旅限無(りょげむ)

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亥年は政変の年 其の壱拾六

2007-06-24 00:24:17 | 政治
自民党は23日、夏の参院比例選に、「ヤンキー先生」で知られる義家弘介・教育再生会議担当室長(36)を擁立する方針を固めた。25日の選対小委員会で正式決定する。義家氏は23日午前、広島市内で開かれた中川自民党幹事長の会合に出席し、参院選に自民党から出馬する意向を表明した。
6月23日 読売新聞

■既に空中分解してしまった教育再生会議ですから、マスコミ受けを狙って据えられた座長の役も暇になるので、議員になるのでしょうか?どこかの学校の教壇に立つという選択は、この人には無いようです。元々「ヤンキー先生」というのは、「ヤンキー」という過去と「先生」という現在とを結び付けた造語です。「元ヤクザの絵描き」とか、「安藤組組長の映画俳優」とか、「元暴走族総長のタレント」などと同列に扱われる人なのかと思っていたら、「夜回り先生」よりも偉くなってしまいましたなあ。教育再生会議の座長や神奈川県の教育委員に抜擢した人は「先生」の方を評価しているのでしょうが、マスコミの扱い方はどうしても「ヤンキー」の方に偏ります。

■関西弁が語源と言われる「ヤンキー」が、どうして北海道の高校に流用されるのかが分かりませんが、どうせ出版業界とマスコミ業界が結託した乱暴な宣伝材料として作られたのでしょうなあ。でも、再生会議を中途半端に放り出して出馬するのは、下手をすると元教師という身分が、プロレスラーや漫才師と同じ扱いを受ける事になるかも知れません。どうして本職で活躍し続けられないのか?この疑問に正面から答えられない限り、最初から総理大臣を諦めた陣笠議員になる気でいるのに、選挙では自分が国政を左右するような大ボラを吹くピエロ役を演じるだけに終わるのですが……。


プロレスラーの大仁田厚自民党参院議員(49)=比例代表、当選1回=は23日午前、東京都千代田区の参院麹町宿舎で会見し、夏の参院選比例代表での党公認を辞退し、立候補しないと発表した。政界引退も表明した。……「参院は首相官邸の人気取りの道具ではない」と述べ、公認辞退の背景に国会会期延長などを巡る安倍晋三首相の政権運営に対する不満があることを明言。「(夏休みに入る)7月29日投票では政治に関心のない若者に訴えが届かない。官邸への異議申し立てだ」と語った。大仁田氏は長崎県出身。全日本プロレスをへて独自の団体を設立し、人気レスラーとなった。01年参院選で初当選。昨年5月に党の第1次公認候補となっていた
6月23日 毎日新聞

■突然の引退声明よりも、「第一次候補」になっていた事の方が驚きですぞ!一体、何をするために議員になったのか、さっぱり分からなかった落ち目レスラーだった大仁田さん。普通の試合では客が来ないとて、玩具とは言え爆弾・地雷・電線などで過剰演出をしていたそうですから、てっきり本場のレバノンやバクダッドに乗り込んで、どうやら本人は意味が分からず叫んでいたらしい「ファイヤー!」を披露して、素直にその声に応じたライフル銃やミサイルが飛んで来るという究極のパフォーマンスをちょっと期待したのですが、同じ「ファイヤー」を愛用していた福沢某アナウンサーは、いつの間にやらこれを封印しているようです。意味がやっと分かったのかも知れませんね。その関連で言うと、突然「辞める」と言い出した大仁田議員とは対照的に、ゴルフ場盗聴未遂事件に怒って職を辞すような事を口走った福沢某アナンサーは、その後も元気にテレビに出演している由……。

■本当に「立法」の能力と行政調査能力の有る議員だけを糾合しなければならない時ですから、「テレビで見た」程度の動機で一票を無駄にしたり、「お世話になっているから」などと談合・収賄の片棒を担ぐような動機での投票も止めて、最も効果的に「政変」が起こる一票を投じるべき時かも知れませんなあ。
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亥年は政変の年 其の壱拾伍

2007-06-24 00:23:25 | 政治
■「責任」という言葉の意味が、この数年で随分と変わりまして、いつの間にかまったく逆の用法が定着している模様です。曰く「この問題をしっかり解決するのが私の責任で……」と、結局、誰も責任を取らない理屈に埋め込まれてしまって、日本中がバレなきゃ大丈夫だぜ!という悪人の理屈にまとわり付いていた後ろめたさが、すっかり拭い去られまして、「バレても大丈夫」という事になっております。今のトレンドは、「法に触れなければ最後まで逃げ切れる」というものです。この暴論を上手に使う連中は、日本の法律が歪(いびつ)な「性善説」によって組み上げられている事と、その穴だらけの法を自在に操っているのが役人と政治家と一部の大企業だという困った仕組みを知悉しております。

■ホリエモンのように、この一味の仲間入りさせて貰えるかと勘違いしてしまうと、最後に放り出されるので、コムスンのコブラ頭や苫小牧の食肉王も、同じ運命を歩みましたなあ。要するに、日本の法体系というのは、扱う人間によってどうとでもなるような代物なのですなあ。まあ、それは欧米も似たようなものだそうですが、日本版の法の穴は度外れているようです。社保庁のように、大穴の蓋が吹き飛ぶと、その後始末など誰にも出来ないのですなあ。


年金記録漏れ問題の原因や責任の究明のため設置された総務省の年金記録問題検証委員会(座長・松尾邦弘前検事総長)が、インターネットやファクスを通じて記録漏れの実態などの情報を提供するよう、国民に呼び掛ける方向で検討していることが22日、分かった。
6月23日 時事通信

■「ウチに蕎麦を注文した人は申し出て下さいね」などと広告を打つ蕎麦屋が日本の何処かに有るでしょうか?蕎麦屋の看板を掲げながら、蕎麦粉も職人も店の中にはまったく備わっていないのに、出前注文を山ほど受け付けて、「引越し」も「大晦日」も「昼時」も過ぎてから、「蕎麦粉も職人も無くて、鍋にも穴が開いていて…」などと大真面目な顔をして、ビラを播いたり「情報提供」を呼び掛けているのだそうです。変な蕎麦やですなあ。どうしても、その場所で営業し続けたいのなら、町中に無料で蕎麦を振舞ってお詫びするしか、世俗の蕎麦屋には生き残る道は有りません!社保庁は気楽なものです。民主党が「自治労に厳罰を」の一言を叫べば、選挙は圧勝なのですが……・


政府は年金記録漏れ問題に関連し、ずさんな年金管理を行っていた社会保険庁について、職員のボーナス(期末・勤勉手当)や給与の一部を削減する検討に入った。首相自身のボーナスなども一部返上する方向で調整している。首相周辺が22日、明らかにした。公務員のボーナスは、6月と12月の年2回支給されており、6月の支給は目前に迫っている。このため、いつの支給分から適用するか、削減対象を社保庁職員のどの範囲まで広げるかなどを政府内で検討している。

■他にやる事も無いので、こんな絵に描いたような「焼け石に水」のパフォーマンス。どうせなら、社保庁長官が「歴史に残る捨て台詞」を残して辞任して、後任は決めず、国会に歴代長官と現役を含めた歴代幹部を呼び付けて、半年でも1年でもNHKの生中継を垂れ流しにして「証人喚問」を続ければ、頭を失った社保庁の組織は文字通りに「馬脚」を表わして各社会保険事務所の窓口は、ほとんどパレスチナのガザ地区かアフガン国境地帯のような状態になって、やっと職員の皆さんも「事の重大性」に気が付く…そのくらいの極端なパフォーマンスをやらないと、収まりは付かないのではないでしょうか?まあ、窓口では市民の中からは器物損壊・暴行・放火・殺人未遂などの逮捕者は出るでしょうし、窓の中からは……。南無阿弥陀仏。アーメン。インシャアッラー……。


首相は22日の読売新聞などのインタビューで、「社会保険庁には親方日の丸的な体質が残っている」などと述べ、社保庁の組織体質が年金記録漏れの温床になったとの認識を改めて示した。ボーナスや給与の返上は、国民の社保庁への批判に対し、一定のけじめをつけさせる狙いがある。
6月23日 読売新聞

■「一定のけじめ」とは何でしょう?社保庁が非合法に保険金に空けた穴の総額と、「一定のけじめ」の総額とを、きっちりと並べて示して頂かないと、「けじめ」の評価が付けられません。勿論、もっと罪深いのは、ふざけた法律を後から作って、「事務費」「福利厚生費」の身内用と、「保険金の運用」名目でぶん播いて消えた金額の方が遥かに莫大だとは分かっていますから、こうした役人のお手盛り法案を可決し続けた歴代与党議員全員に責任が有ります。従って、「議員年金」を丸ごと辞退・返納を求めるべきでしょうなあ。自分達の年金制度を「高級退職金だ」などと嘯(うそぶ)いて談合の上で嵩上げし続け、国民の年金保険料が消え去って行くのを黙認したのですからなあ。


自民党の森喜朗元首相は22日、TBSの番組収録で、参院選で与党が過半数を割った場合の安倍晋三首相の責任について、「仮定でも首相の責任などと言うべきではない。最後まで勝利を信じて頑張ることだ」と述べ、党内の首相責任論にクギを刺した。一方、民主党の渡部恒三最高顧問は、与党を過半数割れに追い込めなければ「小沢一郎(民主党)代表は責任をとって辞める」と指摘した。
6月23日 産経新聞

■片や「鮫の脳みそ」とまで揶揄されて笑っちゃうほど低い支持率に耐え切れずに辞任した元総理と、もう片方は田中角栄さんの「七奉行」の生き残りですから、こういう対照的な表現になるのでしょうなあ。「最後まで勝利を信じて…」と言い出して、勝負に勝った者は居ませんぞ!でも、民主党の方も勝っても負けても分裂は避けられないと思っているのでしょうなあ。手負いの自民党は、アノ社会党委員長の村山さんを総理大臣にしてしまう節操の無い政党ですから、参議院で与野党が逆転でもしたら、何を仕出かすか分かったものではありません。それ以上に、国民を愚弄するような政変劇に、大喜びで参加しそうな議員が民主党内にごろごろしている事の方が問題でしょうなあ。そこに「絶対与党」の公明党と、「絶対野党」の共産党が絡んで来ると、何がどうなるやら、さっぱり分かりません。