米政府は、イランなどからの攻撃を想定し、ポーランドに迎撃ミサイル、チェコにレーダーの配備を計画している。これに対してロシア側は強く反発しており、プーチン大統領は先週、米国が計画を進めるなら、ロシアは欧州にミサイルの照準を合わせる、との姿勢を表明していた。ブッシュ大統領は、記者団に「プーチン大統領は興味深い提案を行った」と述べるにとどめ、既存レーダー活用案には直接は触れなかった。
6月8日 ロイター
■何だか日本の国会答弁みたいな意味不明の反応ですが、少なくとも米国は対イラン攻撃に関してはロシアの協力は求めないという事です。アフガニスタン攻撃では中央アジアの軍基地を借りているのですから、プーチン提案を蹴ったブッシュ大統領は、イランを攻撃する場合はペルシア湾とイラク領内からの進撃を予定していると白状したようなものです。
ロシアの軍事シンクタンク「政治・軍事分析研究所」のフラムチーヒン研究員は9日までに時事通信とのインタビューに応じ、米ミサイル防衛(MD)配備問題でプーチン・ロシア大統領がアゼルバイジャンのロシア軍レーダー基地の共同利用を提案したことについて、同基地の情報を迎撃ミサイルの誘導に使うのは技術上困難で、対立解消の決め手にはならないとの見方を示した。
6月9日 時事通信
■素人には理解不能の「技術上困難」という理由を出されると、反論のしようが有りませんし、どんな質問をしようとも「軍事機密」の一言で回答は拒否されてしまいますから、困りますなあ。まあ、素直に「ロシア製のレーダーはボロだから使えない」という意味にとっておきましょうか……。
…ハイリゲンダム・サミットに出席中の安倍晋三首相は7日夕(日本時間8日未明)、ロシアのプーチン大統領と個別に会談し、北方領土問題の解決に向けて「精力的に交渉を続ける」との方針で一致した。両首脳の会談は、昨年11月以来で2回目。安倍首相は会談で、「領土問題を先送りしたり、棚上げしたりしないで、最終的に解決しなければならない。交渉を促進しよう」と述べた。これに対し、大統領は「日露両国間の障害となるものをすべて取り除きたい。平和条約交渉のプロセスを停滞させず、促進させるよう改めて指示を出したい」と応じた。
■父の晋太郎外相が良いところまで進めていたロシアとの総合的な領土交渉は、妙な人気を博していた田中真紀子元外相によってメチャクチャにされてしまったので、マイナス地点から再開しなければなりません。北朝鮮の金正男取り逃がしと言い、ロシア交渉の破壊と言い、真紀子外相の破壊力は凄まじいものがありましたが、御本人はまったく反省をしていないようです。役人イジメと外交破壊は別問題なのですが、面倒な話が大嫌いな真紀子ファンの目には同じものに映っていたようですなあ。
また、両首脳は政治対話をさらに深めるため、9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に首脳会談……、今年秋までにナルイシキン副首相、年内にラブロフ外相が訪日することで合意した。……ロシアの極東・東シベリア地域の安定的な発展に協力するため、エネルギーや運輸、情報通信、環境などの分野で政府・民間の協力を進めるための「日露間協力強化に関するイニシアチブ」を提案。大統領は「非常に魅力的で建設的な提案だ。専門家レベルで具体化させるべく関係当局に指示を出したい」と理解を示した。
6月9日 産経新聞
■樺太の原油と天然ガス開発でエグい事をして見せたロシアですから、あまり前のめりになるのは考え物ですが、いろいろと協力してもらう用事も多いので、上手に付き合って欲しいものです。でも、安倍首相の任期と人気が心配ですなあ。相手は法律を超える強権を振り回せる立ち場なのですが……。
ハイリゲンダム・サミット直前まで米欧への挑発的な発言を繰り返したプーチン露大統領は、サミット入りするとそれまでの強面を一変させた。7日の米露首脳会談に先立つ全体会合ではにこやかな表情で議長のメルケル独首相やサルコジ仏大統領らと会談、米露首脳会談でも、余裕の表情をのぞかせた。……ロシアの民主化後退や、米国が東欧への配備を計画するミサイル防衛(MD)システムをめぐり、両国関係が冷戦後最悪の状態といえる中で開かれた。
■本番の幕が開く前には強面(こわもて)で、そして佐々木小次郎を待たせた宮本武蔵みたいに遅れて到着、物騒な発言で胆を潰して待ち構える参加者を安心させるように振舞う。これくらいのパフォーマンスを仕掛けておけば、何処かの首相みたいに地元新聞に顔写真を間違えられたりはしませんし、肝腎の「環境問題」に関して無責任な態度を貫いても、「核戦争よりはましだ」と皆に思わせてしまえますなあ。