goo blog サービス終了のお知らせ 

旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

持ちつ持たれつ 其の壱

2007-10-14 11:24:49 | マスメディア
■亀田一家の騒動は、ボクシング界だけに留まらず、多くの人達にいろいろな事を考えさせる効果をどんどん広げているようです。それにしても、テレビというメディアが持っている、否、持ってしまった影響力の大きさを改めて思います。「話題」「注目」ぐらいなら無視も出来ますが、「流行」という決め台詞を振り回されると、画面に大写しにされる被写体はすべて高度な商品価値を持つ化け物染みた存在になってしまいます。テレビが生み出すのは「流行」と「有名人」で、これが最も怪しく危険な物なのですが、何とも驚くほど多くの人達が従順に心と体を動かしてしまうようですなあ。

■「情報」という逃げ口を見つけたテレビは、だれにでも見分けがつけられる「宣伝枠」を融解させて番組自体を巧みに宣伝媒体に変えてしまったようです。元々、世相を映し出す「流行」がリアル・タイムに報道できるような物ではないはずで、歴史研究者などが情報を集めて分析した後に回想形式で語られる種類の知識なのですが、「今、○○が大流行!」などという物言いは、ナチスのゲッペルスが喝破した「100回繰り返せばウソも本当になる」「大きなウソほど大衆は信じ込む」などの恐ろしい真実をなぞっている姿勢でしょう。

■「情報源」とマスコミ・メディアとの関係は、マスコミが情報源を探し出して追うものでしたが、これが「売り込み」「便乗」「ヤラセ」などの安易な商売根性が混ざりこむと簡単に逆転してしまうようです。マスコミが怠惰に待ちの姿勢になれば、猛烈な売り込み情報を選別する作業の精度を上げる努力が必要になるでしょうし、売り込む側は更にその上を行く騙しのテクニックを磨くでしょう。そこで情報を介した一種の「談合」が生まれる土壌が出来上がるというわけです。メディアが扱い易いように情報源・被写体が加工され演出され、偶然を装ったヤラセもちりばめられて……。偽造としか言いようのない「流行」が膨れ上がって日本中を席捲するようになれば、売り込んだ方も取り上げた方も万々歳!

■スポーツもテレビ業界にとっては有力な商品で、五輪大会ともなれば怪しげな人物が暗躍して莫大な裏金が動き回るのは衆知の事実。呑気な政治家は借金の山を築いても平気の平左ですが、収支の経営責任を負っているテレビ局となれば話は別で、何が何でも黒字に持って行こうと必死に努力するのは当然の事……しかし、先日の世界陸上を取り仕切ったTBSは大失敗をしてしまったと言われていますなあ。世界有数の選手を集めながら、客席はガラガラで噂によると1億円の出演料を得たメイン・キャスターの織田某君だけが大はしゃぎ……。あの段階でTBSはスポーツを醜悪な商売の面を隠し切れずに冒涜してしまったようなものなのですが、陸上でダメでも独占的に玩具にできる亀田一家という掌中の珠が有ったと言う話でしょう。防衛戦を「報道」したアナウンサーと解説者が一致協力して「亀田勝利」へと持ち込む努力を重ねて泥沼状態になって、これが視聴者の怒りを燃え上がらせて番組としては大いに盛り上がったとか……。視聴率至上主義とはこのような恐ろしい物なのですなあ。

■ボクシングに限定しても、法律で重量級の国内試合が認められていない日本では、素人目には迫力のない格闘技にならざるを得ないという厳しい現実が有ります。その種の制限の無いプロレスが熱狂的に好まれた時代があり、それを受け継ぐ無制限に近い何でも有りの総合格闘技が人気を博すのは、見世物商売である以上、破壊力と迫力、もっと露骨に言えば「生命の危険」を見物したいという悪趣味を満足させて需給バランスを取るようになるというわけでしょう。体重50キロ程度の選手が高度な防御技術を磨いて打ち合えば、劇的なノック・アウト場面などは期待できなくなります。そこでボクシングという競技自体にまったく別の新しい商品価値を付け加えて荒稼ぎしようと思うのが人情というもの……。

■亀田人気も、その反動の反亀田感情も、マスメディアによって作られた幻想から生まれて爆発したものでしょう。内藤チャンプが苦労の末に世界タイトルを奪取した事をまったく知らなかった人達が、初防衛戦だけを熱心に観戦するというのは、どう考えても不思議な話でしょう。例の世界陸上大会にしても同じことで、マラソンぐらいしか国民的な人気が出ない陸上で、大儲けを企んでも無理があります。亀田一家のような「物語」を作ろうにも出場する選手が多過ぎましたし、競技自体が単純な上に厳密なルールにガンジガラメになっているのが陸上競技ですから、「記録」に対する期待感だけを煽りに煽って見せるしか営業方法は無いでしょう。その結果が日本人選手にプレッシャーばかりを与えて視聴者にはまったく伝わらない過剰宣伝の空回りとなった次第。

■逆に、亀田騒動はTBSの思惑が図に当たったわけですが、それが予想以上に大きな影響力を生んでしまって亀田一家よりもテレビ局のアザトサばかりが目立ってしまうお粗末な結果になったようです。そもそも、亀田一家の「物語」を象徴していた一家で会場に乗り込み、ぴったりセコンドに着いているシーン自体、これが重大なルール違反だったなどと今頃になって言われても、俄(にわ)かボクシング・ファンは困ってしまいますなあ。


WBC世界フライ級王者・内藤大助(33=宮田)陣営が“亀田史郎氏外し”に乗り出す。内藤と宮田博行会長(40)が、15日に日本ボクシングコミッション(JBC)を訪れ、親族がセコンドに付くことを禁止したルールの徹底を求める要望書を提出することを決めた。将来的な亀田3兄弟の長男・興毅(20=協栄)との防衛戦を見据え、まずはセコンドからの史郎氏の“追放作戦”に打って出る。

■「WBCルール」の内容を放送局がまったく知らなかったなどという事は絶対に有りません。スポーツ担当の職員は徹底的に勉強しているのですから、最初から親子でセコンドに付いている画面には違和感が有ったはずです。「ルール遵守」と視聴率を天秤に掛けたら?答えは馬鹿馬鹿しいほど明らかです。

看板に偽り有り 其の弐

2007-10-02 00:37:49 | マスメディア
■特別にNOVAという企業が悪質だという訳でもなく、テレビ局が突如として発狂してしまった、という事ではありません。テレビは生まれた時から「所詮はテレビ」と言われるのに相応しい道具だったというだけの話です。ずっと前から分かっている事を、「スクープ!」に加工して自分たちの責任を回避して視聴者と一緒に驚いて見せる手法が、いつの間にか磨き上げられていたという事です。

警察庁から「重要指名手配容疑者」に指定され、事務所荒らしを繰り返したとして京都府警などが逮捕した広域窃盗団のリーダー、渡辺孝吉容疑者(38)=大阪府羽曳野市=が、「警備会社との契約を示すシールがある事務所には金があるので狙った」と供述していることが1日、わかった。渡辺容疑者は侵入から逃走までを5分間と定めており、「犯行が短時間なら捕まらない」と豪語。防犯効果を狙ったシールを逆手に取った犯行に、警備会社も困惑している。

■「本音」「正味な話」の大阪人らしい?見も蓋も無いブッチャケ話です。護符や御札が単なる「紙切れや!」と言ってしまったらお仕舞いです。お墓の石やら仏壇・位牌も同じ事です。十字架も『コーラン』も仏教の大蔵経も、全部、金属・石・紙でしかありません。巨人軍の終身名誉監督の長嶋さんが「セコムしてますか?」と日本中に向かって問い掛けたのは、高倉健さんが「簡単じゃねえか」の一言でパソコンの売り上げは倍増させたのと同じ効果を上げたはずです。本気で泥棒に入ろうと思ったら、「猛犬注意!」の表示を見れば睡眠薬入りの高級肉の大きな塊を用意し、「警官立ち寄り」の表示があれば、管轄の警察官の勤務ローテーションを調べてからシゴトに掛かるでしょうなあ。


府警と兵庫県警、警視庁の合同・共同捜査班は今年5月、兵庫県西宮市のマンション駐車場で乗用車(時価約120万円相当)を盗んだとして渡辺容疑者を逮捕した。また、京都や東京、大阪など24都府県で計10億円余の事務所荒らしを繰り返したとしてほかにもメンバー34人を逮捕している。渡辺容疑者はその後の調べに対し、「警備会社と契約している大型スーパーや事務所には金があると思い、危険を冒してでも狙った」と犯行の手口を詳述……犯行時間を5分間までと定め、仲間が時間を計測。盗みの成功・失敗にかかわらず、警察や警備会社社員が現場に到着するまでに現場を離脱し、逃走用車両には馬力がある地元ナンバーのワゴン車を用意するなど周到に計画していた。……防犯警戒中のシールを逆手に取った犯行について、大手警備会社「セコム」(東京都)は「警備システムや警備会社のシールは犯罪抑止効果があるが、絶対ということはない。新しい技術や今以上に現場到着の時間を短縮する努力を継続していきたい」としている。
10月1日 産経新聞

■古い例ですが、「5分間」では弾よりも速く走るエイトマンでも間に合いません。何度も戦乱や盗賊に苦労させられた老舗の個人商店は、いかに貧乏臭い雰囲気を店先に漂わせるかに苦心したとか……。わざわざ余分なカネを使って「○○してます」と広告しているようなシールを見れば、このような悪智慧も生まれるのでしょうなあ。逆に「泥棒歓迎!」ぐらいの貼り紙をして見せれば、気味悪がって泥棒が寄り付かないかも?それよりも表札に「○○警部はウチの親戚だぞ!」などと泥棒業界に知れ渡っている頼りになる警官の名前を貼り出す。でも、そんな凄腕が居なくなって久しい困った地域では有効性が疑われるのですが……。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

看板に偽り有り 其の壱

2007-10-02 00:37:23 | マスメディア
■選挙もジャーナズムも宗教も――何事も是宣伝という時代ですから、今更、何を言っても仕方が無いのは重々承知なのですが……。「今、○○が流行しています」から「これから○○が大流行の兆し」まで、踊る阿呆に見る阿呆と呑気に無関心でいられる間は良いのですが、マスメディアばかりか国家を挙げての宣伝合戦となると、対応するのにも相当のエネルギーが必要になるようです。少なくとも大新聞社の誇りを持っている皆さんは、筆先三寸でアホな国民を戦争へでも革命へでも好き放題に引き摺り回せると思ってしまう悪い癖が有るようで、それが伝染したのが後から生まれたテレビという媒体。特に民放テレビは「宣伝媒体」として独壇場だったので、マスコミ業界でも給与が高い一種の貴族階級にまで舞い上がっているとか……。

■昭和30年代から40年代初頭までは、「所詮はテレビだから……」という切って捨てる決まり文句が家庭でも御近所の茶飲み話でも生きていたそうですが、いつの間にか「テレビで見た!」の一言で人生を賭けたり全財産を失ったりする困った機会を作ってしまうような時代になったようです。まあ、これからは地上デジタルだの何だのと言われても、「難しい事は分からない」というNHK至上主義の世代と「メディアは細分化するから面白い!」という貪欲な世代との分裂が進みますから、「毎度お馴染みの……」などというスタンスで番組を制作している人達は突如として地面が消えて無くなるような体験をするハメに陥る可能性も出て来ましたなあ。

■「農婆」という当て字まで発明してグローバル社会の到来を喧伝した「駅前留学」のNOVAは、最近の外資系保険会社が垂れ流すテレビCMの先駆けとなった存在だったような気がします。少しばかり外国語に通じていたり、外国語に興味を持っている事で業界商売をしているテレビ人を矢継ぎ早に出演させてバブル期のCM業界を席捲したものです。その後は下手ウマの嘴付きウサギのアニメでも人気を博したはずですなあ。


日本人社員や講師らの給与遅配が続いている英会話大手、NOVAで、同社が大阪市内などで借り上げたアパートに住む複数の外国人講師十数人が、家賃の滞納を理由に家主からの退去を求められていることが1日、わかった。借り上げ住宅に住む講師らの家賃は給料から天引きされているが、NOVAから家主への支払いが滞っているとみられる。……大阪市内に住む女性講師2人は先月末、家主から「家賃が支払われていない。出ていってほしい」と促された。2人は来日当初の契約時に、約25万円の給与から数万円を家賃として天引きすることに同意する契約書に署名し、同社が借り上げたアパートに入居。家賃はこれまでNOVAが支払っていたという。……NOVAの担当者はどの住宅で家賃が未払いなのか把握できていなかったといい、「相談があれば、別の住居を速やかに提供するなどすぐに対応したい」と返答したという。
10月1日 産経新聞

■見事な大阪弁を使う宇宙人?が登場して「異文化コミュニケーション」を説教するCMを製作したのもNOVAでしたなあ。古代四大文明の時代から、「ゼニは国境を越える」のは常識ですから、珍しくもない外人さんに会うために高額の入会金やら回数券やらを買って、仕事や体調の都合で元が取れなくなってしまって泣き寝入りするのも、「異文化コミュニケーション」やら「グローバル社会」の実体験かなあ?などと大人しく自己反省する日本人が、しっかりと食い物にされていたのでしょうなあ。苦節10年ではありませんが、日本人被害者があちこちで苦情や訴訟を出しても相手にしてくれない日本の政府やマスコミも、異人さんが騒いだとなったら大騒ぎ?ほとほと、戦争をやるなら絶対に負けては行けない!と再認識する次第です。NOVAの経営状態が悪化すると同時に莫大な費用を必要とするテレビCMが消えて行き、今度は「トンデモない奴らだ!」の魔女狩り騒ぎで商売するようなら、これは本末転倒のフザケた話です。

■若手アナウンサーに「平べったい」今風日本語で原稿を読ませ、文化的な素養がまったく無い事を承知で放送現場に登用するような暴挙を続けながら、中途半端に「英会話が得意」などという意味不明の売り言葉まで添えて、何語であろうとカネを取って読み書きしたり通訳しりするのは大変な事なのに、「英語が得意」などという乱暴な扱いをして「言葉」「日本語」を扱う企業としては失格!という困った会社が増えましたなあ。そんな素人臭い、「親しみ」のある番組を商品として売るのが社是ならば文句はありません。徐々に少年少女から幼児へと視聴者の年齢が下がって行きますから、ややこしい番組を頑張って作っても誰も見てくれなくなって、横並びの番組制作と編成を続ければ、業界揃って奈落の底へ……。きっとそれを知っているからでしょうか、NOVA騒動を積極的に扱う民放テレビや広告を貰っていた新聞社を含めてマスコミの矛先はしっかりと鈍っているようです。

知っているのに知らんふり

2007-09-29 10:26:08 | マスメディア
 ■孔子さまは、「知りて言わざるは不可なり。知らずして言わざれば愚人なり」と仰ったとか……。世間には「知ったかぶり」という迷惑な人もいますが、知っているのに教えてくれないのは意地悪です。人に大切な事を知らせるのが使命であり職業でもある者が、勝手な理屈で情報を隠してしまうのは最悪であります。

6月に時津風部屋の序ノ口力士、斉藤俊さん=当時(17)、時太山、新潟県出身=が急死した問題で、日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は28日、文部科学省の指導に基づいて独自調査を行う考えを示した。過去10年分の現役力士死亡例も検証するという。同理事長はこれまで、独自調査には「食い違いがあってもいけないので、警察に任せるのが一番」として消極的だったが、指導によって姿勢を一変させた。「名古屋場所でも一連の流れは聞いている」とし、結果次第では、愛知県警の判断を待たずに時津風親方(元小結双津竜)らの処分を検討する考えだ。

■理事長自ら、身内で調査したら警察の取調べと「食い違う」ことを前提にしているのですから、相撲協会という組織にはまったく信頼性が無い事が分かります。先日も協会を批判するコメントに頷(うなず)いただけで、取材資格を剥奪するぞ!と脅迫まがいの事をやって見せた理事長でした。相撲関連の記事を書く仕事にしている人達は、そんな組織と理事長を唯一の情報源として「提灯記事」を書いていることになりますなあ。『週刊現代』が仕掛けた八百長追及キャンペーンにしろ、今回のリンチ殺人疑惑にしろ、相撲を専門にしている記者たちがまったく知らないとは思えません。見たり聞いたりした事を、協会との癒着関係を前提にして取捨選択して「国技神話」に仕立て上げているとしたら、それはジャーナリズムではありません。

■それは相撲界ばかりではありません。他の格闘技界であろうと野球界であろうと、しごきやリンチは何処にでもある話なのではないでしょうか?爽やかな青春群像として扱われる高校野球でも、たまに煙草や暴力事件が発覚しますが、それは「出場停止」に到るような社会面の記事になる場合だけのようです。今は北海道日本ハムファイターズのエースに育ったダルビッシュ投手も、高卒入団した直後にくわえ煙草でパチンコを打っていた騒動があったように、高校野球にも問題が隠されている事がちらりと見えたりもしましたなあ。鉄拳やケツ・バットなどを伝統としている名門チームだとか、後輩イジメや「気合を入れる」と称した暴行など、警察沙汰になるまで特にスポーツ分野では美談に仕立ててしまう傾向が強くないでしょうか?


過去の死亡例は、協会に記録が残っている1985年以降、斉藤さんの前に16人おり、最近10年では4人。病気入院中の例もあるが、死亡時の状況などを把握し、再発防止策に生かす。27日の理事会で設置を決めた「力士の指導に関する検討委員会」に外部の有識者らを加えることなど、文科省から受けた指導は5項目。公益法人改革に向け、相撲協会も透明性を高めるよう求められており、所管官庁からの異例の指導に従う形となった。 
9月28日 時事通信

■「最近10年で4人」などと突然報道されても困ります。この数が多いのか少ないのか素人にも判断出来るように書いてくれないと情報としては価値が無いでしょう。たとえ死ななくても健康な身体で入門したのに、内臓の病気や外傷が元で廃業して行く若者はどれほどいるのか?その中に一生残る障害を持って去った者はどれくらいいるのか?重要な事実を隠していると「氷山の一角」の疑心暗鬼が膨らんでトンデモないイメージばかりが大きくなってしまいます。一種の超人信仰を基盤としている大相撲ですから、常人には耐えられない苦痛や怪我をものともしない神話は必要なのでしょうが、超人になれない単に体が大きい少年がどんな「社会勉強」をして角界を去るのか?

■理事だの親方だの、結構な身分になって恵まれた老後を遅れる一握りの人が踏み付けにしてしまった若者はどれほどいるのか?芸能界というところも凄まじい過当競争で有名ですが、体力勝負の世界ではないので肉体的なダメージを受けて去って行く人は少ないかも知れませんが、日本中に古い仕来りや伝統が巣食っているのは事実でしょう。それを抉り出して告発するのがジャーナリズムの務めでしょうなあ。


……また、過去に現役力士が死亡した例などを調査し、再発防止の資料とする考えも表明。平成15年に北の湖部屋の現役力士=当時(15)=が心臓病で死亡した問題も調査対象となる見込みだ。検討委員会に第三者の有識者を加えることについては「いろいろな人をいれて稽古の在り方を検討したい」と説明した。今回の指導について文科省は「公益法人の事業として力士の養成も入っている」と述べ、問題が刑事事件として立件される可能性が出てきたため、監督官庁として事業が適正に行われているか確認する必要があったと説明。協会には調査などの経緯を逐次報告するよう求めたという。
9月29日8時1分配信 産経新聞

■「ウチの部屋にはビール瓶は無い」などと、理事長らしからなぬ変な言い訳をしていた北の海理事長ですが、15歳の死者を出しているのですなあ。この少年は入門してどれほどの時間が経過していたのでしょう?朝青龍問題の根っこにも、リンチやイジメの蔓延があるかも知れませんぞ。右も左も分からないモンゴルの少年が、「日本の伝統」を骨身に沁みて学んだのが相撲だからこそ、イジメられるよりイジメる方になるために、歪んだ動機で稽古に励んだ結果が横綱という絶対に地位だったとしたら、「品格」だの「武士道」だのと、親方たちに言われても面食らったのではないでしょうか?

■相撲界の暗部がたまに表沙汰になることもあって、有名なプロレスラーの力道山が相撲界に身を置いていた時の陰惨な民族差別の凄まじさはいろいろな本に書かれていますし、相撲界で習い覚えた弟子の扱い方をそのまま継承してアントニオ猪木さん達を理由も無くぶっ飛ばしていたのは、本人の思い出話として記録されてもいます。「武士道」「国技」さえも宣伝と商売に利用しているとしたら、スポーツ・ジャーナリズムが率先してその欺瞞性を暴いて告発し続けなければならなかったような気がします。慣れない記者会見で日本人らしい「悲しい笑顔」を作りながら、自分を責める言葉を血を吐く思いで語った斎藤さんの素朴な姿は、余りにも痛々しいものでしたなあ。たまたま体格に恵まれていたばかりに相撲部屋の目に止まり、迷いながらも知らない世界に飛び込んだ田舎の17歳の少年が見た「国技」の実態を誰かが詳細に伝えなければならないでしょうなあ。ご冥福を祈りましょう。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

マスコミ犯罪かな? 其の弐

2007-09-24 11:14:14 | マスメディア
■京都府で起こった手斧事件をめぐるテレビ報道は、少女がホーム・センターで犯行の数日前に購入していたという珍しくもない手斧を画面に映し出しては、意味ありげな証明を当てたり、中には変色した血痕を思わせる臙脂(えんじ)色の敷物の上に怪しく光る手斧を横たえて大写しする大サービスのテレビ局もあるようですなあ。簡単な大工仕事もしなくなった現代の日本人にとって、農機具や林業に使う道具類に触れる機会も少ないでしょうから、身近に殺傷能力抜群の武器が存在している事を改めて知ったことになります。逆に、まだこうした道具を使うことの多い地域で暮らしている人達にとっても、自分の家に備えてある道具が親殺しに使われたというのは大きな衝撃となっているでしょうなあ。

■10代のアイドルが謎の投身自殺をする事件が起こった時、同年代のファンが同じ方法で自殺する「後追い事件」が続いた事が有りましたが、送り手が予想もしなかったような強烈な衝撃をまともに受けてしまう受け手がいることを想定しなければならない職業なのでしょうなあ。まあ、どんなに残虐な殺人事件が実際に起こっていても、毎日のように「○○殺人事件」という名前の二時間ドラマがどこかで放送されているような日本ですから、大人にしか分からないややこしい犯罪動機を吹っ飛ばして、「殺し方」だけをじっと見ている幼い魂があるという現実にも目を向けるべきでしょうなあ。


24日午前2時ごろ、長野県上伊那郡の女性から「子供が父親を傷つけた」と110番通報があった。息子で中学3年の少年(15)が約20分後、おのを持って自宅近くの交番に出頭し、「父親の頭をおのでたたいた」と認めたため、県警は少年を殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。父親(44)は病院で緊急手術を受けているが、意識はあるという。調べによると、少年は自宅で寝ていた父親の頭をおので殴り、殺害しようとした疑い。県警は、動機などについて調べている。
9月24日 読売新聞

■京都の事件は45歳と16歳の父娘、長野では44歳と15歳の父と息子です。動機の解明よりも「嫌な父」「斧」とが短絡的に結び付いたと考えた方が分かり易いような気がします。凶悪な事件はラジオか新聞、ネット・ニュースでさらりと読んで知った方が良い時代なのかも知れませんなあ。間も無く、地上デジタル放送が本格的に始まるそうですが、ニュース報道がワイドショー化して行く風潮のまま「鮮やかな映像」で生々しい犯罪報道が始まるのでしょうか?

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

マスコミ犯罪かな? 其の壱

2007-09-24 11:13:45 | マスメディア
■首相のストレス性の内臓疾患で政権を投げ出しましたが、その主たる原因は御本人の使命だった「参議院選挙」での勝利を果たせなかったという自民党内のお家の事情だったわけですが、政権移譲の絶対条件が「小泉改革の継承」という手枷と足枷に身動きが取れないままの惨敗でしたから、安部首相自身にとっては選挙結果は他人事だったはずです。でも、小泉改革が引き起こした歪(ゆが)みが日本中に広まっている事実が選挙結果に反映されているのですから、本当に「美しい国」造りを実施するのなら、改革路線を大幅に修正するのが道理というものです。手っ取り早いところから「規制緩和」を推し進めた結果、非正規雇用が蔓延して企業は人事という最も頭が痛い仕事から解放されました。そして、「起業」精神を称揚したものだから人や物を運ぶ業界では凄まじい過当競争が起こりましたなあ。

■全労働人口の3分の1が正社員の身分を持たず、安部首相が三役に就任する前に情熱を傾けていた「介護保険制度」の構造的な欠陥が暴露されて将来に対する不安が頂点に達しようという時に、年金問題に火が点いたのですから、自民党政権が選挙で勝てるはずもなかったのでした。不景気に苦しんだ戦前を思い出す、などという声が聞かれるようになっている中で、憲法9条を改正しようと言われれば、巨大な貧困層から人材を集めて大きな軍隊を作るのか?と疑心暗鬼になる人も出て来ます。一事はマスコミがはやし立てたコムスン会長のコブラ・ヘッドは防衛大学を卒業していたなどという気味の悪い連想をさせるような事実まで表沙汰になりましたからなあ。

■200万円のボーナスを学費に当てようと志願した多くの若者がイラクに送られている米国の姿が、10年後の日本だと思ったらぞっとしますし、隣国の中には世界を脅迫して自国の体制を維持しようと言う恐ろしい国や、膨大な人口を養うためのエネルギーと食糧を世界中から掻き集めようと強大な軍事力を得ようとしている国もありますから、誰かが「攻撃は最大の防御だ!」と言い出したら、そうだ、そうだと付和雷同する者も案外多いかも知れません。今のところ、他国に出かけて命のやり取りをしなくても良い立場を日本は守っていられるのは目出度い話ですが、平和なはずの国内では、起こってはならない家庭内での殺人事件が頻発しているのが気になります。

■マスコミには直接の責任は無いことになっていますが、犯行内容を微に入り細を穿(うが)って詳報すると、特に生々しくイメージを伝達する「再現映像」やらCGアニメーションやらで「殺し方」を報道すると、何万人かの中にはまったく別のメッセージを受け取る者が出て来てしまいます。


東海テレビは20日、アニメ「ひぐらしのなく頃に解」について、同日の放送を休止するとホームページで発表した。同作品は山村の連続怪死事件を描いた人気ゲームソフトをアニメ化したもので、京都府京田辺市で16歳の少女が父親の警察官を手オノで殺害した事件との関連を指摘する声があがっている。
9月20日 産経新聞

■世界一を誇っている日本の漫画・アニメ文化は、とうの昔に爛熟期に入っていて作品群の細分化が極度に進んでいるようです。一般的な意味で「アニメが好き」などとうっかり言えない作品も氾濫しているので、ぴたりと趣味が一致している相手以外とアニメ談義をするのが困難な状況になっているようです。某週刊誌によると、アニメ作品はコアな顧客にソフトを購入してもらう商法に移行しているので、視聴率が低い深夜枠を利用して商品サンプルを陳列している気分なのだそうですなあ。深層心理に訴えかける意味深で残虐がシーンが連続するような作品も多いようで、そんな作品に取り込まれて現実世界に戻って来れなくなったら困りますが……。

新聞を考えるヒント 其の弐

2007-09-10 11:20:32 | マスメディア
■『週刊文春』8月30日号に、毎日新聞元常務の河内孝氏が一文を寄せています。

……比較的最近のことである。外国通信社の社長が、主要紙A社長と会談した。席上A氏は、「日本の新聞は三つの障壁で守られているから心配ない」と胸を張ったという。
第一は言語という非関税障壁があるので輸入品に脅かされない。
第二に株式が非上場の上、商法特例で譲渡制限がついているから乗っ取られない。
第三に再販制度という国の規制……

■河内氏は、①=輸出できない。②=市場から資金調達不能。③=社説は「反規制緩和」か?と鋭く批判して見せています。この一文は新潮新書で、『新聞社――破綻したビジネスモデル』という恐ろしい内部告発同然の本を出版した事から、36年間勤務した毎日新聞から「社友」身分を剥奪されたのだそうですから、業界は本の内容を否定する言葉が無いという事なのでしょうなあ。ギネス・ブックにも載っている世界一の1000万部という空前絶後の部数を誇る讀賣新聞社が有名ですが、河内氏によればこの大記録は故・務台光雄さんが編み出した「務台モデル」が強引に進められた歴史的な結果だっという事になります。


……昭和12年には1400社もあった新聞社が強権により同18年には60社以下に統廃合され……この産業としては恵まれた基盤に様々な好条件が重なって、日本の新聞産業は世界に冠たる発行部数を達成し、大成長を遂げた。
①「鬼畜米英」路線から「反戦、平和」に変身
②情報の独占的提供者としての地位
③世帯数の激増と人口の都市集中
④広告売上げの飛躍的成長

■平時なら面倒なM&Aを繰り返さなければ不可能な業界の統廃合が、戦時体制の中で短期間に断交された上に、テレビはまだ出現しておらず、ラジオ局のネットワークも貧弱でしたから、①と②は戦時体制からの贈り物で、③と④は高度成長期のお蔭です。従って、新聞業界が自らの努力で成長したわけではなかったという話になります。さて、そこに出現したのが「務台モデル」という新聞商法でした。


「部数至上主義」ビジネスモデル……専売契約で忠誠を誓った販売店に「もう5部、あと10部頑張れ!」と注文部数を増やさせる。……巨人戦の入場券やビール券、商品券、果ては大型家電製品まで送り込む。店主は発行本社の熱意にこたえて新聞拡張に狂奔する。ノルマを達成すれば多額の報奨金が待っている。……1店が2店、3店に増えて、店主は販売会社兼居り込み会社社長に成り上がってゆく。……94年には「1000万部」を達成した。

■手段を選ばない「部数至上主義」は、紙面上の広告掲載料の上昇と材料費の軽減、それに加えて居り込み広告の増加、という大きな見返りを生み出したというわけです。テレビ業界が犯罪行為も辞さない「視聴率」競争も同じ計算によって繰り広げられていますなあ。新聞紙面の広告スペースは、ぴったり半分という枠がはめられているように、民放テレビのCM枠も放送時間の15%前後と定められているはずですなあ。テレビは、「お知らせ」として情報提供番組だと言い張れば、宣伝以外の何物でもない内容をCM枠外として放送しても知らん振り!因みにテレビ通販も「情報提供番組」の扱いのはずです。食事処・観光名所・宿泊施設など、取材対象によっては露骨な宣伝としか思えない「情報提供コーナー」がニュース・ショーに割り込んでいるのも同じ事でしょう。

■海外の一流紙を手に取れば、日本の大新聞が広告だらけだと実感出来ますし、都市圏で新聞を購読すれば折り込み広告の多さに驚くものです。


06年度、新聞産業の広告売上げは9986億円。00年が1兆2474億円だから急落ぶりが分かろう。……シェアが50%以上ある有力地方紙でも前年売上げを大きく割り込んでいる……讀賣新聞の3分の1しか発行部数のない日本経済新聞が朝日・讀賣と同等もしくは上回る売上げを達成している。……単純化して言うと、テレビの世界に押し寄せつつある「視聴率ではなく視聴質」の選別が、新聞ではとっくに始まっているのだ。つまり、何人見たか、ではなく「モノを買ってくれる人」が問題なのだ。……

■新聞を購読している世帯で、折り込み広告を丁寧に全部見るという人は居ないでしょうし、テレビのCMを熱心に覚えたりメモに記録する人も居ないでしょう。新聞紙面の広告記事となれば誰も読まないのではないでしょうか?そう言えば、最近のテレビCMの決まり文句は「詳しくはホーム・ページで!」になっていますなあ。河内氏の指摘によれば、まだ折り込み広告には浸透力の期待感が残っているようですが、直接消費者に売り込む「セールス・プロモーション」に業界の広告予算はシフトしているそうです。成る程、路上や戸別訪問で配っていたサンプル商品を集中的に陳列した不思議なビルが東京都下に出現するはずですなあ。

■この週刊文春の一文を中心にして、日本の新聞を考えるヒントを探ってみたいと思います。

新聞を考えるヒント 其の壱

2007-09-10 11:19:22 | マスメディア
■ばらばらの時と場所で目にした最近の新聞記事と週刊誌の一文が、安倍改造「再チャレンジ」新内閣の波乱含みの発足という落ち着かない時代の空気とも連動したらしく、とても嫌な予感がするようになりました。総裁選挙の論功行賞丸出しの「お友達内閣」があれよあれよと思う間に崩壊したのは、度重なる政治資金報告書の虚偽記載と、半世紀も破綻を先送りして封印され続けた年金制度の蓋(ふた)が少しばかり開いたのが原因だそうですが、参議院選挙の大敗直後に世界的な同時株安が起こった事、アフガニスタンのタリバンがイラク仕込みの自爆テロから、外国人拉致に戦術転換した事など、日米関係の根幹にかかわる大変化も起こっている原因にも目配りしなければならないというのに……。

■小泉政権から受け継いだ構造改革路線が「景気回復」を実現した!と誰も信じない業績を大声で誇示した安倍首相が選挙民から見捨てられたのを見れば、二昔も前に流行した刺殺と毒殺のどちらが良い?などという悪趣味な「究極の選択」と酷似する寄り合い所帯の民主党に政権を担当させても良い、と多くの国民が腹を括ったのか?と思ったら、拙ブログでも心配?していた横峯パパのスキャンダルが火を噴いたくらいで民主党への追い風はぱたりと止みそうですなあ。それに釣られるように、改造内閣の支持率は各メディア揃ってじわりと上昇したのだそうです。何だか、60年代の安保闘争が盛り上がった時に主要新聞社が一致して運動の鎮静化を図ったのに似た情報操作を思い出すのですが……。

■マスコミ自体が「政権交代」を本気には考えておらず、単に安倍政権を苦境に追い込んで選挙報道を盛り上げようとしてだけだったのではないでしょうか?民主党が勝ち過ぎて、本当に次の解散選挙が有れば「政権交代」が起こってしまう!という情勢になったら、早速、マッチ・ポンプを始めたとしか思えませんなあ。新聞社が実質的に経営しているテレビ局も、選挙を面白い見世物にして視聴率を稼ごうと、小難しい政策論争をばっさりと切り捨てて、前回の「刺客選挙」を再現したような怨念・対立・裏切りなど、阿呆な国民が大喜びするような「分かり易い」番組作りに努力していたようです。

■小泉さんは「構造改革」という難解で危険な政策を、「抵抗勢力」という悪役を仕立て上げ、「自民党をぶっ壊す!」という幼児でも容易に理解出来るワン・フレーズに包み込んで、国民の多くを正義の戦いに参加する興奮と快感を与えたのでした。後継の安倍首相は、「構造改革」を継承すると言いながら、自分なりに内閣の特徴を強調したいので、政治家には禁じられているはずの「戦後レジームからの脱却」という「体制変革」を意味するキャッチ・フレーズを使い始めたものでした。レジームは「政治体制」を意味しますから、敗戦時に大問題となった「国体護持」論争を蘇らせて国論を二分してしまう可能性さえあるのですが、マスコミはこの発言を意図的に無視しているような印象が有ります。

■安倍首相は、「平和憲法」と「日教組」という具体的な名前を隠すために「戦後レジーム」という言い方をしているのかも知れませんが、大問題になっている年金制度だってレジームの中に含まれているのですから、「社保庁解体」だけでは政策が矮小化されていると言われても仕方がありますまい。「年金制度廃止!」ならばレジーム・チェンジになるでしょうなあ。構造改革の中核だった「規制緩和」によって産業構造と雇用形態が激変し、日本人の心身がぼろぼろになっているのも、レジーム・チェンジの一種ですし、平等を旨とする所得移転によって支えられていた地方が疲弊して行くのもレジーム変更の成果でしょう。

■小泉改革を分かり易く伝えなければならない使命が新聞には有ったはずなのですが、どうやら、新聞業界には自分達だけは「構造改革」の埒外(らちがい)に安住していられるとの盲信があるらしいのですなあ。

「山!」と「川!」

2007-06-10 21:56:44 | マスメディア
■時は元禄とは十五年今なら1月の末、旧暦の十二月十四日、底冷え本所深川に雪が降る!という『忠臣蔵』のモデルになった赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件で、包囲奇襲の一斉攻撃を成功させるための山鹿流の陣太鼓と、同士討ちを避けるために考案されたのが、暗闇の中でも目立つ火事装束と合言葉だったとか……。闇の中での乱戦、気配を感じたら「山!」と叫ぶ。味方ならばすかさず「川!」と応じる。口ごもった者は問答無用で切り捨てる!何とも凄まじい強襲テロ事件だったようですなあ。まあ、今時の日本では選挙がこれに似た戦いなのかも知れません。

元テレビ朝日アナウンサーで、参院選東京選挙区に自民党から出馬する丸川珠代さん(36)が9日、同党が丸山和也弁護士(61)に、比例代表での出馬を要請したとの報道を受け「(東京選挙区では)丸の後は川と書いて!」と訴えた。

■正直に申し上げて、「川も山も書かないよ」という選挙民が圧倒的に多いのではないでしょうか?「丸」さえ書かない人が大半だと思います。既に、自民党議連はマルカワ候補の応援には回らないと決めているそうですし、たまに週刊誌が取り上げる時も、取って付けたような勘違いパフォーマンスを冷笑するような扱いです。選挙になど出ずに、テレビ局の仕事を続ければ、東大卒の自称ジャーナリストで通ったかも知れないのに、選挙という修羅場で自分の言葉だけを頼りに「政治」を語るには、きっと力が不足しているでしょうなあ。36歳にして、初めて世の中の厳しさを知るか?分数計算の出来ない大学生が大増殖してしまった日本では、東大ブランドも随分と安くなっているようですし、東大教授を名乗る人物が、テレビや選挙にしゃしゃり出て来ては、国民が不安になるような無知を晒すような事件が頻発してもいますから、マルカワ候補としては「テレビでお馴染みの…」の一点張りで頑張るしかないでしょう。


丸川さんは報道について聞かされ「今初めて聞きました。同じ『丸』ですね…」と複雑な表情。テレビで顔は知られているものの、名前は「田丸」「丸山」などと間違われてきた。それだけに「顔を見てすぐに『丸川』と分かってもらうことが大事」と感じる今日このごろだったと言う。そんな折の「丸山」出馬情報。「丸の後は川と書いて!と言いたいです」と強調した。今後は遊説先でも、名前の強調が一層重要になりそうだ。ちなみに番組などでの共演の経験はないという。

■丸山という弁護士は、ちょっと爬虫類を思わせる風貌の持ち主で、日本テレビの胡散臭い100キロ・マラソンにも挑戦した人物だと思われますが、国民に法律を誤解させるだけのバラエティー番組で顔を売っているそうですが、ニュース・ショーなどにも顔を出して、「政府批判」のような論調で喋っていた印象が有りますぞ。昔は社会党、今は民主党を応援しているテレビ朝日なのに、自民党から出馬するマルカワさんもどうかと思いますが、マルヤマ弁護士も万一当選したら、自民党で何をやるつもりなのでしょう?枡添元教授のように、「評論家」みたいな政治家になるのでしょうか?その点、マルカワさんにも当選してもらって、小泉チルドレンの御局様達とのバトルを見たいという、悪趣味の人も居るでしょうなあ。


陣営では「自分のところで手いっぱい。同じ選挙区ならまだしも、人のことどころではない」と必死。この日は町田市内で行われた歌謡フェスティバルの開演前に舞台に立ち、あいさつした。
6月10日 スポーツ報知

■「あいさつ」ですか?それはノーギャラの司会ではないのですか?因みにマルカワさんは東大経済学部の卒業だそうですが、昔、日銀総裁の記者会見で、公定歩合と景気動向について質問すべきなのに、「阪神タイガース」についてばかり質問したという、変わったジャーナリストだったと『週刊現代』6月23日号に載っていましたぞ。東大卒・テレビ局入社、それは今の日本人を狂わせるキャリアなのでしょうか?どちらも人に「恥」を教える機能はもっていない場所らしいですからなあ。マル山さんはともかく、マル川さんが落選したらどうなるのか、ちょっと心配になります。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

NHK注意報 其の弐

2007-06-09 20:34:43 | マスメディア
警視庁渋谷署は8日、電車内で女子高校生(17)の下半身に触ったとして、NHK制作局の青少年・こども番組部ディレクター、今井洋介容疑者(30)を逮捕した。同局職員によるわいせつ不祥事が発覚したのは、今月だけで早くも3件目。NHKはこの日、東京・渋谷の同局で緊急会見を開き、来週末までに全国の職員約1万1000人を対象に面談を行うという異例の再発防止措置を発表した。

■「1万1000人」には多くの女性職員も含まれているはずですが、どうして男性職員の変態犯罪に関連して「面談」を実施しなければならないのでしょう?NHKの女性職員の中にも、ややこしい性犯罪や暴力事件を起こしそうな、危険な人が居るのでしょうか?「全国の職員」を持ち出すと、逆に気味の悪いイメージがどんどん広がりますぞ。NHKの顔として松平さんが特別番組に出演して「不祥事」を詫びるのが最も効果的でしょう。「わたしも、こうして立派に更正しましたのも、一重に受信料を欠かさず納めて下さる皆様のお蔭でございまして……」などと自分の体験を材料にして、ワザとらしく受信料の支払いをお願いするべきでしょうなあ。


……NHKによると今井容疑者は独身で、2000年に入局。広島放送局を経て05年7月に東京の放送総局に異動した。制作局青少年・こども番組部に所属し、教育テレビ「真剣10代しゃべり場」や「一期一会 キミにききたい!」を担当。自ら若者向けの番組作りを希望したという。

■全国の学校に潜む、「子供が好き」という理由で教職に就いている怪しい人物のことを考えたくなるような話です。「30歳独身」というのは今時珍しい話ではありませんが、「青少年・こども」「10代」「女子高校生」と並ぶと、非常に不安になりますなあ。今度は「幼児番組」の制作担当者の中に、異常な幼児性愛の傾向を持つ困った職員が潜んでいないか?が問題になるかも知れませんなあ。


同局では今月に入り出向職員(34)が16歳少女へのわいせつ行為、ディレクター(42)が電車内で女性に“ほおずり”……。今年だけでもハレンチ騒動は、子会社も含めて6件目だ。受信料不払い続出のきっかけとなった04年の不祥事は、カラ出張や不正経理など金銭絡みのものが多かった。しかし今年はハレンチ騒動。酒に酔っての犯行も目立ち、各部局に「酒の上での行動に注意するように」との通達を出したが、それをあざ笑うかのようにシラフだったと見られる通勤途中に痴漢で逮捕。ある職員は「不祥事が、どんどん恥ずかしい内容になっている…」とため息を漏らす。

■「どんどん恥ずかしい内容になる」のは、裏金や受信料の濫費の問題が全面的に解決されたという前提での発言のように聞こえます。NHK職員の異様な特権意識が一掃された!という話はまだ聞いていませんなあ。


5月に路上で女性に抱きついて逮捕された男性アナウンサー(41)は、示談が成立して不起訴になり、処分は停職3か月。復帰できても「もう画面に出るのはまずないだろう」という声も上がっている。橋本元一会長(63)は「懲戒処分の見直しを検討する」とコメントし、罰則を厳しくする方針を示した。
6月9日 スポーツ報知

■5月の事件はNHK近くの路上で、通りがかった「好みの女性」に後ろから抱きついて乳房をしつこく揉んだという、人を人とも思わない悪質な犯行だったと報道されていました。それは受信料を支払っている人を、内心では見下してバカにしているNHKの本音と通じているような気がしてなりませんなあ。


電車内で女子高生の体を触ったとして、警視庁渋谷署は8日、NHK制作局ディレクター今井洋介容疑者(30)を強制わいせつの現行犯で逮捕した。NHKでは先月8日以降、痴漢や児童買春で逮捕される職員が相次ぎ、今回で4人目。記者会見したNHKの畠山博治理事は「組織として責任を感じる」と謝罪し、懲戒処分の運用を厳しくする方針を明らかにした。……
6月8日 読売新聞

■迷惑条例違反ではなく、「強制猥褻罪」の容疑だったのですなあ。5月の乳揉み職員は、「職場のストレス」が理由だったと白状していましたが、今回の強制猥褻犯はどんな動機だったのでしょう?それを解明しないで「再発防止」などに話を変えてしまうのは、非常に危険ですぞ。取り敢えず、NHK職員は身分を示す「腕章」などと着けて通勤して貰うしかないでしょうなあ。そうすれば、「蹴り」「揉み」「撫で」の被害に遭わない安全な距離が保てますからなあ。「腕章」は恥ずかしいでしょうが、それは連帯責任と自業自得の理屈で納得してもらうしかないでしょう。大した国営放送を日本は持っていますなあ。
-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

NHK注意報 其の壱

2007-06-09 20:33:33 | マスメディア
■今は昔、日本中がバブルの熱狂に包まれていた頃、1989年でしたか?NHK朝の顔だった松平定知デグゼブティブアナウンサー(長い肩書きですが理事待遇だそうです)が、タクシーの後部座席から器用に足を伸ばして運転手さんの後頭部に見事の蹴りを何発も決めたという暴行事件が有りました。まだ携帯電話が普及していなかった当時、後部座席で奥さんではない女性に自動車電話をしていたという報道の方が印象的でしたなあ。民放テレビだったらどうなったか?NHKのぺえぺえアナウンサーだったらどうなったか?松平さんは海老沢前会長の大のお気に入りだったとかで、5年間ほど有給「謹慎」して復帰して、時々奇説珍説を紹介する歴史番組を担当しています。
 
■あの事件の際も、松平さんは「泥酔していた」と言っていたそうです。朝の番組を担当している身で、泥酔した上で深夜デートが必要なほどストレスが溜まっていたのでしょうなあ。


NHKは8日、制作局の今井洋介ディレクター(30)=川崎市=が強制わいせつ容疑で警視庁渋谷署に逮捕されたと発表した。……8日午前8時前、東急田園都市線の上り電車内で、女子高生(17)のスカートに手を入れ、下半身を触った疑い。行為は……約10分間続いた。女子高生が渋谷駅到着直前に今井容疑者の手をつかみ、電車を降りたところで「この人、チカンです!」と駅員に突き出した。本人は容疑を認めている。

■通勤通学の時間帯に迷惑な話です。この種の「相場」というものを知りませんが、「10分間」とは随分と長くしつこい痴漢ですなあ。出勤前に、こんな事をやってからでないと仕事を始められないのなら、一体、どんな職場なのでしょう。「性犯罪を考える」ような番組もたくさん作っているNHKですし、「犯罪者の社会復帰」に関しても力を入れているはずですから、身内の「更正」についての恥ずかしいドキュメンタリーを制作しては如何でしょう?


東京都渋谷区の同局で緊急会見した畠山博治理事によると、同容疑者は平成12年に入局し17年7月から青少年・こども番組部所属。過去に「真剣10代しゃべり場」、現在は「一期一会キミにききたい!」を担当している。青少年向け番組の担当は同容疑者の希望だった。

■『しゃべり場』という番組が今も続いているのかどうかは知りませんが、一度、立川談志師匠を同席させて具にも付かない幼稚な「しゃべり」を聞かせて、師匠は堪らず録画中に居眠りし始め、「自由」と「権利」を知って「芸」と「迷惑」を知らない若者がそれをぼそぼとと詰(なじ)ったから大変な事になったのを観た記憶があります。あの番組の企画意図は、使い古された表現ではありますが「若者の本音」を引き出すと共に、若者の自己主張とディベート能力を高めようというものだったのではないでしょうか?その目的が達成されたとはとても思えませんが……。まさか、今井容疑者が「女子高生」を掻き集めて自己満足に浸る不埒な企画だったのはないでしょうな?!


NHK職員の“ハレンチ事件”は発覚分も含め、これが今年6件目。畠山理事は「6月に入って3件目? それは多い…。十分に注意していたとはいえ、コンプライアンス意識の醸成に不十分な点があった」と謝罪。橋本元一会長は「懲戒処分の見直しをするなど組織として不祥事の根絶に向けた具体的施策を早急に実施する」と文書でコメントを発表し、来週中に1万1000人の全職員の面談を行うことを決定した。……
6月9日 サンケイスポーツ

■「コンプライアンス」などと、視聴者(受信料契約者)のほとんどが、その日本語の意味を知らない事を知ってか知らずか、都合の悪い事は外来語の煙幕に隠してしまう、実に情けない昨今の日本語事情を、この畠山理事も再認識してくれますなあ。「法令順守」「法律を守る心」「法律に従って行動する事」等等、こんなに大仰なカタカナ用語を使うような話なのでしょうか?「朝っぱらから、小娘のケツを撫でたり、パンツに手を突っ込んだりするな。バカ野郎!」と怒鳴り付けるしかない、法律論以前の「恥」「外聞」「世間様」のレベルで対応すべき事でしょう。

TBSは二度死ぬ?

2007-06-06 18:18:36 | マスメディア
 ■一般住宅にも盗聴が仕掛けられているぞ!という特集をテレビのニュースで見た記憶が有ります。大阪の淀川河川敷を独占的にゴルフ場にして、勝手に遊んでいるバカ親父達を追い回して糾弾する特集も、テレビで見たような気がします。あれは、「死んだ」TBS系の番組だったのではなかっただろうか?

4日から千葉県野田市で行われている男子ゴルフの「関東アマチュア選手権」取材の際、TBSが石川遼選手(15)の声を拾うためのマイクを一緒にラウンドする組の選手に付けてほしいと依頼し、断られていたことがわかった。TBS広報部は「正式競技ではあり得ない非常識で不適切な取材。はなはだ遺憾」と話している。……同組の選手1人に情報番組「ピンポン!」のスタッフが大会前日の3日に電話で依頼した。さらにその後、石川選手らのゴルフバッグにマイクを付けられないか主催者に打診し、断られた。

■「ハンカチ王子」だの「ハニカミ王子」だの、王族でも何でもない青年を玩具にするのは如何なものでしょう?それよりも拘置されている「監禁皇子」の方が気になるこの頃です。野球に関して言えば、高野連という病的に清潔好きの組織が絶大な力を持ったのは、戦前の「大学野球」を巡る興行トラブルがそもそもの原因だったそうですから、特に野球という競技に興味も無い暇な中高年を大学野球に呼び込むのは如何なものでしょう?ハンカチの後はハニカミだそうで、今度はシート席の無いゴルフ場に素人を呼び集めてしまったそうで、いい年をした日本人が手に手にカメラ付き携帯電話を掲げて、アドレスに入っている選手にむかってバシャバシャ騒音攻撃を仕掛けたとか……。未経験者はアドレス時の緊張感などさっぱり分からないのでしょうなあ。

■ゴルフ場にゴルフ競技を見ない群衆が増えたのは、間違いなくマスコミの宣伝効果です。猫も杓子もハニカミ王子に注目するように仕向けておいて、今度はギャラリーのマナーの悪さを「取材」しているのを、「マッチ・ポンプ」と呼びます。自分で放火してブログ界の人気者になった困ったネエちゃんが居ましたが、同じようなものでしょう。それにも増して、手段を選ばず盗聴「取材」するのなら、歴代社保庁長官などにして欲しいものですなあ。


関係者にはすでに電話で謝罪しており、さらに大会会場に番組スタッフが出向いて謝罪したという。6日放送の「ピンポン!」冒頭でも問題の経緯を説明し、司会の福沢朗さんが「非常識な暴挙だ」と謝罪。「自分の身の振り方も考えている」と述べた。

■福沢さんという人は、福留さんの後を継いで「ニューヨークに行きたいかあ」と叫んでいた人でしょうか?たしか意味不明の「ファイヤー」などとも叫んでいた変な人だったような気もしますが……。どうせ謝罪するのなら、「TBSはまた死んだ」と言って欲しかったですなあ。


また、同局の報道番組「イブニング5」が4日と5日の2回にわたり、主催者に無断でコース上空にヘリを飛ばしていたことも判明した。TBSは「相当上空を通過しながらの撮影ならいいという甘い考えがあった」と話している。
6月6日 毎日新聞

■これからもTBSはゴルフ中継番組を放送し続けるつもりなのでしょうか?放送権を買ってしまったら、またヘリコプターを飛ばして空撮を試みるのなら大したものですが、あまりヘリコプターを使い過ぎると、米国みたいにカー・チェイスの生中継が過熱して、逃走する犯人を暴走させるのと同じ恐ろしい事が起こるかも知れませんなあ。企画を考えたプロデューサーにとっては「取材」の範囲なのでしょうが、これは「盗聴」と「覗き」です。日本のテレビ文化が、どれほど底が浅いものなのかを、改めて教えてくれた事件でした。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

絶対に真似しては行けません!

2007-05-22 07:49:32 | マスメディア
■新聞の国際面を熟読しても、米国の表面と中東の遠景ぐらいは追えますが、ぐっと寄って根掘り葉掘り細かい事象を見つけ出してくれるのは、ネット上のニュースに限ります。でも、速報性や見た目の印象に引き摺られて面白ければ何でも良い、というわけには行きません。怪しげな痩(や)せ薬や育毛剤などが話題になったことにもなった中華五千年のチャイナ商売に騙されて、日本でも被害が出ているのを忘れたような不思議な「話題」も垂れ流されるので注意が必要ですぞ!

カメラマンの目の前で、カエルを生きたままのみ込む蒋老人。これが健康の秘訣なのだとか。40年間こうやってます、ゴックン。

■こんなリードの記事を見つけて苦笑したのですが、アクセス状況を見たら、案外と読みに行っている人が多いので驚いた次第。ここで注意しなければならない点は、「40年間」というところです。今年が2007年なのですから、40年を引くとどうなるか?1967年という年号が出てきますね?これは文化大革命が燎原の火のように広がり始めた時期でもあり、「大躍進」の大失敗でチャイナ全土に深刻な飢餓が広がって手の施しようがなかった時期でもあります。毛沢東が自己批判を求められ、ウンコだのオナラだの、非常に下品な言葉を並べて開き直ったのは、1959年7月の廬山会議でした。1958年から1962年の間に5000万人が餓死したとさえ言われています。

■国家主席を辞任した毛沢東は、政権を渡した劉少奇・小平に対する残忍な巻き返しを画策し初めて、1966年5月に『プロレタリア大革命についての決定16か条』が発表されたのでした。もう、こうなったら紅衛兵が暴れ周り全土がテロと内戦の大混乱!1976年に終息宣言が出されるまで、生き残った人達にとっては思い出したくも無い地獄絵図が何処にでも見られたのでした。こういう基本的な「年号」を抑えないまま、妙な「健康法」を面白がっては行けません!


2007年5月19日、江西省のある村で、一人のおじいさんがカエルを1匹、生きたまま口に放り込み、そのままゴックンと飲み込むという、衝撃的な場面をキャッチした。おじいさんの名前は、蒋木生(ジアン・ムーション)さん。市政府の常務委員で、今年66歳。蒋さんは、26歳のときからカエルやネズミを生きたまま食べるようになったという。

■「今年66歳」で「26歳のときから」との証言が40年前の「1967年」という年号の裏付けになります。「生きたまま食べる」のは、文革の地獄を生き延びるために、人間らしい食糧も燃料も無い環境に耐えるために身に付けた恐ろしい習慣だったはずです。今でも弟分の北朝鮮の政治犯収容所では「常食」となっているそうですが、兄貴分の旧ソ連でも木の皮や泥などを食べた記録が残っています。勿論、人の肉などは高級食材だったそうで……。


カエルは日光浴中に捕ったもの、ネズミは生まれて間もないのがお好みだそう。この「珍味」を食べるようになって以来、蒋さんは病気ひとつしないとても丈夫な体になったそうだ。たまに風邪をひくことがあっても1日ほどでケロッと治ってしまうのだとか。蒋さんいわく、「もうすぐ70になるが、毎日元気に働けるし、食事も若い人に負けないくらい、たくさん食べる。カエルやネズミは栄養補給だな」。世の中は広い。いろんな健康法があるものだ。
5月21日 Record China

■この爺様の身分は「市政府の常務委員」と、さり気無く紹介されている点も見過ごしては行けません。じわじわと毛沢東に対する個人崇拝が復活しているという噂が出ているのが気になるところで、文化大革命の「見直しの見直し」でも始まると、このまま経済格差が拡大し続けると、地方の貧困地域では食糧・燃料・水の不足が深刻になるでしょう。その時には何を食べれば良いか?沿岸部ではグルメ三昧の成金が増える一方で、地方では文革の地獄を生き延びた方法が復活するかも?

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

筑紫さんの留守中に 其の伍

2007-05-20 11:49:32 | マスメディア
■ついでに、筑紫さんのニュースでは取り上げない話題を検証しましょう。

中国軍が、台湾有事をにらんで米空母攻撃用の対艦弾道ミサイルの開発に着手するとともに、ロシアから超音速長距離爆撃機も導入し、対米軍戦術を修正していることが15日、明らかになった。米軍や自衛隊の迎撃兵器の射程外からの攻撃に力点を置くことで、台湾有事に際して米空母機動艦隊来援を阻止する目的とみられる。日台軍事筋が明らかにした。

■日本には世界一とも言われる高性能の「対艦ミサイル」が有ります。しかし、「対艦弾道ミサイル」は一発も有りません。「弾道ミサイル」は飛距離も地球レベルですし、核弾頭を搭載するのが前提で設計されています。太平洋を抑える米国の第7艦隊の中央に浮かぶ航空母艦を狙って核を撃ち込めば、瞬時に艦隊が消滅します。勿論、「集団的自衛権」が認められていようといまいと、「後方支援」に付いている日本の自衛官も一緒に消滅するが、強烈な熱線と放射能を大量に浴びることになるでしょう。「超音速長距離爆撃機」にしても、日本には「長距離」と名の付く飛行機は有りませんから、超音速・超高空で侵入されたら手も足も出ないでしょうなあ。迎撃ミサイルが届けばよいのですが……。


……中国軍が改良に着手したのは、射程1500~2500キロの準中距離弾道ミサイルである「東風21」。動く目標を赤外線で探知する装置を取り付けることで、米空母攻撃も可能となる。東風21は核弾頭の搭載が可能で、100基近くが既に配備されている。今年1月、衛星の攻撃実験に使用されたのは東風21の派生型で、改良が進んでいる。また、早ければ年内にロシアから10~20機の超音速長距離爆撃機バックファイアー(Tu-22M)が売却またはライセンス生産契約される見通しだ。同爆撃機は、戦闘行動半径約4000キロで、射程500キロのAS-4空対艦ミサイルを3基まで搭載できる。米本土も爆撃可能なため、第2次戦略兵器制限交渉(SALTⅡ)で、保有を認める代わりに空中給油装置撤去を条件としたほど、米側が恐れた兵器だ。

■ソ連は米国との軍拡競争に敗れて自壊したけれど、自分達は絶対にその轍を踏まない決意の中国人民解放軍ですが、旧ソ連しかお手本が無いので、核・大陸間弾道弾・宇宙ロケットと歪(いびつ)に活動範囲を広げて来ました。人工衛星を撃ち落せるのに、大陸間弾道弾の迎撃はできない。巨大な陸軍を持っているが台湾島に上陸部隊を送れない。原子力潜水艦を保有しているのに米軍が東太平洋に設けている壁を突破できない。海軍を持っているのに海戦はできない。まして、日米がどんどん軍事的連携を強めて行けば、台湾周辺・朝鮮半島沿岸・南沙諸島海域での活動が不可能になります。日本が単独で対処しなければならない尖閣諸島周辺なら、好き勝手なことも出来るのですが……。


米軍は対艦弾道ミサイルやAS-4への迎撃手段を有しているが、万全ではない。機動艦隊の防御兵器であるイージス・システムも「対艦弾道ミサイルやAS-4を大量に同時発射されれば、すべてを迎撃できる可能性は大きく低下する」(日台軍事筋)からだ。被弾の恐れがあれば機動艦隊も容易に台湾海峡に近づけない。一方、自衛隊保有の対空ミサイルも、Tu-22Mは射程外となる可能性が極めて高い。海上自衛隊のイージス艦も中国大陸に近づけば被害を受ける可能性があり、防衛省は新たな迎撃手段の開発・配備を含む戦術の再構築を迫られそうだ。
5月16日 産経新聞

■その切り札になる「イージス艦」の心臓部と頭脳の中身を、スケベ映像と一緒にコピーして閲覧していた困った海上自衛隊の隊員が摘発され、それも違法に入国した怪しげなチャイニーズ妻と同居していたのですから、米国は眩暈を起こしているに違い有りません。


…中国人妻をもつ海上自衛隊員は300人いると言われるが……

『週刊文春』5月17日号に気になる事が書かれています。33歳の二等海曹の実名入りで掲載された深層スクープ「イージス艦機密と共に洩れた無修正ワイセツ画像」という記事です。どうやら同い年の中国人妻は単なる不法入国者で諜報活動とは無縁らしいのですが、田舎の農家で嫁不足が深刻で、地方自治体が後押しして国際結婚が盛んだというのは衆知の事実ですが、自衛官の世界でも同じことが起こっているとは!これも『平和憲法』を持ち上げるあまり、自衛官に対する謂れ無き差別や反感をばらまいた誰かさん達の業績なのでしょうなあ。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

筑紫さんの留守中に 其の四

2007-05-20 11:49:01 | マスメディア

「…少なくとも中国だけでも5億世帯にテレビがあり、DVDでこの映画を観る人達の数も多いだろう。中国中央テレビ(CCTV)はすでにこの映画の国内での放映権を買ってくれた。また、諸外国には合計6500万人もの中国系住民がいて、きっとこの映画のDVDを買ったり、インターネットで鑑賞してくれるはずだてん。さらには私達にとってこの映画を突破口として今後のビジネスでの中国市場への参入が容易になるだろう」……

■これが謎の半分です。「リベラル」などはまったく関係が無いのです。共産党の情報部門に組み込まれている中央テレビと結び付いたという事は、AOLグループに対して北京政府が特別待遇を認めたことを意味します。米国のインターネット屋が、トンデモ本と承知の上で、映画化したら大喜びする客(国)が存在しているというだけの理由でカネを出したのです。では、残る謎の半分は何なのか?話はもう多くの日本人が忘れてしまった小さなデモ報道から始まります。


……「南京事件を描いたハリウッド映画がクリント・イーストウッド監督、メリル・ストリープ主演で製作される」というデマが広範囲に流され……2006年1月、このデマが読売新聞が上海発で報道して、日本国内に最初に伝わり、ざわめきを起こした。

■このデマ報道の後始末もしないまま、読売新聞のナベツネさんが朝日新聞と「歴史的和解」のパフォーマンスをやったのは記憶に新しいところです。一体、何があったのでしょう?古森氏はこのデマ情報に触れて直ぐにイーストウッドのマネージャーに電話して「まったくのウソ」という証言を得ています。このデマは拙ブログでも馬鹿馬鹿しい話と取り上げましたし、イーストウッドが作ったのは南京ではなく『硫黄島』2部作だったのは世界中の映画ファンが知っています。デマというものは、尻尾をつかまれない限りは言った方が勝ちなのですが、古森氏は尻尾をつかみます。


…デマのそもそもの出所はアメリカに組織をはりめぐらせる中国系の政治活動組織『第二次大戦アジア史保存連盟(ALPHA)』だったことが判明した。……ALPHAの本部はロスアンジェルスだとされている。この組織と姉妹のような共同歩調で活動する同種の団体に『南京虐殺賠償請求連合(RNRC)』というのが存在する。本部をサンフランシスコ……2003年10月にサンフランシスコで「天皇ヒロヒトの反人道的犯罪に対する青年会議と模擬裁判」という集いを主催し、日本非難の気勢をあげた。……もう一つの姉妹団体は『中日戦争真実保存同盟(APTSJW)』である。この団体もサンフランシスコ地区に本部を置き、……ALPHA、RNRC、APTSJWといったアメリカで活動する団体がみな中国当局と一体に近い『世界抗日戦争史実維護連合会』という国際規模の組織の傘下に置かれている……中国の国営の新華社通信とリンクされた中国語ウェブサイトを有し、中国国内の上海などで国際会議を開いている。……

■まさか、NHKのETV特集で放送した「天皇死刑裁判ごっこ」も、こんな謀略組織の日本支部が既に活動を始めていることを証明しているのではないでしょうな?安倍さんや中川さんが「圧力」を加えたの加えないの、そんな詰まらない事よりも、米国で活発なロビー活動とプロパガンダ謀略を展開する反日的な組織と連動するイベントを、朝日新聞出身の人物が主催し、皆様のNHKが公共電波に乗せていた!という事実の方が遥かに重大です。この番組の「再放送」をずっと熱望しているのですが、まだ実現してませんなあ。

■古森氏のレポートには、ALPHAが運営するウェブサイト上に、米連邦議会下院に提出された、いわゆる「慰安婦」非難決議案やその審議の詳報を掲載し、決議案の提出者のマイク・ホンダ議員をヒーロー扱いする書き込みが盛大に踊っている事が出ています。勿論、マイク・ホンダ氏は日系3世の下院議員で、その選挙区はカリフォルニア!日系議員という誤解を招き易い表現と、テレビから流れる容貌から、何だか日本人のような親近感を持つ人も居るやに聞きますが、ホンダ議員は立派な米国人ですし、他の国の議員と同様に自分の選挙区での人気取りのためなら何でもする人です。

■筑紫さんが休んでいた番組の中でも言及されていましたが、映画『レイプ・オブ・南京』はサンダンス映画祭の受賞作品です。しかし、この映画祭は有名俳優のロバート・レッドフォードが、米国の独立系中小プロダクションが製作している映画にも光を当てよう!という思いで始めたものです。まあ、夕張映画祭よりは大規模でしょうが、アカデミー賞やカンヌ映画祭などとはまったく違うものです。『レイプ~』はドキュメンタリー部門に出品され、800本以上の応募作品の中で「編集賞」を受けたというのが事実です。それを承知で筑紫学級の生徒は「米国の○○映画祭で受賞」という無知な日本人の耳に残りそうな表現をしていたのが気になりましたなあ。

■最近は、「環境問題」に力点を置いていた筑紫先生でしたが、「スロー・ライフ」「エネルギー問題」など、深夜のテレビ放送を止めれば相当に効果が上がるに決まっている問題を取り上げる時も、得意の「沖縄」「憲法9条」「自衛隊」を取り上げる時も、どうしても「私は何でも知っている。常に正しい」という態度で、上から教えを垂れようとする印象が強いので、好きな人には大人気、そうでもない人には「もういいよ」と言われてしまいます。