寄り道 まわり道 遠くへ行く道

新しいことを見つけるって楽しい!

農業プロジェクト

2012年01月21日 | 震災・災害関連
栄養関係の学会の、被災地支援の助成金に採択されたことを先日書きましたが、このプロジェクトについてもう少し詳しく書いてみたいと思います。

私の職場のある仙台市太白区にはかなり大きな仮設住宅があります。この仮設住宅には、さまざまな地域の方が入居されており、仙台だけでなく、他の地域からの避難者もいらっしゃいます。仮設住宅の建設場所は非常に便利なところで、大型のショッピングセンターも近くにあるし、地下鉄の駅も近いしなんですが、各被災地からまとまって入居されている仮設と違い、コミュニティ形成が遅れていて、入居者の孤立が心配されています。入居者の中には、震災前は本格的な農業やってたという方から市民農園・庭先の畑などをやってたんだよねという方など、農作業に親しんでおられた方が大勢おられます。しかし、震災後は家を失っただけでなく、畑仕事のような楽しみもまったくなくなってしまい、生きがいを失ったり生活のリズムや体調をくずしている方が非常に多いのです。そこで、この仮設住宅を支援しているNPO団体と仙台市、それからうちの大学のメンバーで農地を借りて畑やろうよというプロジェクトが立ち上がりました。

このプロジェクトでは、まず家から外に出よう!近所の人と一緒に作業して連帯を深めよう!できた野菜はみんなで一緒に調理して食べて元気になろう!軌道に乗ってきたらもっとどんどん栽培して市場で売ってみよう!というような段階的な目標を持っています。農作業って体を使うでしょう?だから疲れるんだけど、だからいいんですよね。気持ちがしんどいとき、体を使う仕事はすごく力になるんです。野菜が大きくなっていく様子にも元気づけられるし、収穫できればさらにうれしくなりますし。

この間の初会合にはうちの大学の事業構想学部の風見先生と研究室の皆さんも参加されました。風見先生はコミュニティビジネスの専門家。被災者が再び元気を取り戻すために「自立」への道筋を考えることがとても大事だということが、今回のプロジェクトの肝になっています。最初はまず庭先の畑仕事的な作業から始めて、小さい協働からだんだん大きな目標へ向かっていければいいなと思っています。時間をかけて取り組んでいくつもりです。

この間の授業でこのプロジェクトの話をしたら、たくさんの学生がボランティアに名乗りを上げてくれました。栽培の実習などで培った知識や技術も生かせるでしょうし、作業しながら傾聴もできるでしょうし、いろんな可能性が考えられます。収穫後の調理教室やレシピ提案にはすでに頼りになる栄養の専門家のバックアップが確保されていて、食品メーカーである味の素さんの協力も得られることになっています。風見先生が「震災はさまざまな分野の人が一堂に会してその力を結集する機会を与えてくれた」ということをおっしゃってました。わたしも、こんなに異分野の方々と一緒に仕事するのは初めてです。みんなで知恵を出し合って、元気に楽しく、やっていきたいと思っています。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする