いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

補助金の構造力学。 structural dynamics of a subsidy

2023-01-14 20:21:00 | 日記
 (1)政治は結果責任なので、とにかくいい結果を出さなければならない宿命を背負う。そのためには実態把握よりは結果主義でとにかくいい方向に物事を進めることが第一で、手法、方法論は顧みない。とくに混乱、緊急対応となるとなおさらだ。

 (2)コロナ感染拡大でコロナ患者の入院病床不足が緊急課題だったことに、政府は入院病床の確保を目的として都道府県に交付金を出し都道府県が医療機関を補助する事業で、1医療機関の平均収支額が19年度約4億円の赤字が補助金を受けた21年度は約7億円の黒字となったことが会計検査院の調査でわかった。

 (3)もはや補助金ではなく、経営立て直し金の実態だった。この構図は世界的な石油高騰によるガソリン価格の値上げに対して、企業の価格決定構造の問題をそのままにして石油元売りに補助金を出してGSのガソリン価格を抑えようとした政府の対策の補助金構造とそっくりで、やはり問題、課題を残した。

 (4)石油元売りへの補助金では、元売り企業の不足した経営資金に充てられてGSのガソリン価格抑制に転嫁しない事例(検査院調査)もあり、今回コロナの医療機関の入院病床の確保でも補助金を受けながら病床利用率が50%を下回っていた事例、入院させることができなかった病床に対しても補助金が支給されていた事例があり、ドサクサ、ゴタゴタ、混乱の中での不適切な補助金の支払い実態があきらかになっている。

 (5)コロナ入院病床の確保も石油元売りのGSガソリン価格抑制も経営価格決定構造、企業運営構造の実態を把握しないままで緊急事態に合わせて何にでも補助金を出すという政府の取り組みの甘さ、不備が原因だ。
 原資は国民投資(税負担)であり、補助金ではなくまるで企業への投資、立て直し金という実態では負担する国民としては理解、納得できない。

 (6)コロナ患者の入院病床確保では、昨年後半の感染小休止時に政府は各医療機関に事前に必要な入院病床確保を要請する対策に出たが、そういう対策、準備をしてからの補助金対策が必要だった。
 実態は補助金ではなく経営立て直し金では不当な利潤効果も生んで、国家予算の公平、公正、平等な使途方法とはいえない。

 (7)岸田首相は突然の防衛費増額の予算を増税と決めて、4月発足のこども家庭庁政策でも財源問題として消費税増税が取り沙汰されており、政策実施への準備、計画性もなく手っ取り早い増税で補助金をまかなうという短絡性がみえる。


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