2007年の10月に『心の哲学への誘い』(萌書房、1900円)を出版した。
心の哲学への入門書であるが、分析哲学系の心の哲学に偏ることなく、科学と対話する普遍的な心の哲学への導入を目指した。
生命や自然についての考察、精神医学と心身医学への目配りに特徴がある。
目次は次の通り。
第1章 心の哲学とは何か
第2章 心身問題とは何か
第3章 臨床医学への応用
第4章 「私」とは何か-意識と自我
第5章 クオリアとは何か
第6章 「いのち」の本性-自然と生命
第7章 自由意志と身体性
第8章 脳と心
これで四六版、180ページである。
第4章ではネーゲルの問い「コウモリであるとはどのようなことか」が疑似問題であることを指摘している。
第8章では脳の神経システムを調べることはコンピュータのハードウエアの仕組みを調べることに似ており、「心」そのものを知ることにはつながらないことを指摘した。
とにかく、全体に読みやすく、優れた入門書となっている。
奈良の畿央大学の2010年度の国語の入試問題に出典引用された。
また、大阪府立大学の学生推薦図書になっている。
「心とは何か。私って何。というのは誰もが一度は考える難問である。この本にはその問いに答えるためのヒントが書いてあるように思われます。創発とクオリアという概念が興味深いですよ」という推薦内容である。
この本から大学入試や予備校の模擬試験で出典引用されるようになった。
引用がなく、自分の文章でほとんど構成し、論理が明晰で、構成がすぐれており、とにかく文章が国語としてすばらしいかららしい。
・付記 この本は2015年夏の代々木ゼミナールの九州大学プレの国語の問題に出典引用されることが決まりました。