どこ吹く風

旅のことを主に書く。

Engadin Diavorezza

2005年08月05日 17時02分57秒 | 旅-スイス
 Bernina Diavorezza駅は無人駅で、プラットフォームは50メートルほどコンクリートが敷かれただけ。上りと下りの線路の間も1メートル余りコンクリート敷かれて乗客の乗り降りにここも使う。駅前はだだっ広い駐車場で車が2,3台停まっている。道向こうの放牧地は小川が流れてカウベルを吊るした牛が移動している。

後の草地には牛が寝そべっている。岩や石交じりの牧場でこの地は山に抱かれているが谷あいではなく台地風である。駅から少し上ったところにロープウェイ乗り場がある。ロープウェイは100人もの人が乗れるのではないかと思われるほど広い。しかしオフシーズンなのか人では少ない。

 いよいよDiavorezzaに着く。目の前にベルニナ三山 PitzPaluピッツパリュ、PitzBerninaピッツベルニナ、PitzRosegピッツロゼックが目の前に聳え立っている。眼下には氷河が流れている。氷河が波紋を刻みながら動いている姿は流れるという表現が相応しい。その動きがゆっくりで見た目には感じられなくても、氷河は流れている事を実感させてくれた。

 Didavorezzaのベルニナ山郡は他の地域の山々と違い近い。歩いて降りられそうな氷河から山頂まで氷河や雪に覆われて目の前に聳えている。じつに圧巻だ。直射日光は厳しいが気温は低く空気は澄み切っているので、目映いばかりの光景である。

 翌日日の出前に目の前にあるMuntPers(3207m)の頂上を目指した。登り1時間15分、下り1時間足らずの山行だった。朝の冷たい空気の中、気温はおそらく5℃前後。明るくなっているが朝日は未だ上ってこない。目の前南の方はベルニナ三山の雪を頂いた峰々が立ちはだかっている。北側ははるか遠くまで山なみが幾重にも重なってオーストリア国境になっているのだろう。聞くところによるとハイジの故郷もあの方向らしい。

目指す山は岩山だが雪渓がところどころ残っている。土が殆んど無いのでコケのような植物しか生えていない。稀に岩陰にひっそり身を寄せて咲いているツガザクラのような花もある。雪を踏むキシキシッという音が心地よい。

暫らく歩いているとハラが目覚めたのか便意をもよおしてきた。吹きっ晒しの場所ばかりで身を隠す事は出来ない。それでも同行の先輩・妻を先にやり、適当な所を物色する。岩の塊りのそばに平たい小さな岩が重なって、窪んだ所を見つけた。和式で坐るといかにも・・・というように見えるので、石を取り除き坐り心地の良さそうな石を積んで簡易洋式トイレを作った。

氷河とベルニナを見ながらキジウチを快適に済ますことが出来た。後始末もチャントした。ただあのような高地では分解も遅いだろう、乾燥しているので悪臭はすぐ飛んでしまうだろうが来年まで分解しそうも無い、どうにか付近の植物の養分になるように祈るだけです。

近くの山に比べれば低いが3千メートルを越す頂上から朝日が昇る様は素晴らしかった。遠くの山が光りその光りがベルニナ山群の雪を染めていく、周囲をぐる~っと見回してピークから見る景色を堪能してホテルに戻り朝食をとった。
 ピークを極めることはそれなりの満足感をもたらす行為だ。まんぞく~!。

写真は、PitzBernina(4049m)朝日に映えるベルニナ
     MuntPers(3207m)の頂上から写す。