日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

講演会「珊瑚 その歴史と、トッレ・デル・グレコと日本の交易」リポート(2015.9.22)@イタリア文化会館

2015年10月08日 | イタリア製品
講演会「珊瑚 その歴史と、トッレ・デル・グレコと日本の交易」に行ってきました(2015.9.22)@イタリア文化会館



まず このトッレ・デル・グレコの街はほんとにナポリからすぐ近くのところにあり 昨年ナポリに行った時に知っていればなぁと思いました 

ホワイエにはこの街の紅珊瑚の素晴らしいジュエリーの展示(写真参照) そして古い時代の写真が飾られておりました その写真にまつわるとても興味深い質問があり 不思議な縁でこの場に集まった方々の出会いの場に自分も居合わせることができて感激です

会場には館長 イタリア大使ご夫妻に 珊瑚製品を扱う会社アントニーノ・デ・シモーネ社(1839年設立)オーナー兼社長の本日の講演者 ジョイア・デ・シモーネ(Gioia De Simone)氏(若くして美貌の社長で この日も赤珊瑚のネックレスをつけて登場されました)と関連の方々が また会場にもこの日は珊瑚と縁の深い方々が詰めかけていらっしゃいました そのため質疑応答が非常に奥深く興味深いものでした


トッレ・デル・グレコの街について 講演に先立ち下調べをとカメオについて調べたWikipediaには 「現在のシェルカメオは、南イタリアのナポリ近郊の港町、トーレ・デル・グレコで製作されており、多くのカメオ彫刻家がそれぞれの特性などを生かし、現代アートカメオを製作している。」とありました

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講演会「珊瑚 その歴史と、トッレ・デル・グレコと日本の交易

講演では、珊瑚の神話上の起源からアート作品の素材としての使用、さらに一大産業となった今日の発展までを論じ、その歴史を辿りました
また珊瑚のアジアへの普及や、ナポリ湾に面した町で珊瑚産業の中心地トッレ・デル・グレコと日本との交易関係についても考察しました

まず 珊瑚とは何か 石のように硬いが鉱物(minerale)ではない 木のように枝別れしているが野菜ではない 血のように赤い 珊瑚は動物なのか? また神話(mite)について ギリシャ神話のメドゥーサの頭をペルセウスが切り落とし海に落ちて 海草(alghe marine)が赤く染まって 珊瑚となった(pietrificare 石化させる、石に変える)というエピソードが紹介されました

Sciaccaというシチリアの街で 遠浅の沖で海にくっついているサンゴ礁が 地殻変動等で岩から剥がれ落ちてゆくという場所についても伺いました
1880年にたくさんの船がこのSciaccaに集まり沢山の珊瑚を採ったため 価格破壊が起きたことが今でも語り草とのこと 

そして日本で珊瑚を獲ろうと神戸に移り住んでコロニーができたそうです
日本の珊瑚は大きくて彫りやすいため 細かい細工がしやすくハイジュエリーに向いているとのこと

ちなみに 珊瑚については 浅瀬のサンゴ礁ではなく 深い海で採れる宝石珊瑚を扱っているとのこと
イタリアの紅珊瑚は250メートルくらいの深い海で採れますが 太平洋等ではもっと千メートルくらい深い海で採れるとのこと 

チベット インド ネパール モンゴル(馬具など トルコ石との組み合わせ) ヒマラヤ (血の色は神秘性を表す) 中央アジア(ウズべク族の理想女性は「珊瑚のような唇」という) イエメン(香辛料のルートで珊瑚が運ばれる) 北アフリカ(七宝と合わせたアンクレットという足首飾り) ナイジェリア(ステータスシンボル 石油ブームの時に大きなアクセサリーが好まれた) 等の国々での特色が写真と共に紹介されました


さてそして持続可能な使用(uso sostenibile)のテーマについては イタリア珊瑚カメオ生産者協会(Assocoral)という5千人の組織があり (講演者はそこの副会長) 1993年からは引き網漁を禁じ スキューバダイビングで大きなもののみ採るようにしているとのこと 

またFAOでも 浅瀬での漁を禁じ 50メートルより深い海で採り 記録や報告も義務づけられているそうです 
2010年に発行された記念切手も紹介されました 


質疑応答では4名の方がそれぞれ興味深い質問をされ 珊瑚の今後の需要と供給について それぞれの国の課題が 7,8割が輸出というこの会社の見通しという形で伝えられました 

日本では再び珊瑚ブームが訪れているそうですが 日本とイタリアの珊瑚の交易の歴史がそれを裏打ちしているようで 講演が終わって再び珊瑚のジュエリーコレクションを見た時はまた違った印象を受けました 

開催のお知らせは こちら

このAssocoralのビデオ(街の紹介、珊瑚やカメオの製造工程、職業訓練校の様子など)は こちら

素晴らしい講演会を開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます



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