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LCM覚え書き

2007年07月04日 | 仕事・研究
Laser Capture Microdissection:LCMという機械を使って、組織切片から特定の細胞や組織を採取する方法があります。昔PCR Primerという本に詳細を書いたので、詳しいことを知りたい人はそちらを参考にしてください。(ただしこの本は英語です。)

実はアメリカから帰ってきて昨日初めてここでLCMをやりました。機械は去年から入っていたのですが、取り組むひまがなかったのです。LCMをやるには、まず組織の凍結ブロックを作ります。これは動物でも植物でもよく、自分のターゲットとしている組織を使います。それから凍結切片を切りますが、このとき、とにかく組織がホールディングしたりしわ寄ったりしないようにすること。また、スライドは絶対にコーティングしていないものを使います。4umくらいの薄さに切り、切ったら即ドライアイスに保存して凍らせます。

染色方法はいろいろありますが、わたしはHEを使います。通常の染色ではRNAが壊れてしまうので、5分以内という迅速法で染めます。ここでのポイントはいかにドライに仕上げるかということ。わたしは前日から除湿器をかけていましたが、冷房も思いっきりいれます。脱水の過程でのエタノールとキシレンが重要で、これがいいかげんだと細胞が全然とれてきません。

染色してからLCMを終わらせるまで40分以内におさめます。だいたいの場合、わたしは染色後15分以内で細胞を取り終わります。もっとたくさん取りたいときは、新しいスライドを染めた方が無難。

LCMを導入して「うまくいかない」というラボはけっこうあるのですが、ポイントは切片がいかにきれいに切れているかということと、除湿乾燥だと思います。

ところで、上記のPCR Primerという本は、LCMの本ではなくて、PCRの教科書のような本です。原理もよくわかるように書いてありますので、これから分子生物学的実験を始めようとしている人にはぴったり。お勧めです。
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