どこ吹く風

旅のことを主に書く。

カバンを持った女

2011年09月28日 10時44分01秒 |  チェルヴィーノ
 カバンを持った女というより旧式のトランクに腰掛けた女というほうが正確だ。鍔広の帽子を被り汽車が来るのを待っているように感じられた。アンデルマットからサンモリッツへ向かう汽車が駅から動き出した時にプラットフォームに坐っているのを見たのである。ガイドブックからこの駅がトゥージス(Thusis)であることを知り、帰りのチェルマットに向かう氷河急行では見逃すまいと必死になって探した。

 あの時から何回かトゥージス駅を通過した、その度に写真に収めようと列車内をウロウロした。スイスの汽車は停車時間がよく分からないしアナウンスも無いので降りるのが躊躇われる。今年(2011年)はスイスも車で廻ることにしたのでトゥージス駅を寄って彼女とご対面することにした。トゥージス駅に行くのだからランドヴァッサー橋まで足を伸ばすのは当然である。去年もランドヴァッサー橋を橋脚の基部から仰ぎ見た、そのときチェルマット発の氷河急行が渡っていくので慌ててカメラを向けた覚えがある。まずはランドヴァッサー橋へ行くことにする。

 ランドヴァッサー橋を見るには車なら橋まで徒歩10分ほどの場所まで行けるけど、汽車の旅ならフィリスール(Filsur)駅で下車し30分ほど歩かねばならない。橋を見る場所として3か所ある。駅から10数分で行ける展望台が一番近いけど木の間越しにしか見えないので迫力に欠ける点は否めない。線路よりも高い位置にあるので写真を撮る位置を探せば面白いものが撮れるのかも・・・
 駅から道なりに大通りを下って行くと橋の脇に駐車場があり川沿いに行くと橋に出る。そこは橋の真下なのでそれなりに迫力がある。1時間に4・5本の汽車が通るので暫く待っているとランドヴァッサー橋と汽車のセット写真が撮れる。ただ真下過ぎるきらいはある。駐車場付近から谷の奥を見ると橋が見える場所があります。

 もう一か所は駐車場から橋へ行く途中に林を上る道がある、そこを上っていくと線路わきに出られると思う。観光ポスターにある構図の写真が撮れるのではなかろうか。私は未だそこには行っていません、この次はトンネルから出てくる汽車を撮る楽しみを残してあります。
フィリスール駅でランドヴァッサー橋の展望場所案内図が貰えます。スーツケースは売店で預かってもらえました。お礼にビールを買って飲みました。
 
 フィリスール(Filsur)でのランドヴァッサー橋の次はトゥージス(Thusis)駅です。プラットフォームには例のトランクに腰掛けた女がいます。駐車場から女がトランクに坐っているのが見えた。プラットフォームに出るため駅の正面に行くと入り口には別のブロンズ像が立っている。別の像があるとは思いもしなかった。

 女性の像は考えていたより大きく等身大より一回り大きいと思われた。うつむき加減に坐り静かに汽車を待っている様子である。スーツケースは2個で大きなバッグと傘それに衣服がスーツケースに置かれていた。旅というより学校の寄宿舎へ行くか、当分帰れない仕事で出かける様子である。身に着けている衣服に派手さは無い、生活を感じさせる格好である。
2005年初めてのスイス旅行のとき以来だから6年ぶりに傍に近づくことができた。この間私が興味を持っていたことを知っていただろうか。彼女は何処へ行くのか、この次私がスイスへ行くまで座り続けていて欲しい。

 みなさん、ランドヴァッサー橋が近づいたら彼女のことも思い出してほしい。一人ホームに坐っています。
トゥージス(Thusis)駅です。

写真がアップできないのがザンネンです。(以前とやり方が違ってから写真をアップすることができなくなっています。)


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