旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

亥年は政変の年 其の壱拾四

2007-06-23 22:14:44 | 政治
2007年6月16日夜、湖北省十堰市警察は山西省違法レンガ工場事件の指名手配犯・衡庭漢(ホン・ティンハン)と妻・楊小蘭(ヤン・シャオラン)を逮捕した。……山西省の多くのレンガ工場で、誘拐された子供やだまされて連れてこられた出稼ぎ農民らが奴隷並みの待遇で働かされているという。中国政府はこの事態を深刻に受け止め、徹底的に調査するように指示を出した。

■こういう話は大昔から多いようです。ちょっと事情が違う日本との関係で、劣悪な場所で働かされた!と日本まで出掛けて来て訴える老人も居るのですが、戦争という非常時でもないのに、こういう犯罪が横行する国だという事は覚えておいた方が良いでしょうなあ。戦時中の「罪」を認めて謝罪する日本人の心根は美しいのですが、針小棒大の極端な表現に無条件で乗るのは如何なものか?とも思います。本当の「男尊女卑」や「生命軽視」とはどんなものなのか、日本の河野議長あたりにも、しっかり勉強して貰わないと、日本外交はいつまでもカモのままでしょう。


衡は山西省洪洞県で違法レンガ工場を経営、32人の出稼ぎ農民を劣悪な待遇で働かせていた。1日の労働時間は15~16時間にものぼったという。工場には「打手」と呼ばれる用心棒と大型犬が見張りについており、逃げたり仕事をさぼったりしないように監視していた。2006年11月には、知的障害者のある出稼ぎ農民を用心棒が殴り殺す事件が発生した。しかし特に問題にもせず、遺体を工場付近に埋葬してしまったという。この殺人を犯した用心棒もかつては奴隷として働かされていた出稼ぎ農民、その後用心棒へと“昇格”したという
6月18日 Record China

■こんなニュースが日本で流れたら、連日、ワイドショーの元役者さん達が押し掛けて、あることないこと「再現」して視聴者の怒りと涙を誘うでしょうなあ。「万人坑」などという日本語には無い恐ろしい犯罪行為が有った、という証言が出て来たり、それに乗って大騒ぎする日本人が居て、でも、いくら探してもそんな物が出て来ないというという奇怪な話も有ります。現実に、戦時でもなければ過酷な植民地支配を受けている時代でもないの、このような悲惨な奴隷労働者が存在する人民社会主義を標榜する国と言うのは、何とも無気味です。虐げられた人々が、自棄を起こして反乱を起こすのも、チャイナの歴史の中で繰り返された事実です。宗教的・民族的・経済的に加えて環境汚染や凶悪犯罪の被害などが混ぜ合わされて、絶望に狂う集団を統率するたった一人の「英雄」が出現したら、トンデモないことに発展するのがチャイナの歴史ですから、オリンピック開催まで、上手にガス抜きを続けられるかどうか、注意深く見て行かねばなりませんなあ。どうやら「環境問題」を上手に煙幕に使って人権問題を隠蔽しようとしている節も有りますから……。

■国会の会期延長が決定した週末、日本はいよいよ選挙モードに入ったようですが、自民党の惨敗は間違いのない流れなのに、決して民主党が圧勝するという見通しもまったく有りません。安倍総理は「負けても辞めなくて良い」という空気があちこちから湧き出しているのに、民主党の方は、小沢さんが「負けたら辞める」という話の方が妙に現実味のある背水の陣というのも変な話です。まあ、元々、どうして野党第一党の代表が小沢さんなんだ?と立ち止まって考えると、「政権交代」と「派閥交代」と、どう違うのかがさっぱり分からなくなる政界です。政党を作っては壊し、壊しては何故かまた作り、自分が総理になりたいわけでもなく、キングメーカーの「闇将軍」になりたいわけでもなさそうな小沢さんは、自民党に対する怨念だけで動いているようにも見えます。彼が言っている「政権交代」は「自民党改革」に限りなく近いようにも思えますから、その下に集まっている有象無象は何を考えているのやら……。


7月の参院選を前に、読売新聞社が全国のインターネット利用者1000人を対象に実施した「参院選ネットモニター」の第1回調査結果が22日、まとまった。最も「好感」を抱く政党は、民主党が31%と最も多く、自民党の26%を上回った。小泉前首相が「郵政解散」に踏み切った2005年衆院選公示前の調査と比べると、自民党は24ポイント減少、民主党は11ポイント増加した。次いで公明、共産両党が4%、社民、国民新、新党日本の各党が1%。好感政党が「特になし」は32%だった。……
6月22日 読売新聞

■瞬間風速みたいなものでしょうが、今、投票すれば勢いで民主党が地滑り的勝利を収める可能性が高いのは確かです。でも、このアンケート調査が問うたのは「好感」ですから、政策の中身をじっくりと比較しての選択では無さそうです。公明党と同じ高感度を得たのが共産党というのは面白い!まだ二大政党時代になっていないのですから、選挙民は自民党か民主党か?の選択肢を突きつけられている訳では有りません。少しはあの「郵政解散」選挙の空騒ぎを、有権者はよくよく思い出して考えた方が良いでしょうなあ。あれから、新しく有権者になった若者も居ますし、あれは何だったんだ?と思い始めた人達が増えているという期待も混ぜると、なかなか面白い票の動きが見られるかも知れませんぞ。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事