebookをフォローするか いいね!ボタンを押しておくと 逐一表示されて便利です♪ 


イタリア語ランキング

にほんブログ村 外国語ブログ イタリア語へにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする